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TRADER'S Be & Po

vol.277 Oct.24.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格は底値からの回復を模索
トピックス ポークパッカーのと畜能力ランキング―NPB
需給トレンド 2016年は主要食肉すべての生産が大幅増
業界ニュース CABが10年連続で販売記録を更新
アトキンスが業務提携で低炭水化物食宅配
リテール アマゾンが食料品ビジネスを拡大
ウォルマート、店舗の高質化でアマゾンに対抗
消費動向 食料品のオンライン売上、世界で480億ドルに
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2016年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格は底値からの回復を模索

 
 

生体牛の現金取引価格はこの2カ月間で今夏の最低価格を4回も更新。9月第4週には過去6年間で最低価格を記録した。10月3日の先物取引では、10月分の終値が100ポンド当たりで100ドルを割り込んだ。これは2010年11月以来初のことだ。第4半期の食肉および家きん肉類の生産量予想が多かったため、10月、12月分の先物取引価格が値崩れしている。

10月5日の先物取引では、10月分は102.85ドルとわずかに回復したが、現金取引市場でカンザスの肥育業者が肥育牛を102ドル、前週比2ドル近い安値で売りだし、1万3800頭余りがこの価格で取引された。ネブラスカでは2500頭が生体牛102.53ドル、枝肉価格158.80ドルで取引され、アイオワ・ミネソタでは1500頭が生体牛99.68ドル、枝肉価格158ドルで売買された。

6日午前は北部の取引がより活発となり、ネブラスカでは2万頭が生体牛101.55ドル、枝肉価格159ドル、アイオワ・ミネソタでも枝肉価格159ドル、生体牛は99.46ドルで取引された。カンザスでは2950頭が生体牛102ドルで、テキサスでも3600頭が102ドルで取引された。

フィードロットの積極的な出荷の結果、2016年の残り期間は、肥育牛の供給は前年を下回ると予想される。アナリストは「枝肉重量も肥育牛が適切なタイミングで出荷されていることを証明している。パッカーがこれまでと同レベルのと畜頭数を維持すれば価格は回復へ向かうだろう」という。

 

※2016年10月10日 CATTEL BYUERS WEEKLY

 
トピックス

ポークパッカーのと畜能力ランキング―NPB

 
 

NPB(全米豚肉委員会)はホームページで2016年のポーク・クイックファクトならびにチェックオフ・フォト・ライブラリーを公開した。クイックファクトには米国の豚肉産業の概要、各種統計が掲載されているが、ここではポークパッカーのと畜能力ランキング(抜粋)を掲載する。

2016年春時点での1日当たりのと畜能力1位はスミスフィールドグループで11万5000頭(ジョン・モレル、ファームランド、プレミアム・スタンダードファーム含め計8工場)。2位はカーギルからポーク部門を買収したJBSで8万9800頭(5工場)。3位はタイソンフーズ8万950頭(7工場)。

4位はホーメル3万6800頭(3工場)だが、5位のトライアンフフーズ2万1500頭と6位のシーボードフーズ2万500頭は営業が一体化されており、合算すると4万2000頭で第4位となる。両社はアイオワ州に新工場を建設中(2017年夏稼働予定)。他にもプレステージファームなどが新工場の建設計画を発表しており、2017年〜2018年にかけてポークパッカー業界の勢力図は変動含みの展開が予想される。

  米国の主要ポークパッカーの1日当たりのと畜能力ランキング
 
需給トレンド

2016年は主要食肉すべての生産が大幅増

 
 

USDAの世界農業需給予測によると、米国の食肉供給は2016年に劇的に拡大し、しかも2017年も増加する見込みだ(図表参照)。2011〜2013年の3年間、米国産の牛肉・豚肉・鶏肉の生産量の平均はおよそ860億ポンド。生産者は悪天候と高い飼料コストのため、拡大を見合わせ、供給はほどほど安定していた。

2014年に生産量は減少したが、その大部分は牛肉生産量が14億ポンド(5.4%)減少したことによるもの。豚肉生産量も4億ポンド(1.5%)減少したが、鶏肉の増加により主要三畜種の生産量は853億3500万ポンド、前年比10億ポンド減だった。

これに対し、2016年の生産量の好転は驚異的だ。2016年の牛肉生産量は250億3100万ポンドと予測され、前年比で12億7100万ポンドも増加する。2017年の牛肉生産量は259億4400万ポンドに達すると推定されており、2016年比9億1300万ポ ンド増、2015年比では22億ポンドも増加する。

肥育牛価格は、この供給増に反応している。先物価格は2014年の終わりに、100ポンド当たりで170ドル近辺へ達したが、現在はそれより約70ドルも安い。当然、牛肉供給が増加すればするほど小売価格は低下し、食肉間の価格競合も厳しくなる。

2016年の豚肉生産量は249億ポンド(前年比1.7%増)で4億ポンドの増加が予想されている。これは2011〜2014年の平均生産量と比べ20億ポンド以上も多い。現時点での2017年の豚肉生産予測は258億8100万ポンド(同3.8%増)でさらに9億5300万ポンド以上の増加が見込まれている。

すでに肥育豚の価格は2〜3年前と比べて、大幅に低下しているが、豚肉と食肉全体の生産量が今後も増加していくことを考慮すると、今後の豚肉価格を左右するのは輸出市場だ。国内の販路は飽和状態であり、供給増の一部を輸出市場で消化できるかどうかがポイントだ。

 

※2016年10月17日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  牛肉生産量の実績と見通し(枝肉換算)
  豚肉生産量の実績と見通し(枝肉換算)
 
業界ニュース

CABが10年連続で販売記録を更新

 
 

サーテイファイド・アンガス・ビーフLLCは、2016会計年度のCAB製品の出荷量が10億1500万ポンド(前年比13.3%増)となり、10年連続で記録を更新したことを発表した。ジョン・スティカ代表は「高品質なアンガス牛の供給が劇的に増加し、CABのパートナーはより多くの高品質な牛肉を消費者に届けることができた。深刻な干ばつの後、牛群の再構築のみならず、高品質のアンガス牛を増やし、プレミアムビーフの供給を増やすことに注力した生産者の努力が結実した」とコメント。

2016年度は8カ月で過去最高の販売量を記録。特に7〜9月は連続して月間9000万ポンドの販売量を達成し、グリルシーズンにおけるCABの強さを実証した。すべての製品区分で販売量が増加し、プレミアムステーキ(ミドルミート)は11.4%増、エンドミートは14.9%増、ひき肉は7.9%増。

業態別では、供給量増加に伴う価格低下と、パートナーの積極的な販売促進により小売部門の販売量は18.5%増と爆発的な伸びをみせ、フードサービス部門も6.3%増と7年連続で販売量の記録更新を達成した。海外の販売量は49カ国計で1億3800万ポンドと新記録を達成したが、これは日本市場が牽引したとしている。

 

※2016年年9月12日 FOODMARKET.com

 
 

アトキンスが業務提携で低炭水化物食宅配

 
 

オンラインでミールキットを最初に販売したシェフトと、低炭水化物の食生活ブランドを牽引するアトキンス・ニュートリショナルズが、フレッシュミールキットの販売で提携することを発表した。アトキンスの低炭水化物レシピによる食事の材料を全国に宅配する。

この共同事業では、正真正銘のアトキンスのレシピと栄養ガイドラインに沿っていることを保証するため、アトキンスの栄養士が評価を行い、新鮮な食材とレシピをシェフトが届ける。

シェフトの最高経営責任者、カイル・ランスフォード氏は「私はいつもアトキンス博士に触発されている。アトキンスは低炭水化物食生活のリーダーになったが、今回の提携を通して、彼の革新的なアプローチをより手軽に取り入れることができるようになり、健康的で新鮮な低炭水化物食のさまざまな食事が楽しめるようになる」

消費者はAtkins.comでフレッシュミールキットについて熟読でき、「購入ボタン」を押すとChef'd.comの個々の商品ページへ直にジャンプし、簡単な手順で注文することができるようになっている。シェフトは配達サービスで人数分の調理済み食材とレシピカードを24〜48時間以内に提供する。

アトキンス・ニュートリショナルズの社長兼最高経営責任者であるジョセフ・スカルツォ氏は「この提携は人々の生活に、簡単かつおいしい低炭水化物食生活の維持を助ける革新的な方法の一つになる」としている。当初発売されるのはズッキーニ・チキン・アルフレイドウ、キムチ・ステーキなど20レシピで、順次拡大される予定。価格は一食につき10〜18.50ドル。

 

※2016年年10月13日 FOODMARKET.com

 
リテール

アマゾンが食料品ビジネスを拡大

 
 

情報筋によると、アマゾンはコンビニエンスストアを受取場所とする食料品ビジネスを推し進める。農産物、牛乳、食肉や他の生鮮食品を顧客が受け取れる実店舗をシアトルに建設中。顧客はあらかじめ携帯や店舗周辺のタッチパネルで注文ができ、同日に商品を受取ることができるようになる。

素早い決済を求める顧客に対しては、オンラインで注文した食料品を車上で渡すドライブスルー拠点を設ける計画で、待ち時間を短縮するためのナンバープレート読み取り技術の向上も進めているという。

社内で「プロジェクト・コモ」と呼ばれるこの食料品店は、指定した時間に食品を即日配達できる生鮮品の定期お届けサービスも予定。アマゾンは先週、フレッシュサービスの年会費299ドルを廃止し、毎月15ドルの利用料金を設定、年間99ドルのプライム会員の利用も可能にした。

アマゾンの新店舗と食料品ビジネスは、通販サイトを拡大しているウォルマートなど他の食料品店とより直接的に競合することになる。モルガン・スタンレー・リサーチによると、食料品は消費者支出の約5分の1を占めるが、オンラインでの食料品購入は米国の食料品売上の2%未満にしかすぎない。しかし「今年は2倍以上の420億ドルに達する見込み」としている。

 

※2016年10月12日 FOODMARKET.com

  アマゾン食料品ビジネス
 
 

ウォルマート、店舗の高質化でアマゾンに対抗

 
 

専門家は「ウォルマートは、オンラインとオフラインの販路をシームレスにつなぐために、物理的な資産(店舗)の影響力を行使し、アマゾンと競っているネット通販のシェアを最大限化するだろう」と予想する。

ウォルマートは、先週の株主総会でスーパーセンター35店と通常店20店舗を予定していた2018会計年度の新設店計画を修正すると発表した。昨年はスーパーセンター69店と通常店161店舗を出店した。投資額は2016会計年度の68億ドルから2017年度は64億ドル、2018年は61億ドルとなるが、「来年は新店舗よりも改装により多くの資金を投下する。店舗をより高質化し、素早く利益を出すことに焦点を当てる」とグレッグ・フォーラン社長は投資家に語った。

ウォルマートは既存店の売上高とEコマースの成長による増収に依存することになるが、アナリストは「それは店舗がもはや重要でないということではない。米国の人口の90%がウォルマートの店舗から15分以内に住んでいるという力強い利点がある。 実店舗を持つ従来型の小売業者は、特にアマゾンのプライムサービスへ対抗し、オムニチャンネルの一環として店舗を利用する方法を模索していく」という。

アマゾンのプライム会員は6000万人、米国では4100万人にのぼるが、一方でプライム会員の半数近く(42%)がウォルマートで買い物をしている。ウォルマートは8月にEコマースの専門会社「Jet.com」を33億ドルで買収している。

 

※2016年10月11日 FOODMARKET.com

 
消費動向

食料品のオンライン売上、世界で480億ドルに

 
 

カンター・ワールドパネル社のレポートによると、日用消費財(主に食料品、日用の洗面用品や化粧品等を含む)の世界的な総売上額は2016年6月までの12カ月間で1.6%増加したが、同商品群のオンラインでの売上は15%増加し、市場全体の4.4%に 匹敵する480億ドルを占めているという。

同レポートでは、食料品のオンライン売上の世界的な成長は、食料品全体の成長速度をはるかに上回っており、2025年までに世界のEコマースの食料品売上は市場の9%、1500億ドルに達するだろうと予想。「アマゾンのような新規参入業者が急速に拡大することで、この産業は激震に直面しつつある」と指摘している。

食料品のオンライン販売は世界全体で着実に成長しているが、地域によってばらつきがあり、その地域差はインターネット接続のしやすさのレベルにはほとんど関連性がない。米国やドイツなど、経済の成熟した国々やブラジルなどの新興国では食料品・日用品市場におけるEコマースのシェアは低いままだという。

国別のEコマースの推定シェアは韓国が16.6%と圧倒的に高く、次いで日本7.2%、英国6.9%、フランス5.3%、台湾5.2%、中国4.2%、チェコ共和国2.1%、スペイン・オランダ各1.7%、米国1.4%など。

米国での食品のオンライン購入の浸透はゆっくりだが、これはアマゾンが主体であったためと考えられる。中国ではアリババグループホールディングスとJD.comがオンラインショッピングサイトを運営しているが、アジアでは買い物イベント(○○祭などの催し)がオンライン小売業者に利益をもたらしている。中国の光棍節(こうこんせつ=「独身者の日」)は、11月11日に24時間行われる買い物イベントだが、これによって食料品をEコマースで購入する世帯が2013年の30%から2016年には46%まで上昇している。

韓国では、インターネットが高速でスマートフォンの普及率が85%であることから、10代から40代までのほんどの消費者がオンラインで買い物しており、今後10年以内に日用消費財のオンライン購入シェアは25%に急成長するとみられている。

この調査は3大陸の主要諸国、50万件以上の購入を追跡した結果に基づいている。

 

※2016年10月10日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート