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TRADER'S Be & Po

vol.279 Nov.21.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、秋季の価格回復は一服
牛カットアウト上昇、今後は需要次第
輸出動向 9月は牛・豚肉とも好調、第3四半期計でも増加
業界ニュース タン輸出好調、牛肉価格の落ち込みを下支え
ポーク関連ニュース 9月の豚肉在庫、輸出増で前年比2.1%減
トピックス 肥育牛重量は1935年から56%アップ
フードサービス レストラン売上増、短期的需要改善の可能性
セーフティ関連 FSISの5カ年計画公表、サンプリングを増強等
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2016年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、秋季の価格回復は一服

 
 

生体牛の現金取引価格は、10月第3週の底値から回復基調にあったが、ここにきて横ばいとなった。感謝祭(11月24日)に向けて七面鳥の拡販が増え、また豚肉の週間生産量が記録的な水準に増加したことも影響している。牛の週間と畜頭数は6週連続で60万頭を超えているものの、アナリストは「牛肉の売れ行きが鈍化すれば、パッカーはと畜頭数を減らし始めるだろう」と予想する。

先週の生体牛の現金取引は、FCEオンラインオークションで始まった。水曜日に3492頭が100ポンド当たり104〜106ドルで取引されたが、9208頭が売れ残り、回復基調の行き詰まりを決定づけた。FCEでの取引価格は去勢牛の平均が105.19ドル、未経産牛平均は105.07ドル。USDA発表の同日の主要5州の取引量は4691頭(FCEの販売含む)と少なかった。

木曜日の取引はネブラスカで始まり、1万3000頭が104.58ドル、枝肉では163ドルで取引された。アイオワ・ミネソタはこれよりも低く、生体牛102.24ドル、枝肉162.88ドルで5900頭が売買された。カンザスは生体牛が105ドルで1万8000頭が取引された。テキサスでも2500頭が105ドルだった。

一方、先週の先物価格は上下動を繰り返したが、木曜日には現金価格が今後値下がりするとの見通しが影響し、12月分取引が130ポイント下落の104.07ドルで終えた。先安観が広がっているものの、昨年と異なるのは枝肉重量が軽いことだ。

10月第3週の去勢牛の平均重量は915ポンドで、前年より12ポンド軽い。未経産牛の平均は837ポンドで、同じく前年を12ポンド下回っている。全体は平均841ポンドで、前週比3ポンド減、前年比10ポンド減。と畜頭数が昨年より多いものの、その一部は枝肉重量の減少で相殺されている。

 

※2016年11月7日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
 

牛カットアウト上昇、今後は需要次第

 
 

牛肉の卸売は停滞しているようだ。先週初めの4日間のスポット取引量は、前週よりかなり少ない。卸売価格が上昇してきたことで、小売での牛肉販促は尻すぼみになったようだ。リブとテンダーを除くと、月初の補充買いはほとんどなく、小売のバイヤーは当用買いに終始した。

チョイスのカットアウト価格は、同期間で100ポンド当たり5.63ドル上昇し、188.74ドルに達した。セレクトは3.77ドル上昇の173.87ドル。ただし取引量は4日間で320ロード(≒コンテナ)と少なく、前週の432ロードから26%減少。このカットアウト価格の上昇は、主に脂肪率の高いひき材に起因しており、50CL(赤身率50%の牛ひき材)は4日間で9.42ドル上昇して34.98ドルとなった。

アナリストは「小売の牛肉販売が12月第1週までに持ち直さなければ、カットアウト価格は反落する。11月の残り期間に牛肉の販促が消極的であれば、パッカーはと畜頭数を減少するだろう」という。

デイリーライブストックレポートによると、今後2カ月間の肥育牛価格は牛肉の需要がカギを握っている。他の食肉の供給が増加して価格も低いため、小売とフードサービスがホリデーシーズンに向けた販促で牛肉に十分な価値を見出すかどうかがポイントだろう。特にミドルミートは、小売でのリブの販促にかかっている。

生産者側=NCBA(全米牛肉生産者協議会)も、低価格な肥育牛と牛肉供給の増加に焦点を当て、牛肉のさらなる販促に94万ドルを投下する。その70%近くはアジア市場に投入される。内訳は、USMEFが日本のナショナルチェーンと行うプロモーションに26万ドル、地域的に行うプロモーションキャンペーンに14万ドル、韓国の全国的小売チェーン、および準大手ディスカウントチェーンと協同で行う牛肉プロモーションに20万ドル、そのほか牛肉拡大のチャンスを増大させるアジア諸国の観光地市場に4万ドル。残り30万ドルはスマートフォンアプリ「Ibotta」で行うプロモーションに使用される予定だ。

 

※2016年11月7日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
輸出動向

9月は牛・豚肉とも好調、第3四半期計でも増加

 
 

USMEFが発表した9月の輸出統計によると、牛肉、豚肉、ラムの輸出合計が前年水準を大きく上回った。

牛肉輸出量は10万1224トン(前年同月比27%増)。これにより第3四半期合計の輸出量は30万7383トンで、2014年の第4四半期以降で最大となった。1〜9月の輸出量は84万8930(同8%増)。9月の輸出額は5億3330万ドル(同17%増)。9月の牛肉生産量に占める輸出比率は、全体(内臓等含む)で13.5%、牛肉単体で10%。9月の輸出額は、肥育牛1頭当たりに換算すると256.98ドルで、今年初めて前年実績を上回った。1〜9月までの1頭当たりの輸出額は253ドル(同10%減)。

豚肉輸出量は18万3936トン(同7%増)。1〜9月の輸出量は166万トン(同5%増)。9月の輸出額は4億9100万ドル(8%増)、1〜9月の輸出額は42億7000万ドル(同1%増)。9月の豚肉生産量に占める輸出比率は全体で24%、豚肉単体では 20%。9月の1頭当たり換算の平均輸出額は48.29ドル(同3%増)。

USMEFのフィリップ・セング会長兼CEOは「9月のレッドミートの輸出は力強く、勢いを持続した。豚肉、牛肉の供給が大幅に増大する中で、輸出拡大は産業界全体の大きな課題だが、これは国際市場で新たなカットや付加価値のある製品を紹介し、主要競合国から市場シェアを取り戻すことができるチャンスでもある」とし、輸出量の増加は枝肉価格の支えとなり、サプライチェーン全体にリターンをもたらすことを強調している。

  牛肉&牛バラエティーミートの月別輸出量の推移
  豚肉&豚バラエティーミートの月別輸出量
 

9月の牛肉輸出量をリードしたのは日本(2万2882トン、前年比49%増)と韓国(1万4840トン、75%増)。輸出額も日本(1億3210万ドル、同32%増)と韓国(8660万ドル、83%増)は急増した。9月に日本が輸入した米国産チルドビーフは、豪州産チルドビーフの輸入量を初めて上回った。また、10月の速報値では韓国の米国産牛肉輸入量が豪州産を抜いた。

1〜9月の日本向け輸出量は19万3457トン、前年比20%増。輸出額は11億2000万ドル、同11%増。韓国向け輸出量は12万2695トン、同33%増。輸出額は7億1550万ドル、同17%増で年間の最高記録(8億4740万ドル)を更新するペースが持続している。

1〜9月の台湾向け輸出量は3万64トン、同12%上増、輸出額は2億4560万ドル、同2%増。台湾のチルドビーフ市場で、米国産のシェアは3分の2を保持している。メキシコ向けは17万4667トン、同8%増だが、為替相場におけるペソの安さもあり、輸出額は7億3250万ドル、同9%減。香港向け量(7万4945トン、5%減)、額(4億5250万ドル、20%減)とも減少しているが、9月単月では9715トン、19%増、額5950万ドル、17%増。

一方、9月の豚肉輸出はメキシコ向けが6万6567トン、同14%増。輸出額も1億3140万ドル、同25%増と2014年12月以来で最高となった。1〜9月の輸出量は51万737トン、同4%増、輸出額9億3970万ドル、1%増。USMEFがメキシコの豚肉需要の底上げに尽力している結果が毎年確実に現れており、メキシコの1人当たりの豚肉消費量は2011年から20%近く伸びている。

メキシコ向けと製品構成が似た傾向にある中国・香港向けの出荷は鈍化した。輸出量は3万6184トン、26%増と前年を大きく上回っているものの、中国国内の豚肉生産の回復した影響で、5月のピーク時(5万8000トン)からは著しく減少している。1〜9月の中国・香港向け輸出量は40万6422トン、70%増。輸出額は7億8730万ドル、57%増。

1〜9月の日本向け輸出量は28万9594トン、同8%減。輸出額は11億6000万ドル、同5%減となった。これは前年を下回るペースだが、高価なチルドポークの輸出は16万4087トン、同10%増と記録的なペースを維持している。豚肉生産量が増大する中で、日本向けチルド輸出はロインとバットの重要な販路となっている。

 

※2016年11月7日 USMEF News

 
業界ニュース

タン輸出好調、牛肉価格の落ち込みを下支え

 
 

今年これまでの肉牛のと畜頭数は前年比で5%増加しているものの、牛タンの日本向け輸出が好調で副産物価格を押し上げている。豪州のと畜頭数が激減していることも、日本向け輸出が好調な要因の1つ。1〜8月のバラエティーミートの日本向け輸出量は3万4000トン(前年比36%増)、輸出額は2億3250万ドル(同34%増)。

反対に、バラエティーミートの最大の輸出市場であるメキシコ向けは、1〜8月の輸出量は7万4385トンだが、輸出額はわずか1億7150万ドル。エジプト向け輸出量は6万721トンだが、レバーが主体のため輸出額は6500万ドル。タンは、牛から取れる副産物では皮に次いで高価。日本向け輸出額の増加は、タンの売上増が反映されている。

と畜頭数の増加にもかかわらず、牛の副産物価格は通年で前年を上回って推移している。10月第3週のと畜頭数は前年同週比11.0%増だが、副産物価格は100ポンド当たり11.67ドルで前年比6.8%増。USDAによる副産物価格は、典型的な去勢牛のと畜重量・1400ポンドを基にしており、原皮から血粉まで16品目が含まれる。

先週月曜の合計取引重量は1863ポンド。皮革はしばしば合計額の3分の2を占めるが、先週は46%。これは他の数品目、特にタンの強さを表している。タンの価格はポンド当たり5.50ドタンで合計額の11.3%を占めた。タンは一時7ドルにまで達したこともある。タンに続いて売上構成の高いのは牛脂(10.1%)、オックステール(6.3%)、胃(5.3%)。

タンの日本向け輸出増は、豪州のと畜頭数の減少に伴って同国のタン輸出が大幅に減少しているため。アナリストは、同じ理由から皮革、胃や他の品目の価格も押しあがっているという。

 

※2016年11月7日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

9月の豚肉在庫、輸出増で前年比2.1%減

 
 

食肉の在庫は潤沢で、短期的には価格を抑制しそうだ。9月末の牛肉、豚肉、家きん類合計の在庫は24億4300万ポンドで、前月比1.6%増。過去5年平均比では11%増。8月から9月にかけての在庫増加率は、過去5年平均比ではわずか0.2%増であるが、前月比では2.1%増加した。

豚肉の在庫量は前年より2.1%少ない。8・9月にと畜頭数が大幅に増加したにもかかわらず、冷凍在庫が前年より少ないのは、豚肉全体の需要が好調であることと、パッカーが様々な販路で製品販売を維持することに成功しているためだろう。特に輸出の増加が助けになっている。

9月の豚肉輸出量は推定で前年比9%増。しかし豚のと畜頭数は10月も拡大したと予測される一方で、輸出は鈍化の兆候を見せている。10月の豚肉在庫はさらに増加すると予想するが、それによる市況への影響は短期的には軽微だろう。

 

※2016年10月31日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  冷凍豚肉の在庫量の推移
 
トピックス

肥育牛重量は1935年から56%アップ

 
 

昨年の肉牛のと畜頭数は1963年以来最少となったが、1頭当たりの重量が大幅に増加し、と畜頭数の減少を補った。2015年のと畜牛の平均重量は、前年を30ポンド上回る1360ポンドと新記録に達した。連邦の格付がされた肥育牛の枝肉重量の平均は、21ポンド増の829ポンド。

生体牛の平均重量は、1990年から224ポンド(20%)の増加。USDAがと畜統計を開始した1935年からは56%増加したことになる。1990年以降、枝肉の平均重量は143ポンド、21%増。USDAの記録が開始された1921年の枝肉平均重量は541ポンド、最低記録は1934年の450ポンドだった。

この歴史的な見方の要点は、USDA・NASS(国立農業統計局)の「米国のと畜産業の概観」レポートに記載されている。2015年は去勢牛、未経産牛ともに新記録を達成した。去勢牛の平均は892ポンドで、前年比20ポンド増。未経産牛は平均818ポンドで同18ポンド増。NASSによれば、肥育牛のと畜頭数は1990年代に安定して増加した後、2000年代初めから減少傾向にある。2015年のと畜頭数は2880万頭で前年比5%減。年間のと畜頭数は1963年以降で最も少なかった。過去25年間でと畜頭数が最も多かったのは、1996年の3660万頭だ。これは1990年から2004年までのキャトルサイクルのピークと重なっているという。

またNASSのレポートでは、牛肉処理産業の上位集中が緩和される傾向も明らかになっている。2000年には年間100万頭以上の処理工場で2110万頭、連邦格付け頭数の59%が処理されていたが、2015年になると、これらの工場で処理されたのは1620万頭、連邦格付け頭数の57%。最大の変化は、第2、第3グループだ。2000年には年間50万〜99万9999頭までの工場で連邦格付け頭数の15%がと畜されていたが、2015年には8.5%までに低下。反対に、年間30万〜49万9999頭の処理工場は2000年が10%であったのに対し、2015年には19%まで増加した。

 

※2016年11月7日CATTEL BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

レストラン売上増、短期的需要改善の可能性

 
 

今夏に食肉価格が著しく低下した一因は、フードサービスビジネスの停滞にある。レストランの来店客数が伸び悩み、8月の指数は2009年後半以降で最低の水準に落ち込んだ。夏季の売上低迷には複数の要因がある。

一つは、小売の販売価格とフードサービスのメニュー価格の相違が拡大していることだ。9月のCP(I 消費者物価指数)のデータによれば、家庭で消費される食品(主に食料品店で売られる食品)の価格は、前年比2.2%安。片やフードサービスやその他の施設(家庭外で食べられる食品の価格)は同2.4%高。食料品店がレストランでの食事の代替案の提案を強化、しかも低価格での提供に力を注いでいることがレストランの売上に影響している。

しかし、小売とフードサービスの価格差は問題の一部にすぎない。消費者の嗜好は変化してきており、新たなコンセプトを確立したレストランは非常に大きな支持を集めている。これは大手チェーン店にとって明らかな試練だ。全米レストラン協会のフードサービス・インデックスの9月の調査結果には、いくらか良化の兆しが見て取れる。

9月のレストラン追跡指数は100.8と前月より1.2ポイント高まり、昨年4月以降で最高となった。来店客数の指数は100.2で、8月の96.1から大幅に向上して2月以来最高の伸びとなった。来店数の改善は、経済成長と雇用者数の安定に連動している。第3四半期のGDP成長率は推定2.9%、就労者数は増加しつつ、失業率は5%で安定している。国内経済の長期的な成長に連動して、今年はこれまでに160万の新規雇用が創出され、一人当たりの可処分所得成長率は2%近くで推移している。

 

※2016年10月31日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  食料品店とフードサービス店におれる食品価格の推移
 
セーフティ関連

FSISの5カ年計画公表、サンプリングを増強等

 
 

FSIS(米国農務省食品安全検査局)は2017〜2022年の5カ年計画を公表した。計画では、病原体サンプリングプログラムの強化や各施設が病原体削減実施基準を満たすことを確実にするなどの事柄が含まれている。

67ページに及ぶ計画書では、次の3つの目的にどうやってアプローチするかを説明している。①食中毒を予防し、公衆衛生を遵守すること ②検査システム、ポリシーを最新の科学的アプローチを用いて近代化する ③オペレーション上の卓越性を成し遂げること。

5カ年計画でFSIS自らが規制する製品において、病原体や化学物質の残留検査をより漏れなく網羅するために、サンプリングの範囲や頻度を拡大する方法を記載している。各製品から1つだけサンプルを抽出すれば、多数の微生物的危険性や化学物質の残留を検査できるように試験方法を統一することや、正確性と効率性を高める新たな技術を採用すること、また危険性と問題の識別・定義をより明確にすることなどが記載されている。

FSISは、特定サンプリングの空白を補完し、検査の例外を減らしつつ、規制製品が汚染される相対的リスクに関する知識を収集するために、サンプル抽出の設備の割合も増加する予定だ。

「このアプローチは、危険度によって検査に優先順位を付けることで、最大限に公衆衛生に貢献すると同時に、リソースの割当を改善させる」と明記。照準を定めた検査活動では、公衆衛生リスク評価(PHREs)、食品安全評価(FSAs)、そして設備が十分な工程管理を保っているかを評価するフォローアップ・サンプリングなどで、毎年利用可能なデータを評価し、病原体管理基準をより厳重なものに改善することを記載している。

 

※2016年11月8日 Meatingplace.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート