肥育豚価格が急落している。食肉全体の生産量が増加する一方、豚肉は供給増に見合う輸出の成長が実現できていない。結果として、より多くの食肉が国内市場に供給され、値下げ圧力となっている。
USDA(米国農務省)が発表した6月の豚肉総輸出量は14万7666トン(前年同月比3.5%増)。5月の輸出量(13万2601トン)も3.5%増だったが、この輸出量の伸びは当初の予想よりも少ない。
原因の1つは、中国向け輸出が期待値に達していないことだ。今年の中国向け輸出量は、毎月前年を上回っているが、5月の2万6919トンに対して6月は2万1000トン、7月は1万2000トンと低下することが予想される。
米国産豚肉にとって最大の市場であるメキシコ向けの輸出量も、6月には4万3771トン(前年同月比14.2%減)と減少、7月も引き続き減少すると予測される。メキシコ向け輸出の減速の一因は、モモの価格が急上昇したこと。これがメキシコのバイヤーの買い気を鈍らせているが、これは一時的なものだろう。昨年の6〜8月のメキシコ向け平均輸出量は4万8900トン、10〜12月は同5万1000トン。豚肉価格が低下していることから、今年の残り期間のメキシコ向け輸出は再び増加するだろう。
日本向け輸出量は3万2021トンでほぼ一定だが、韓国向け輸出は依然として弱く、6月は前年同月比31%減。牛肉に関しては、両国への輸出は良好だ。豪州で牛のと畜頭数が急減し、日本や韓国の需要を満たすことが困難になっているため、米国からの牛肉輸出が増加を続けている。
6月の牛肉の総輸出量(調理済み含む)は7万487トン(前年同月比1%減)。第1位の市場である日本向け輸出は2万415トン(同20%増)。過去3カ月における米国産牛肉の日本向け輸出は12%増。メキシコ向けも同26%増となっている。
一方で、米国産鶏肉の輸出は昨年のAIショックからまだ回復していない。6月の鶏肉の総輸出量は22万4196トン(同10%減)。中国や韓国など一部の市場は、いまだ米国産鶏肉の輸入を停止している。これらの市場は、2014年には輸出量全体の10%を占めていた。昨年、力強い成長を見せたアンゴラ市場への輸出も急激に落ち込んでおり、鶏肉の国内供給が増加している。
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