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TRADER'S Be & Po

vol.271 July.25.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
輸出動向 5月の輸出は牛肉、豚肉ともに好調な伸び
市況ニュース 生体牛は先物の安値に引きずられ下落
トピックス 豪州の肉牛価格高騰、高値更新続く
ワールドトレード 中国の豚価、洪水でさらに上昇も、輸入拡大
アイルランド、米国への牛肉輸出増加
消費トレンド 食品の消費者物価指数、2016年に肉類は低下
業界ニュース 政治的な問題が食肉貿易に与える影響
USMEFインフォメーション 米国の牛枝肉の格付制度を学ぶ専用サイト更新
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2016年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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輸出動向

5月の輸出は牛肉、豚肉ともに好調な伸び

 
 

5月の米国産豚肉総輸出量は4億5880万ポンド(前年同月比5%増)と順調な伸びを維持した。この伸びの要因は、中国向けが引き続き9000万ポンド以上と好調であること。中国向けは前年同月比で140%増と、5200万ポンド以上も前年を上回り、日本および韓国向けの減少を補った。日本・韓国の減少は、ヨーロッパ産豚肉との競合が強まっていることや、牛肉の輸入が増加したことも影響しているようだ。

米国産豚肉にとって最大の市場であるメキシコ向けは、1億2500万ポンド(同11%増)と引き続き良好。このため、今夏はモモ肉がこれまでになく強気な市況展開となっている。

  5月の米国産豚肉の国別輸出量の増減
 

5月の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は2億1906万ポンド(同13.8%増)と高い伸びとなった。牛肉価格の低下に加え、為替レートで円高・ドル安が進行したことにより、日本向けが29.4%(1400万ポンド)増加した。韓国向けは60.6%増(1500万ポンド増)、メキシコ向けも39.5%増(1000万ポンド増)となった。

これら重要市場での増加は、ブラジルなどからより安い牛肉を求めている一部の小規模市場での落ち込みを相殺して余りあるものだ。さらに、これらの市場はブラジル産牛肉ではなく、豪州産牛肉の依存が高い市場であることを考慮すると、豪州産の供給が減少し続けている間、少なくとも今夏から秋季までは、これらの市場で米国産牛肉の輸入増が持続すると予想される。

  5月の米国産牛肉の国別輸出量の増減
 

※2016年7月11日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
市況ニュース

生体牛は先物の安値に引きずられ下落

 
 

生体牛の現金取引価格は、6月第4週に100ポンド当たり122.50ドルまで回復したものの、先物市場は依然として安値を続けており、現金取引もこれに引きずられている。8月分の先物取引は、例年なら回復を始める時期だが、大幅な安値で推移している。

生体牛の現金価格は前週より5.76ドル上昇、枝肉価格も平均で7.72ドル上昇し、195.53ドルとなった。しかし、生体牛価格が10ドル以上も暴落した6月第2週以前の価格にはまだ届いていない。先物価格が8月分取引で111.80ドルの安値を付けていることが影響している。

先物の安値が圧力となっているのは生体牛価格だけてはない。パッカーも牛肉の販売価格の提示に苦労している。アナリストは「パッカーはバイヤーに対して、先物価格は余りにも安すぎると伝えているが、バイヤーは模様眺めに徹している」という。

アイオワ・南ミネソタでの取引は4000頭未満と少なく、生体牛が120.66ドル、枝肉は190.67ドルだった。他の地域でも取引は不活発であり、南部プレーンズでは生体牛が、125ドルの売り出しに対して119ドルで取引された。

7月4日の祝日週の牛肉販売は良好で、6月の牛肉販売量は前年より明らかに良かった。しかし東部地区が猛暑になっていることで、7月の牛肉販売は落ち着きそうだ。アナリストは「生体牛の現金価格は、夏季の底値はすでに過ぎたが、7月の生体牛価格と牛肉の卸売牛格は下落するだろう」と予想する。

前週のチョイスのカットアウト価格は、祝日週による生産減(週当たりと畜頭数は約51万3000頭)もあり、100ポンド当たり210.05ドル前後で推移した。アナリストは、「7月下旬までに200ドル以下まで下がりそうだ。その後はレイバー・デーの祝日週から9月まで、小売業者による牛肉販促が活発になるため、8月上旬には生体牛・ボックスビーフともに価格は上昇傾向に乗るだろう」という。

 

※2016年7月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

豪州の肉牛価格高騰、高値更新続く

 
 

干ばつは肉牛の飼養頭数を縮小させるが、その後で肉牛生産者は最高値を享受することができる。これは米国の牛の生産者が2014年に経験したことだが、今や豪州の生産者も同様に最高値を享受している。オーストラリア・ビーフ・セントラル社の分析によれば、豪州の現在の肉牛価格は、ブラジルはもとより米国よりも高くなっている。

豪州のベンチマークである東部の若齢牛指標(EYCI)は、この数週間で新高値を更新し続け、6月27日にはキロ当たり6.60ドル(ポンド当たり2.26ドル)に達した。同社のジョン・コンドン氏は「この価格の急上昇は、肉牛供給の潜在的な不足に加え、東部地区での広範囲に及ぶ降雨と冬季前半の穏やかな気候が重なって起こったものだ」という。

豪州最大の肉牛販売センターであるローマ・セールヤード(クインズランド州)では先週、肉牛バイヤー間の猛烈な競り合いの中で新記録を達成した。同ヤードは2014〜2015会計年度に、37万2648頭の肉牛が販売された。6月28日には前週のほぼ2倍の1万600頭以上が販売されたが、500頭のアンガスクロス去勢牛はキロ当たり4.08ドルもの高値で販売された。

同地域に拠点をもつ家畜エージェントは「市場は加熱し、引き合いは非常に強い。4年間の干ばつで肉牛の不足が致命的となり、若い繁殖牛は非常に限られた頭数しか販売されないため、生産基盤の再構築を目指す業者にとっては最悪の状況だ」という。ABCルーラル社は豪ドルの強さ(対米ドルでおよそ0.76ドル)も輸出を主体とする牛肉産業にさらなるコスト圧力を加え、処理業者も危機を感じていると報じている。

 

※2016年7月12日 FOODMARKET.Com

 
ワールドトレード

中国の豚価、洪水でさらに上昇も、輸入拡大

 
 

中国南部での激しい洪水によって家畜数千頭が溺死、と畜場への移送が困難になるなどの被害が発生したことで、すでに記録的な高値にある豚肉価格がさらに上昇する可能性があると伝えられる。

世界最大の豚肉消費市場における価格の高騰は、ヨーロッパや北アメリカの輸出業者にとっては好機だ。ラボバンクのシニアアナリスト、パン・チェンジュン氏は「現在、中国の生体豚価格は米ドル・キロ当たり換算でおよそ2.69ドル。第3四半期までに3.29ドルを記録するかもしれない」という。これは今年上旬の最高値3.14ドルを上回る水準だ。

豪雨・洪水の農場への影響は明らかになっていないが、産業専用のWebサイトは、湖北省と安徽省における子豚死亡率の上昇を報告、農業省は数千頭の肥育豚が死んだことを発表した。中国は3700万頭の母豚を保有し、豚の飼養頭数はおよそ3億8000万頭。

アナリストは、「頭数的な影響は大きくない。と畜の遅れによる価格への影響も一時的だろうが、養豚業者への心理的な影響は大きい。気候変動が続くようであれば、飼養頭数の拡大への動きが停滞し、現在の高騰相場が予想よりも長期化することに繋がる」という。

中国の年間の豚肉消費量は約5400万トン。ほとんどが国内で供給されているが、通常、消費が安定している間は、価格の弱さに連動してと畜頭数が拡大し、その後に2年以上をかけて肥育豚と母豚の飼養頭数が減少する。母豚の頭数は今年2月に底を打ったが、子豚の疾病も一因となり飼養頭数の再構築ペースは遅い。

当初、2017年中旬までに供給は回復すると見込まれていたが、養豚業者の飼養頭数の再構築が遅れると、2017年内は現状の高値が続く可能性もある。これは輸入の増加に繋がる。パン氏は「今年の豚肉輸入量は昨年の155万トンを上回り、200万トンに達しそうだ」と予想する。世界全体の豚肉貿易量は約800万トン、中国が4分の1を占めることになる。

 

※2016年7月8日 FOODMARKET.Com

 
 

アイルランド、米国への牛肉輸出増加

 
 

アイルランドは2015年1月にEU加盟国で初めて米国への牛肉輸出が認められて以降、順調に米国市場での販売を拡大している。

アイルランドのミヒャエル・クリード農業大臣は、「米国市場での販路拡大は、アイルランドの食品安全システムが米国のシステムと同等であると認められた結果。アイルランドはEU諸国の中で、現在も米国に牛肉を輸出できる唯一の国。特に牛ひき材向けの生の牛肉を供給できるという強みがある」としている。

また声明の中で、アイルランド産牛肉とその生産・規制システムが米国に承認されたことで、この2年間で他の市場への輸出再開も促進されたとして、米国の農務長官はじめ関係者への感謝の意を述べている。現在、アイルランドで米国への牛肉輸出が許可されているのは6工場。

 

※2016年7月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
消費トレンド

食品の消費者物価指数、2016年に肉類は低下

 
 

USDA・ERS(農務省経済調査局)は、食品のインフレ率を示す食品の消費者物価指数(CPI)の食品カテゴリ別の変動予想を発表した。2016年の牛肉、豚肉の指数予測はいずれも下方修正された。

牛肉・子牛肉のCPIは4月から5月にかけて0.2ポイント上昇したが、前年同月比では5.4ポイント低い。前月の価格変動は、米国産牛肉の輸出が減少し、米国内の牛肉供給が増加し、牛肉小売価格の値下げ圧力となった。また、5月の生体牛価格は1.9%下落し、前年同月比では20.2%下落。5月の牛肉卸売価格は前月比3.1%、前年同月比で20.8%低下した。

過去のデータを見ると、米国の牛の飼養頭数が史上最低水準に近かった2014年は、生産者販売価格と牛肉卸売価格のインフレ率が高かったが、2015年後半からインフレ圧力は弱まり、生産者販売価格は下落に転じた。2016年の生産者販売価格は14.0〜13.0%下落、牛肉卸売価格は12.5〜11.5%下落すると予想。また、2016年の牛肉・子牛肉価格は4.0〜3.0%低下すると予想している。

豚肉のCPIは5月に0.3ポイント低下、前年同月比では2.4ポイント低い。2014年の豚肉小売価格のインフレ率は、PEDvの影響で肥育豚の供給が減少したことによるもの。2015年は生産拡大と米ドルの強さで輸出量が伸びず、生体豚価格が2014年を割り込んだ。豚肉の生産は2016年後半も引き続き拡大すると見られており、2016年の豚肉のCPIは0.5〜1.5ポイント低下すると予想される。

豚肉卸売価格は4月から5月にかけて4.1%上昇し、前年同月比で0.5%上昇した。全体的に豚肉の生産量は多く、分娩頭数が回復し、肥育豚の飼養頭数も増加しており、2016年の豚肉卸売価格は2.0〜1.0%低下すると予想している。

  食品の消費者物価指数(CPI)の推移と予測
 
業界ニュース

政治的な問題が食肉貿易に与える影響

 
 

英国のEU離脱、豪州の総選挙、米国の大統領選挙など、政治的な問題が世界の食肉貿易に影響を与える可能性がある。米国の食肉産業界、とりわけ牛肉と豚肉業界は、自由貿易によって市場が開かれることがいかに重要かを熟知している。だからこそ、TPP協定を支持し、それを承認するように議会を促している。しかし、大統領選挙が終わるまで進展は見られないかもしれない。

共和党、民主党それぞれの大統領候補はTPP反対を表明しているが、TPPが批准されなければ、米国産牛肉の日本向け輸出は、豪州に対して関税上の不利を受け続け、米国産豚肉は新規市場への輸出拡大が進まないだろう。また、豪州の総選挙で労働党が政権を握れば、豪州のTPPへの関与にも影響があるかも知れない。

一方、EU離脱を決めた英国の国民投票は、株式市場や為替レートなど世界の経済を一時的に混乱させたが、いずれも回復している。この問題がEU・英国への食肉輸出にどう影響するかを判断するのは時期尚早だが、米国産牛肉の輸出という点で、英国がEUを脱退した後の一つの希望は、米国産牛肉のEU向け輸出において1986年に施行されたいわゆるホルモン・フリーについて、英国と交渉できるかもしれないということだ。

ミシシッピ州立大学のブライアン・ウィリアムズ氏によると、前向きにとらえれば、これは英国が米国と独自に取引協定を交渉する自由が増えるということであり、新たな取引協定によって米国産牛肉への制約が撤廃されれば、英国向けの牛肉輸出量は劇的に増加する可能性がある。米国からの英国への牛肉輸出は、限定的であったにせよ成長してきた。2015年の輸出量は367万ポンドで、前年より91万3000ポンド増加している。

米国牛肉産業がTPPを強く支持するのは、日本市場で関税面において豪州産牛肉と公平な競争ができるためだ。日豪EPAでは現状、豪州産牛肉の関税は米国産牛肉より10%低い。日本は米国の牛肉輸出額を牽引する重要な市場である。しかし、2015年の輸出額は12億8000万ドルと、前年比で19%減少している。

一方、NPPC(全米豚肉生産者協議会)はTPPに関して、これは米国産豚肉にとって5億人近い消費者への販路を開拓・拡大するもので、米国内で豚肉輸出に関連する1万人以上の雇用創出を促すだろうと述べている。TPPの批准が進展する一つの可能性としては、大統領選挙終了から来年1月の新大統領就任までの間に、批准のための議会が開かれ、決議が行われるかもしれないということだ。

 

※2016年7月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

米国の牛枝肉の格付制度を学ぶ専用サイト更新

 
 

USMEFはこのほど、米国の牛枝肉格付け制度を解りやすく学べる専用Webサイトを更新しました。「アメリカン・ビーフの格付け制度を学ぼう〜米国牛枝肉の格付けの歴史・表示の決め方とは?〜」と題したこのサイトは、「ラーニング・モジュール」と「格付シミュレーション」の2つで構成されています。

ラーニング・モジュールでは、格付制度の歴史・手順・テクノロジーなどが学習できます。「制度の歴史」を始め、「品質等級」「歩留り等級」「ブランドプログラム」がチャプター分けされ、それぞれの等級の決め方が手順に沿って、ビジュアル的にも解りやすく解説されています。格付の制度だけではなく、と畜後の枝肉の温度やpH値と品質の関係、歩留まり等級の計算式など、さまざまな事柄が学べる内容となっています。

格付シミュレーションでは、ラーニング・モジュールで学んだ事柄を実際に試すことができます。枝肉の性別の見分け方から年齢(成熟度)の判定、リブアイの色とキメ、マーブリング(脂肪交雑)の測定などを行い、最後に格付印をスタンプできる設計になっています。格付員の目線でチャレンジしてみてください。同サイトには下記よりアクセスできます。
http://www.americanmeat.jp/index_trd.html

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート