肥育豚の先物価格はさらに値下がりし、秋季の価格は今のところ過去20年間で最悪ともいえる動きを見せている(図2を参照)。9月1日以降、先物が800ポイントも引き下げられたのには複合的な要因がある。
まず、と畜頭数が多い上に、重量が急激に増加していることだ。出荷重量は枝肉で209ポンドを超過し、8月中旬よりも1.3%、2.8ポンド重い。生体重量が9月に向けて増加するのは珍しくないが、ここ最近の増加ペースは予想を超えている。レイバー・デイによる稼働日の減少がきっかけとなり、また大手パッカーの巨大工場が数日稼働できなかったことが拍車をかけた。
先週の肥育豚のと畜頭数は235万9000頭(前年同週比3.1%増)で、USDAレポートで示された予想よりも2.2%多い。現状では肥育豚と豚肉の価格差が拡大し、パッカーは継続して利益を得ていることから、引き続きと畜を増大させそうだが、問題は供給増加の中でカットアウト価格をどこまで維持できるかだ。
米ドルの強さは、米国産食肉の輸出にとってマイナス要因だが、特に豚肉製品は輸出割合が他の食肉より多いことから影響が大きい。肥育豚の供給が年間で最も多くなる第4四半期は、特に輸出が重要となる。今年の中国の冷蔵・冷凍豚肉の輸入量は、これまでの月間平均で13万5100トン、2年前の月平均4万8700トンを大きく上回っている。ただ、この中国の輸入増で最も利益を得ているのはドイツ、デンマーク、スペインなどのEU諸国。米ドルの対ユーロの為替レートは、生体豚価格とともに今秋の豚肉市況を左右する大きな要因となるだろう。
他の食肉との競合も激しくなる。牛肉の生産量は2016年に5.2%増加すると予想され、スーパーでの販促が増えている。この先も豚肉や家きん類に比べて牛肉の売上目標が高く設定される可能性がある。
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