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TRADER'S Be & Po

vol.280 Dec.05.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛と牛肉価格は年末に向け上昇へ
飼料穀物関連ニュース 潤沢な穀物供給で2017年の食肉生産増加
食肉在庫 10月の豚肉在庫減少、牛肉は過去最多
業界ニュース スミスフィールドがクラフティー・パッキング買収
ポーク関連ニュース 米国の豚肉産業を牽引する要因、輸出が鍵
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2016年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛と牛肉価格は年末に向け上昇へ

 
 

生体牛と牛肉卸売価格は、安定した状況でホリデーシーズンに向けた手当てが始まりそうだ。食料品チェーンでは感謝祭の七面鳥の売り出しが一段落し、牛肉に再びスポットライトが当たりそうだ。ボックスビーフの価格が割安であることから、販促が活発になることが予想される。

11月第4週は、と畜稼働日が1日少なかったこともあり、生体牛価格は反発の兆しを見せた。主要5州の生体牛価格は、去勢牛の平均で100ポンド当たり107.91ドル。枝肉の平均価格は同169.92ドル。肥育牛は11月23日に4783頭が取引されたが、この平均価格は109.14ドル(前週の水曜日106.79ドル)で、上昇基調を決定付けた。

最新のフィードロットの飼養動向でも、総飼養頭数が今年1月以来の前年割れに転じたことに加え、重量の重い素牛の導入減少など、今後の肥育牛価格の値上がりを示唆している。11月1日時点の総飼養頭数は1066万5000頭(前年同月比1.3%減)。10月の導入頭数217万1000頭(同5.0%減)、出荷頭数は170万5000頭(同4.6%増)で、これはと畜日が1日少ないことを考慮すると、9%増に相当する。

飼養頭数はテキサスが249万頭で最も多いが、これは前年同月比では9万頭(3%)少ない。ネブラスカも232万頭で13万頭減(5%減)。カンザスは224万頭で9万頭増(4%増)。このほか飼養頭数が前年を上回っているのはアリゾナ、コロラド、アイダホ、オクラホマの5州のみ。

一方で牛肉の小売価格は、10月の全体平均がポンド当たり5.58ドル(前年同月比7.6%減)と、2014年3月以降で最低の水準。10月のチョイスの価格は5.74ドル(同7.9%減)。牛ひき肉は3.68ドル(同14.8%減)と大幅に値下がりしているが、ステーキアイテムに比較して売れ行きは鈍いままだ。

11月第3週のカットアウト価格は、前年同週比12.9%減と2012年8月第1週以来で最低。しかし週間取引量は今年これまでで2番目に多く、月曜から水曜にかけてチョイスのカットアウトは100ポンド当たり3.69ドル値を上げ、セレクトも同3.11ドル上昇した。

 

※2016年11月28日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
飼料穀物関連ニュース

潤沢な穀物供給で2017年の食肉生産増加

 
 

米国内の穀物の収穫期が終わりに近づき、収穫量はこれまでの最高記録を塗り替えることが明らかになった。現在、トウモロコシの約86%、大豆の約93%が収穫を終えているが、グラフの通り、2016-17収穫年度のトウモロコシ、大豆、小麦の総生産高は219億ブッシェルと推定され、前年より11.8%も多い。

これら主要品目の過去4年間における総生産量は平均202億ブッシェルで、過去13年間の平均より24%も多い。特に増加が著しいのはトウモロコシ。アナリストは、トウモロコシの収穫量をエーカー当たり平均173.2ブッシェル、合計150億4000万ブッシェルと予想していたが、USDA(米国農務省)が11月の予測でエーカー当たり175.3ブッシェルに修正したため、総生産量は152億2600万ブッシェルと予想値より2億ブッシェル増加した。

トウモロコシの収穫量は市場が吸収できる容量を超えているため、2016年から2017年へと多くの在庫が持ち越されることになる。2016〜17収穫年度の繰り越し在庫は24億ブッシェルと予想される。これほど大量の在庫が持ち越されるのは、1980年代後半以来(1987〜88年度は43億ブッシェル)。

USDAの最新報告では、国内の飼料需要、エタノール仕向け、輸出の主要3大チャンネル全てにおいて、著しい使用量の増加を予想している。前年度から繰り越し在庫と今年の収穫量を合わせた使用可能な総供給量は170億ブッシェルと算出され、前年より16億ブッシェル多い。

しかしエタノールの大部分が輸出され、米国のエタノール市場は完全に飽和しており、エタノール仕向けの増加分は9400万ブッシェルの見込み。需要増加の大部分は飼料と輸出にかかっている。USDAはトウモロコシ価格が前年より8.6%値下がりし、輸出は17%増加すると見込んでいる。だが、ドル高によって輸出が鈍る可能性がある。中国は過去数年間に備蓄したトウモロコシの大量在庫を抱えている。小麦と大麦の安値も、トウモロコシ輸出には逆風となるだろう。

鍵となるのは、家畜・家きん類の飼料需要の拡大だ。USDAは飼料向けの使用量について、前年比で5億2千万ブッシェル(10%増)と予想している。これは結果的に食肉生産量が増加することを意味しており、米国の家畜生産者にとって重要なのは、今後も輸出市場の拡大にチャレンジし続けることだ。国内の食肉供給はすでに飽和状態にあり、輸出を拡大できなければ、供給過多によって食肉の価格はさらに値下がりすることになるだろう。

 

※2016年11月14日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  主要穀物の生産量予測
 
食肉在庫

10月の豚肉在庫減少、牛肉は過去最多

 
 

USDAが公表した10月末の食肉・家きん類の総在庫は23億ポンド(前年同月比1.0%減)で、前月から5.8%減少した。過去5年平均(21億1900万ポンド)との比較では8.6%増。このうち、豚肉在庫は5億9800万ポンド(同0.9%減)、前月比では6.9%減となり、アナリストの予想平均(6億2600万ポンド)を下回った。

9月から10月にかけての在庫減少は、過去5年平均が約2060万ポンドであるのに対し、今年は4430万ポンドも減少しており、10月のと畜頭数が多かったことを考慮すると、豚肉需要の堅調さを裏付けている。これは、肥育豚の先物市場の支えになると考えられる。

モモ肉の在庫は1億9120万ポンド(同3%減)で、前月比では23%も減少した。過去5年平均比では1億7440万ポンド、9.6%増。バラ肉は2080万ポンド(同13%増)で、前月から430万ポンド減少した。

牛肉在庫は5億3230万ポンド(同4.6%増)。前月比では2.6%増、過去5年平均比で22%も多く、10月末の在庫量としては過去最多となった。これは先物市場にとってはマイナス要因だろう。鶏肉在庫は7億7400万ポンド(同9.9%減)前月比0.6%増、七面鳥は3億9630万ポンド(同12.6%増)、前月比22.5%減。

 

※2016年11月23日 FOODMARKET.com

 
業界ニュース

スミスフィールドがクラフティー・パッキング買収

 
 

スミスフィールド・フーズはホーメル・フーズの子会社であるクラフティー・パッキング社を買収する。この買収により、ロサンゼルスを本拠地とする「ファーマー・ジョン」、カリフォルニア州サンレアンドロに本拠を置く「サーグズ・スペシャリティー・ミート」の2つのブランドがスミスフィールドのラインナップに加わる。

この買収には2つの豚肉処理工場と、アリゾナ、カリフォルニア、ワイオミの3つの養豚施設が含まれる。クラフティー・パッキング(ファーマー・ジョン)は1日当たり7400頭の豚をと畜処理し、2016会計年度には約5億ドルの売上を計上した。同社は1931年の創業以来、ベーコン、ホットドッグ、ソーセージなどの食肉加工品各種を製造。サーグズは、創始者のジョージ・サーグ氏が1933年に北カリフォルニアのオークランドで小さなソーセージ店からビジネスを始め、現在はプレミアム・デリ・ミートやソーセージ製品の製造に特化している。

 

※2016年11月28日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

米国の豚肉産業を牽引する要因、輸出が鍵

 
 

今年の米国の豚肉生産量は記録的なものとなり、2017年も生産拡大は継続する見込み。こうした供給の拡大は新たな機会を創出すると同時に、豚肉産業全体の大きな課題となっている。ポーク・チェックオフは、現在の傾向と米国の生産者に対する影響について、専門家と電話会議を行った。シュタイナー・コンサルティング・グループのレン・シュタイナー氏と、グローバル・アグリトレンド社のブレット・スチュワート氏は、米国の豚肉産業を動かす鍵となる主要な5つのポイントを次のように指摘した。

①米国の経済成長は食肉需要の追い風=経済成長は概して食肉需要の追い風となる。ここ数週間で歴代最高値を記録している株式市場や、失業率(4.9%)の低下、良好な消費者マインドは、次期大統領が決定したことでより安定するだろう。

②トウモロコシ供給の増加で食肉供給も増加=2012〜13年のトウモロコシ生産量は107億ブッシェルだったが、その後3年間の生産量平均は139億ブッシェル、今年は150億ブッシェル以上の見込み。トウモロコシのブッシェル当たりの価格は、2012年の8ドルがピークで、現在は3〜3.50ドル。家畜生産者は潤沢で安価なトウモロコシを活用できる。2014年の食肉総生産量は909億ポンドだったが、2018年までに1010億ポンドを超えると予想される。このうち豚肉は、2016年の生産量が過去最高の249億6000万ポンド、2017年はさらに増加して256億ポンドに達する見込み。

③小売価格の修正遅れが卸売価格と生体豚価格に影響=小売価格の調整には時間がかかる。2016年10月の豚肉小売価格はポンド当たり約3.74ドルで、前年同月より約5.8%低いが、5年前よりは8%高い。卸売価格の指標となるカットアウト価格は、昨年10月より16.5%低く、5年前より26%低い。しかし、小売業者が15〜20%値下げしても、消費者はすぐには消費を増やさないため、値下げすると利益が厳しくなると考えている。休日向けの販促に集中しつつ、定番商品の価格を徐々に下げていく方向。大手フードサービスではメニューを固定しているため、価格調整はさらに遅い。新たなメニューの開発・マーケティングには数カ月を要する。小売業者とフードサービス産業は、中期的には豚肉価格は上昇しないと予想しているため、今後は価格修正と幅広いプロモーション活動を行うだろう。

国内の1人当たりの食肉消費量は2007年が275.1ポンドだった。その後の不景気が直撃し、エタノール需要と輸出需要の増加による飼育コストの急騰などから、2014年までに246ポンド、10%以上も減少した。しかし2016年には259.0ポンドとなり、2年前から5%増加、また過去7年間で最大の増加となった。2017年には262.3ポンド、2018年には264.6ポンドに増加すると予想。豚肉消費量は1982年以降、58.7〜68.1ポンドの範囲で推移。今年は推定で63.2ポンドとこの34年間のレンジの上限に近いが、まだ伸びる余地がある。

④短期的課題は処理能力が追いつかないこと=米国の豚肉生産者はここ数年間、記録的な生産コストの上昇、PEDvの発生、主要な輸出市場の消失といった課題を克服する強さを見せてきた。昨年、豚肉生産量が牛肉生産量を上回ったが、これは今年も継続する。供給が拡大するにつれて処理能力が追いつかなくなっており、これは短期的に生体豚価格への値下げ圧力となる。ただ今後18カ月以内に新たな豚肉工場の操業開始が予定されており、それによって値下げ圧力の一部は緩和され、生体豚価格と豚肉の卸売、小売価格間の格差は縮まるだろう。

⑤輸出が引き続き鍵となる=生産量に占める輸出比率は鶏肉16%、牛肉と七面鳥は10%未満であるのに対して、豚肉は20%以上。豚肉産業の拡大と増益のためには、今後も輸出市場の拡大が鍵となる。ただ輸出にはドル高、一部の新興市場での需要悪化、欧州産との競合などの課題も多い。しかし、米国の豚肉生産者は世界で最も効率的でコストが低く、製品は安全で栄養素が高いことが国際的にも認知されているため、世界市場で競合を勝ち抜くことができるだろう。

米国は世界で2番目の豚肉輸出国として、昨年の豚肉および豚肉製品の輸出額は53億ドルに達し、1頭当たり換算で47ドルの利益をもたらした。メキシコ、日本、韓国が三大市場であるが、121カ国に販路を見出している。日本向けのポークロイン、中国向けの耳やテールなどの副産物輸出は、米国の豚肉産業に相当な利益をもたらしている。

TPPによって、米国産豚肉の高収益な主要マーケットである日本市場へのアクセスが良くなることが語られてきたが、次期大統領に選出されたドナルド・トランプ氏は、TPP協定への加盟を取りやめる予定だと明言。また今年の輸出量の5%増は中国の輸入急増によるところが大きい。中国市場は短期的に鈍化し始めるだろうが、長期的には素晴らしい展望を与えてくれる。モモ肉の主要な輸入国であるメキシコも、非常に重要な市場となっている。

今後、世界の人口は年間7800万人ずつ増加する。加えて世界中で中産階級も増加している。経済協力開発機構の予想によれば、世界の中産階級は2015年の20億人から、2030年までに49億人に増加する。これは豚肉産業だけでなく、食品産業全体にとって非常に明るい要因だ。

アジアに集中している中産階級の増加は、幅広い種類の米国産豚肉製品に新たな機会を開くことになる。世界市場の拡大は、米国の豚肉業界にとって莫大な可能性を秘めている。

 

※2016年11月23日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート