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TRADER'S Be & Po

vol.278 Nov.07.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース フィードロットの導入頭数減、先物を刺激
穀物関連ニュース トウモロコシ生産増、食肉生産拡大を後押し
ワールドトレード インドネシアでインド産水牛肉が豪州のシェア奪う
ポーク関連ニュース 豚肉在庫、前月比5.7%増で先物弱気に
フードサービス アマゾンがレストランメニューの無料配達を開始
USMEFインフォメーション かたまり肉推進プロジェクトがスタート
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2016年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

フィードロットの導入頭数減、先物を刺激

 
 

USDA(米国農務省)のCOFレポートによると、10月1日時点のフィードロットにおける総飼養頭数は1026万6000頭(前年同月比0.4%増)。9月の導入頭数は190万5000頭(同1.9%減)で、1996年の統計開始以来、9月としては最低を記録。これに対して、出荷頭数は173万2000頭(同5.5%増)と増加した。

今年に入ってこれまでは、レポートが発表されても先物市場にはほとんど影響がなかったが、今回は導入頭数の少なさ、しかも重量級の牛の導入が昨年を下回ったことで、先物市場は即座に反応した。レポートが公表された金曜日(10月21日)に生体牛の先物は10月分が197ポイント上昇、さらに27日までに200ポイント上昇した。

重量区分別の導入頭数を見ると、2つ区分で大幅に増加し、他の2区分では急激に減少した。700〜799ポンドは9.4%、3万9000頭の増加、600〜699ポンドは3.4%、1万頭増となった半面、600ポンド未満は14.8%、6万頭の減少、800ポンド以上は3.0%、2万5000頭の減少となった。

飼養頭数はテキサスが最も多く245万頭(前年同月比5万頭減)、次いでカンザス222万頭(2万頭増)、ネブラスカは216万頭(11万頭減)。アリゾナ、コロラド、アイダホ、カンザス、オクラホマ、サウスダコタでは増加した。テキサス(10%減)とネブラスカ(8%減)では減少した。出荷頭数はアイダホ、アイオワ、ネブラスカ、ワシントンを除く全ての州で前年よりも増加。テキサスは14%増、カンザス13%増、コロラド10%増など。

◎ と畜頭数は高水準が続く

ビーフパッカーの営業マージンが良好なため、肥育牛のと畜頭数は去勢・未経産ともに増加している。10月第3週のと畜頭数は推定61万3000頭と5週連続で60万頭を超えた。これに連動して、牛肉のカットアウト価格はチョイス、セレクトともに続落した。

アナリストは「カットアウト価格がさらに低下して、生体牛が高くなったとしても、パッカーは現在のと畜頭数を維持するだろう」という。ヘッジャーズエッジドットコムのデータによれば、パッカーのマージンは10月の4週間の平均で1頭当たり128.54ドル。

ただ、パッカーの販売量は大量の生産に追いついていない。10月第3週のボックスビーフの総販売量は前年同週比1%減、過去5年平均比では12%減と3週連続で減少。感謝祭(11月24日)に向けた七面鳥の拡販はまだ本格化していないが、小売、外食ともに先週の牛肉販売は鈍かった。

USDAのデータによると、牛肉の総取引量は432ロード(≒コンテナ)で、前週(444ロード)より減少した。カットアウト価格の下落は主にロインの値下がりによるもの。リブは堅調で他の品目も価格は維持している。アナリストはロインの値下がりは一時的なものですぐに回復するだろうと予想している。

 

※2016年10月31日 Cattle Buyers Weekly

 
穀物関連ニュース

トウモロコシ生産増、食肉生産拡大を後押し

 
 

USDAの世界農業需給予測(WASDE)レポートでは、2016年のトウモロコシの生産量は150億5700万ブッシェル(前年比10.7%増)と予想されている。この増加は、作付面積の増加(7.6%増)と収穫量の増加(3%増)の双方によるものだ。

米国のトウモロコシには、主に需要が3つある。家畜飼料、エタノール、そして輸出だ。

アナリストや市場関係者の間では、「エタノール需要はいまや完全な飽和点に達した」とされているが、USDAは2016〜17年のエタノール使用量は1.3%増加すると予想する。ここに前年より7500万ブッシェル多いトウモロコシが吸収されることになるが、全体の増加(14億5千万ブッシェル)と比較するとわずかだ。

2016〜17年の輸出量は17.2%、3億2700万ブッシェル増と予測されている。しかしこの需要は為替に左右される。また中国は、農産物価格支持政策の結果として大量のトウモロコシを備蓄しており、この在庫消化の動きが米国のトウモロコシの輸出需要にも影響を与える可能性がある。

従って、今年の記録的なトウモロコシの収穫量の大部分を吸収するのは飼料だ。USDAは飼料とその持越し在庫は8.8%(4億5800万ブッシェル増)と予想しているが、これは2007〜08年以来で最大量となる。さらに現在、米国の家畜、家きん類生産者は、エタノール生成の副産物・DDGsもかなり大量に吸収しなければならない。DDGsの供給量はトウモロコシ9億ブッシェル分に相当する。飼料の増加により、米国の食肉生産増、供給増は2017年まで続くだろう。

 

※2016年10月17日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  トウモロコシの在庫率と生産者価格の推移
 
ワールドトレード

インドネシアでインド産水牛肉が豪州のシェア奪う

 
 

インドネシアでは、低品質ながら安価なインド産の水牛肉が豪州産牛肉と競合している。BMIリサーチ社によれば、豪州産のボックスビーフ価格がキロ当たり4.40ドルに対し、インド産カラビーフ(水牛肉)の輸出価格はわずか3.10ドル。この価格差が、インドネシア市場に注力してきた豪州の牛肉輸出業者を悩ませている。

インドネシアは今年から冷凍の水牛肉カットの輸入を開始した。これは高値(キロ当たり117,000インドネシアルピア=米ドル換算9ドル)にある国内産牛肉価格を引き下げるために政府が下した決断だ。2016年のカラビーフ輸入予定量は8万トンで、2015年に輸入された豪州産牛肉の2倍以上の数量だ。

BMIリサーチの担当者は「インドネシアの牛肉価格は、近年急騰している。国内供給が不十分であるため、政府は輸入レベルで供給量を確保しようとしている。そのため、インドは低価格な牛肉を大量に輸出できるようになった。東南アジアや中東、また中国でも輸入牛肉の需要が拡大しており、そうした国々ではインド産牛肉が安定した需要を生み出している」という。

豪州産の輸出業者が苦戦している背景には、インドネシアの生体牛輸入許可システム変更に加えて、カラビーフがこの市場に足がかりを築いたこともあり、この2カ月間の豪州産牛肉の輸入量はごくわずかな量に留まっている。

カラビーフは、露店でよく売られているバスコボールのようなポピュラーな製品に使用されている。牛肉を直接購入する消費者は、むしろ水牛肉を避けて冷蔵の豪州産牛肉を買うのではないかとの指摘もあり、インドネシア市場におけるインド産水牛の本当の影響が明らかになるのはもう少し先になるだろう。

 

※2016年10月26日 FOODMARKET.com

 
ポーク関連ニュース

豚肉在庫、前月比5.7%増で先物弱気に

 
 

9月末の食肉・家きん類の合計在庫は24億4300万ポンド(前年同月比1.6%増)で前月に比べて2.2%増加した。過去5年平均比では11%、22億ポンドの増加。このうち、豚肉の在庫は6億4200万ポンド(同2.1%減)で、前月比では5.7%、3300万ポンド増加した。

豚肉在庫は過去5年平均に比べると10.9%(5億7900万ポンド)も多く、肥育豚の先物価格は引き続き弱気となった。モモ肉の在庫は2億4900万ポンド(同1%増)、前月比10%増。過去5年平均比では19.5%、2億840万ポンドの増加。バラ肉の在庫は2500万ポンドで、前月から710万ポンド減少したが、前年同月比ではまだ2倍以上の水準。

牛肉在庫は5億2070万ポンド(同4.5%増)で、前月比では9.3%増加し、アナリストの予想平均4億9400万ポンドを大きく上回った。鶏肉在庫は7億6870万ポンド(同4%減)で、前月比0.6%減だが、過去5年平均比では12.4%増。七面鳥の在庫は5億1110万ポンド(同3.7%増)。8月から3.8%減少したものの、過去5年平均比では2%の増加となった。

 

※2016年10月21日 FOODMARKET.com

 
フードサービス

アマゾンがレストランメニューの無料配達を開始

 
 

アマゾンは、ブルックリン地区のプライム会員に向けに、130社以上の人気レストランのメニューを1時間以内に無料で配達するサービスを開始すると発表した。レストランには、ロバータズピザ、ブルーリボンブラセリー、モモフクミルクバー、トールダ、ヒルカントリーバーベキュー & チキンなどが含まれている。

利用客はプライム・ナウのモバイルアプリ、ウェブサイトからサービスに参加しているレストランのメニューを見て注文する。レストランから自宅へ向かう配達員の状況などもリアルタイムで確認することができる。アマゾン・レストランの統括マネージャーは「特急便の便利さを愛用しているプライム会員は、マンハッタンとブルックリンの500を超えるレストランからメニューを選び、1時間以内に食事することができる」とそのメリットを強調する。

プライム・ナウ・レストランデリバリーは配達が無料で、別途のサービス料金はなく、利用客はレストランと同じ価格で全ての注文ができる。ヒルカントリーグループのCEOは「2年前にブルックリンの商業地区に店をオープンしたが、ブルックリン中の人々にヒルカントリーの商品をお届けし、一層のファンを獲得できることに興奮している。私たちと同じく顧客の満足体験を第一に考えているアマゾンのようなEコマース、物流リーダーと手を組むことができるのは素晴らしい」という。

 

※2016年10月26日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

かたまり肉推進プロジェクトがスタート

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は11月初旬から年末の需要期に向けて、かたまり肉の需要喚起と販促活動の一環として「かたまり肉推進プロジェクト」をスタートさせます。これまで、かたまり肉を買いたくても切り方や作り方がわからずに敬遠されていたお客さまに、かたまり肉が簡単に調理でき、おいしく味わっていただけることを紹介することで、流通販売各社のかたまり肉販売を促進、サポートすることを目的としたものです。

店頭に設置したPOP、商品ラベルなどのQRコードから、スマートフォンを介してUSMEFのホームページ内に特設した「かたまり肉推進プロジェクト」の専用ページに遷移していただくと、映像を中心としたコンテンツでかたまり肉の魅力を訴求し、「切り方」や「調理方法」を紹介する仕組みです。

専用サイトでは肩ロース、バラ、ロースのかたまり肉の切り方、調理方法を動画で説明するとともに、多彩なレシピも提案し、かたまり肉の汎用性も訴求します。商品トレイに添付するラベルは専用の発注書、POP(B5)はUSMEFホームページから11月9日よりダウンロードが可能です=「業界の方向けサイト」⇒「販促ツール/ガイドブック」⇒「印刷用素材ダウンロード」。

  かたまり肉推進プロジェクト
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート