生体牛の現金取引価格は、先物取引の暴落に引きずられて急落した。現金取引価格は6月第2週以降、2週連続して前週比5ドル安と続落し、6月第4週には100ポンド当たり116.00ドルとなった。
アナリストは「夏場の底値に向けて季節的な下降線をたどることは予想されていたが、先物がここまで暴落することは誰も予想していなかった。6月10日時点での先物は6月取引分が122.45ドル、主要5州の去勢牛の現金取引価格は127.52ドルだったが、6月20日の先物取引は114.50ドルと6営業日で795ポイントも下落。肥育業者は現金取引でも安値を受け入れざるを得なくなった」という。
過去18カ月間、先物市場はたびたび不合理な動きを見せてきたが、この2週間の動きは常軌を逸している。過去2カ月の供給頭数は、肥育業者の積極的な出荷のために2015年より多いが、肥育牛全体と去勢牛の枝肉重量はこの2年間で初めて前年を下回り、6月第2週の去勢牛の枝肉重量は前年比5ポンド減となっている。
また、フィードロットの飼養動向から推測すると、7月の出荷は前年水準を大きく下回る見込みで、今年の残り期間も前年割れが予想される。6月20日の先物取引は、これらの要因を全て無視し、6月取引分以外もすべてたたき売りしたような状況で、8月以降の先物取引は112ドル以下となった。
先物市場は、小売と外食の牛肉販売が前年より好調であるという事実も無視している。牛肉卸売価格が前年に比べて大幅に低下していることで、小売業者は牛肉の販促を積極的に行っている。レストランでの牛肉需要も強い。
こうした中で6月第4週の現金価格は、2012年7月下旬の週間最安値(114.16ドル)水準まで落ち込んだ。これを受けてカンザスとネブラスカで肥育業者が116ドルで売りを開始したことで、さらなる安値への警戒から肥育業者は完全な売りモードに入った。
昨年9月の暴落が思い起こされるが、昨秋の場合は肥育業者が数カ月にわたり出荷を遅らせ、枝肉重量が史上最高記録に近づいていた。現在はその正反対の状況にあり、今後、現金取引価格が安定することを期待したいが、それも先物の動き次第。現金価格はさらに下落し、7月に最安値を記録することになるかも知れない。
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