この6週間で肥育豚価格は急落した。需要面で2つの大きな要因がある。第一はバラ肉の需要が予期されたほどは強まらず、カットアウト価格が下落し、パッカーの肥育豚購入価格に直接的な影響を及ぼしたこと。第二の要因は7月の輸出需要が著しく鈍化したことだ。先物価格は若干改善しているが、依然として多くのリスクがある。以下、今後の供給と輸出の見通しを示す。
供給:ここ4週間の豚の週当たりと畜頭数は平均で222万6000頭(前年同期比2.4%増)。6月の豚飼養動向で示された水準よりも多い。生産者が6月の出荷遅れを7月から8月上旬になって取り戻そうとしたことで、と畜頭数が増加した。6月以降のと畜頭数は累計2344万8000頭(前年同期比1.1%増)。
例年、秋口には気温の低下と新鮮なトウモロコシの出回りによって、飼料効率が改善し、生体豚の重量が増加する。出荷が遅れると、第4四半期は供給過多に陥る危険がある。
10〜11月のと畜頭数は前年より約2.5%多くなる見込み。また第4四半期のうち6週間は週当たりのと畜頭数が240万頭を超えそうだ。と畜能力を超過する大量出荷のリスクを低減するために、生産者は今後2カ月間は積極的な出荷を続ける必要がある。
需要:国内の豚肉需要が鈍化に向かう兆候がある。ミズーリ大学の月次豚肉需要指標によると、5月の指標は0.9%減、6月は0.4%減。7月はさらに低下すると予想される。
バラ肉価格の急落は、季節的需要が例年よりも弱いことを示している。過去4週間の肥育豚供給が前年比2.4%増だったこともあり、バラ肉の価格は依然として前年同期より50%以上も低い。この需要の弱さの一因は、春季に牛肉価格が下落したことで、小売業者は牛肉のステーキとひき肉の販促を活発化してきたことも影響している。
輸出:7月の豚肉輸出量は前年同月比3.5%減。第2半期の輸出増を支えてきた中国向けの需要が突然消失し、数千トンの製品がキャンセルされた。中国向け輸出は4月には週間平均で5000トン超だったのに対し、8月初めの2週間の平均は約1250トンだった。
2大輸出先であるメキシコと日本向けの輸出も7月は低調だった。一時的な価格上昇を受けて、海外バイヤーの模様眺めが強まったのであれば、秋季には回復するチャンスがある。米国産の肥育豚と豚肉の価格は現在、欧州に対して明らかに割安になっているからだ。
一時的に買いを控えた海外バイヤーも、いずれ米国産を選ぶだろう。豚肉の供給増に連動し、輸出量は第3四半期が8.3%増、第4四半期は9.5%増と予想されている。この輸出の伸びを実現しないと、肥育豚と豚肉価格はさらなる値下げリスクが増大する。
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