生体牛の現金取引価格は、先物価格の安値に引きずられて下落していたが、ようやく今夏の底値に達したようだ。7月第2週の平均価格は、100ポンド当たり114.64ドルまで落ち込んだ。これは前年の同週に比べて21.2%も安く、アナリストの多くは「昨年より積極的な出荷体制を考慮すれば、あまりにも安すぎる」という。
今年上半期(1〜6月)の去勢牛・未経産牛のと畜頭数は前年同期比4.7%増。1月の出荷頭数は前年同月比3万6000頭減だったが、その後は出荷が順調に増加し、2〜6月の5カ月間では前年を45万8000頭以上も上回っている。
7月中旬以降の週間当たりの牛肉生産量は、前年比9〜10%増と推測される。前年同時期の生産量が低かったこともあるが、この前年比の増加率がカットアウト価格の値下げ圧力となり、生体牛の現金価格を下押す要因となっていた。
しかし一方では、生体牛の現金取引価格が低下してきたことで、肥育業者の出荷がより積極的になり、パッカーマージンが黒字化。カットアウト価格の下落で小売業者のマージンも回復し、夏季後半から秋季に牛肉の販促が増加し、これらが結果的に肥育牛価格の回復に繋がるだろう。
今年これまでの牛肉生産量は3.4%増。対して豚肉生産量は0.5%減、家きん類は2.8%増。牛肉は輸出も好調になり、生産増の中でも6月末在庫は前年より4.9%減少している。アナリストは「2年間の生産減を経て、牛肉の生産と需要が回復し、安定しつつあるのは明らかだ」という。
肥育牛の格付けでは、チョイスの割合が歴史的に高い状態が続いている。7月11〜15日の週のチョイスの割合は71.83%。これは今年2月第3週の71.96%に次いで2番目に高い。カットアウト価格が前年より大幅に安いことで、小売業者が積極的な販促を継続。ここ3週間の売上は猛暑にもかかわらず安定している。一方で、この安値は輸出を伸ばす要因にもなっている。
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