ベリーの価格が、この時期にしては異常な高値となった。USDA公表の2月3日の価格は100ポンド当たり180ドルを超えた。前年より40%高く、2015年比では約2倍。豚肉の生産量が前年比で約1.3%増、2013年比では11%増にもかかわらず、ベリーの価格が続伸しているのは、事前契約分の確保で買戻しやパニック買いが起こっていることが要因とみられる。
ベリーの高騰は豚肉カットアウト価格を下支えし、生体豚価格も上昇、生産者利益を大幅に改善させた。12月初旬には、2月契約分の生体豚先物価格は100ポンド当たり54ドルだったが、現在の現金価格は70ドル近い。第1四半期の生体豚価格は赤字になるとみられていたが、これで一気に黒字転換した。
3日の生体豚価格は、枝肉換算ベースで84.46ドルと前年を6.9ドル上回った。下図をみても明らかなように、ベリーの価格上昇はロインとリブの下落を相殺して余りあるもので、カットアウト全体を押し上げた。
生体豚の現金取引とカットアウトの価格高騰は、春から夏季に向けた先物価格の上昇に期待感をもたせているが、市場関係者は1品目だけでここまで価格を上昇させていることの反動リスクにも注意しており、2月と4月分の先物取引価格にはかなりの価格差がある。
予想される大きなリスクの1つは、この価格高騰で小売や外食などのエンドユーザーがベーコンの販売計画を変更する可能性があることだ。現在の高値は、ベリー価格が昨年8月から11月まで安値で推移していたことから、小売や外食が積極的な販促を計画し、第4四半期に予約が入っていたことに支えられている。
ここ数カ月、ベーコンが手頃な価格だったことで消費は順調だった。しかし、消費者は価格に敏感だ。3.99ドルのラベルを張られたベーコンが7.99ドルになれば、消費は一変するだろう。今春の豚肉供給量が前年比3.5〜4.0%増と予想される中で、需要が鈍ると急落するリスクがある。市場の安定のためには、パニック買いによる異常な高値は多少なりとも下方修正される方が望ましいだろう。
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