2016年第4四半期は、主要食肉の供給が急増する中で輸出需要を拡大できるかどうかが重要なポイントになっていたが、11月の輸出は主要食肉すべてが2ケタ台の増加となった。
豚肉輸出はメキシコ向けが好調だった。大統領選挙を通じて、政権が交代すればメキシコ向けの輸出フローに影響があるかもしれないとの懸念が強まり、前倒しの動きが加速したことも一因だ。2016年第4四半期は米ドル高が進んだものの、パッカーは世界市場への販売増に成功し、供給過剰による暴落を回避できた。
2016年第3四半期は、と畜能力を超える供給増が懸念され、生体豚価格は20数年来の低水準となる可能性があった。国内市場は飽和状態、中国向けの輸出も頭打ちとあって、価格は急落局面を迎える恐れがあった、実際には短期的なものにとどまった。9月から10月下旬の一時的な価格下落が国内の販促意欲を刺激し、同時に輸出も急激な回復傾向を見せた。
11月の豚肉(調理済み含む)の輸出量は17万3774トン(前年同月比16.8%増)。2011年の記録を抜いて、11月としては過去最多の輸出量となった。内訳を見ると、最も大きく貢献したのはメキシコだ。トランプ氏の当選でペソが急落したものの、メキシコ向け輸出量は6万1272トン(同22%増)と史上最多を記録した。
第2位の市場である日本向け輸出も、3万6312トン(同23%増)と好調だった。中国・香港市場向けは事前予想に反して1万5064トン(同9%減)となった。
豚肉輸出は10月7.8%増、11月16.8%増、12月は推定で15%増と予想され、第4四半期計で13.6%増と予測される。これは第4四半期の豚肉生産量が2.5%増であっても、輸出の増加によって国内の総消費量は2%減、国民一人当たりの消費量は3%減となることを意味する。
輸出増加により、国内市場への流通量が昨年より少なくなり、価格が回復した。2017年の2四半期までの豚肉輸出が平均7%増のペースで拡大すると仮定すると、国民一人当たりの消費量は第1四半期に0.3%増、第2四半期は2%増と予想される。2017年は食肉全体の供給がさらに拡大し、輸出の維持・拡大が重要であり、特に豚肉は年前半の肥育豚のと畜頭数が4%増と予想されており、輸出市場の重要性が増していく。
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