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TRADER'S Be & Po

vol.270 Jul.11.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格、先物暴落で現金取引も急落
牛カットアウト下落、リブ、ロイン値下がり
供給トレンド 6月の豚飼養頭数1.8%増、繁殖豚さらに増加
トピックス 2016年BBQ指標、ミレニアル世代の嗜好明らかに
ワールドトレード 中国の豚価高騰、欧州、北米市場を煽る
ポーク関連ニュース 豚肉在庫6.5%減、モモ減少、ベリーは増加
業界ニュース 米国の原皮・内臓肉の経済規模は34億ドル
USMEFインフォメーション 7月21日にプロモーションガイドブックセミナー
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2016年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格、先物暴落で現金取引も急落

 
 

生体牛の現金取引価格は、先物取引の暴落に引きずられて急落した。現金取引価格は6月第2週以降、2週連続して前週比5ドル安と続落し、6月第4週には100ポンド当たり116.00ドルとなった。

アナリストは「夏場の底値に向けて季節的な下降線をたどることは予想されていたが、先物がここまで暴落することは誰も予想していなかった。6月10日時点での先物は6月取引分が122.45ドル、主要5州の去勢牛の現金取引価格は127.52ドルだったが、6月20日の先物取引は114.50ドルと6営業日で795ポイントも下落。肥育業者は現金取引でも安値を受け入れざるを得なくなった」という。

過去18カ月間、先物市場はたびたび不合理な動きを見せてきたが、この2週間の動きは常軌を逸している。過去2カ月の供給頭数は、肥育業者の積極的な出荷のために2015年より多いが、肥育牛全体と去勢牛の枝肉重量はこの2年間で初めて前年を下回り、6月第2週の去勢牛の枝肉重量は前年比5ポンド減となっている。

また、フィードロットの飼養動向から推測すると、7月の出荷は前年水準を大きく下回る見込みで、今年の残り期間も前年割れが予想される。6月20日の先物取引は、これらの要因を全て無視し、6月取引分以外もすべてたたき売りしたような状況で、8月以降の先物取引は112ドル以下となった。

先物市場は、小売と外食の牛肉販売が前年より好調であるという事実も無視している。牛肉卸売価格が前年に比べて大幅に低下していることで、小売業者は牛肉の販促を積極的に行っている。レストランでの牛肉需要も強い。

こうした中で6月第4週の現金価格は、2012年7月下旬の週間最安値(114.16ドル)水準まで落ち込んだ。これを受けてカンザスとネブラスカで肥育業者が116ドルで売りを開始したことで、さらなる安値への警戒から肥育業者は完全な売りモードに入った。

昨年9月の暴落が思い起こされるが、昨秋の場合は肥育業者が数カ月にわたり出荷を遅らせ、枝肉重量が史上最高記録に近づいていた。現在はその正反対の状況にあり、今後、現金取引価格が安定することを期待したいが、それも先物の動き次第。現金価格はさらに下落し、7月に最安値を記録することになるかも知れない。

 

※2016年6月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

牛カットアウト下落、リブ、ロイン値下がり

 
 

6月第2週の牛のと畜頭数は60万7000頭(去勢牛・未経産牛は49万8000頭)で、2014年6月第4週(61万4105頭)以降で最も多い。第3週のと畜頭数は60万8000頭と1000頭増え、第4週もほぼ同規模と見込まれる。

USDA(米国農務省)の報告では、第2週の牛肉取引量は7073ロード(≒コンテナ)で前年比9%増。昨年10月の第1週以降で最大量を記録した。この増加は2013年9月以降で最大量となった事前契約販売の増加に起因する。これにはリブや主要なロインカット、インサイドラウンド、アウトサイドフラット、チャックロール、一部のシンミートとひき材が含まれている。

一方、カットアウト価格は第3週に急激に値下がりした。リブとロインが予想どおり値下がりしたことで、10日から16日までにチョイスのカットアウト価格は100ポンド当たり8.02ドル値下がりして215.56ドルに。セレクトは198.34ドルで4.41ドルの低下にとどまり、チョイスとセレクトの価格差は17.12ドルと拡大した。

アナリストはミドルミート(ロイン)価格は、今後3週間以上にわたってさらに値下がりする可能性があり、7月中旬までに203〜205ドルまで下がることもあるという。

 

※2016年6月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
供給トレンド

6月の豚飼養頭数1.8%増、繁殖豚さらに増加

 
 

USDAが発表した最新の豚飼養動向を基に、今後の豚肉供給を予想してみる。6月1日現在の豚総飼養頭数は6838万1000頭(前年同月比1.8%増)。うち繁殖豚は597万9000頭(同0.9%増)でアナリストの予想する0.4%増を上回った。肥育豚は6240万2000頭(同1.9%増)となった。

夏季:肥育豚の平均重量は120ポンド(前年同月比1.2%増)。これは前回の四半期レポートより若干重いが、猛暑が予想される今夏の気候は枝肉重量への影響が大きくなるだろう。夏季のと畜頭数は前年水準を1%上回って推移する。

秋季:3〜5月期の子豚生産頭数は3034万7000頭(同2.5%増)。分娩頭数は1.5%増、一腹当たりの産子数は1.1%増だ。これは10月・11月の週間と畜頭数が240万頭台、12月には250万頭近くになることを示唆している。昨年はと畜頭数がこの水準に近づいたとき、生体豚価格は劇的に値下がりした。今年も土曜日のと畜頭数の拡大が必要になると見られる。

冬季/2017年前半:6〜8月の分娩見込み頭数は、前年同期比2.3%減と予想されている。しかし、繁殖頭数が予想以上に多いことから推測すると、分娩頭数が予想どおりに低下するかどうかには疑問がある。冬季のと畜頭数は小幅減、来年前半の豚肉生産は拡大を続けることが示されている。3〜5月期の未経産豚の保留頭数は前年同期より12%多いが、過去5年平均比では約6%減。肥育コストの低下、一腹当たり産子数の増加、繁殖頭数の増加など、いずれも2017年の生体豚価格の上昇を制限する数値となっている。

 

※2016年6月27日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
トピックス

2016年BBQ指標、ミレニアル世代の嗜好明らかに

 
 

ラボバング社が発表した今年のBBQインデックスで、興味深い傾向が明らかになった。それは「ミレニアルBBQ」だ。ミレニアル世代(2000年以降に成人を迎えた世代)は、従来よりも73%以上も多くのコストをBBQに費やすという。

ミレニアル世代はアメリカの消費者の25%近くを占め、その購買行動に大手の食品・飲料メーカーが注目している。同社では「ベビーブーマー世代をしのぐ2000億ドルの消費力を持つようになったミレニアル世代は、非常に破壊的な力を持っている。多種多様で多文化的な層だが、共通点が幾つかある。食品と飲料の選択に対して、より実験的で健康意識が高く、食に費やす支出も多い」という。

BBQインデックスは、労働統計局のデータを使用して10人分のBBQコストを算出するもの。その平均コストは51.90ドルだった2004年以来、年々上昇し、2016年の独立記念日に伝統的なBBQで主催者が支払う予想コストは計69.05ドル、前年より0.83ドルの上昇となった。

一方で、ミレニアル世代の予想コストは倍近い119.1ドル(一人当たり平均11.91ドル)。「ミレニアル世代はオーガニックやローカル、放し飼い、職人などの食品ラベルに対する偏愛があり、従来の消費者との差は歴然としている」という。

2017年には、ミレニアル世代は米国の総人口の約30%を占めるとされ、年代別グループの中で最大の消費力を持つことになる。2010年から2015年にかけて40%上昇してきた牛肉価格が、2016年にはポンド当たり3.82ドルとなり、一般的なBBQ用の牛肉 価格が低下した一方で、ミレニアル世代がより頻繁に購入するグラスフェッド・ビーフの価格は、2015年から1ドル以上上昇し、ポンド当たり10ドル弱に値上がりした。ミレニアル世代の約70%は「自分が食べる牛肉の産地がはっきりしていること」を重要視する傾向がみられるという。

 

※2016年7月1日 FOODMARKET.Com

  Rabobank
 
ワールドトレード

中国の豚価高騰、欧州、北米市場を煽る

 
 

2016 World Pork Expoのセミナーで講演したグローバル・アグリトレンズ社のブレット・スチュワート社長は、世界の豚肉市場の半分を生産・消費する中国市場で豚肉価格が高騰していることは、世界中に多大な影響を及ぼしかねないとして、次のように解説した(要旨)。

 中国の生体豚は供給が非常にタイトになり、史上最高値を更新。米国の生体豚価格の約2倍になっている。これにより中国にとって豚肉輸入は欠かせない要素となった。

中国の豚肉自給率は98%、輸入は2%だが、それでも200〜300万トンに相当し、爆発的な市場を作り出しつつある。加熱する国内市場を埋め合わせるべく、中国は世界中から豚肉を集める必要があり、これは2014年のロシアの禁輸によって供給過多の状態だったヨーロッパにとっては非常に好運だった。禁輸されたヨーロッパ産豚肉40万トンの多くが中国に流れ、今ではヨーロッパ産豚肉輸出の67%が中国へ輸出されている。

中国は現在、ヨーロッパ・北米・ブラジルなど利用可能なあらゆる供給源から豚肉を輸入しているが、ここで重要なのは、中国の豚肉生産者が莫大な利益を得ているということだ。現在の一頭当たり利益はおそらく150ドル以上であり、これは中国での生産拡大を促進するだろう。中国の生産拡大は北米よりも長い時間を要するが、増加はいずれ市場を直撃し、2017年に向けて市場が頭打ちになる懸念もある。

中国の豚肉輸入が増加するほど価格は下落する可能性があり、中国の輸入豚肉の需要は2017年から減少するかもしれない。この時に重要なのは、ヨーロッパ産やカナダ産豚肉がどこに流れるかだ。米国の豚肉生産も2017年には拡大する。今は2017年に向けて対策を立てるべき時期にいるのかもしれない。

 

※2016年6月27日 FOODMARKET.Com

 
ポーク関連ニュース

豚肉在庫6.5%減、モモ減少、ベリーは増加

 
 

5月末の食肉総在庫量(牛肉・豚肉・家きん類)は、23億1800万ポンド(前年同月比0.3%増)と過去5年平均比では4.1%の増加。前月に比べて1%増加しているが、4月から5月に向けての過去5年平均の増加率は約1.6%であり、この時期としてはほぼ通常の範囲。

豚肉在庫は6億1270万ポンド(同6.5%減)、過去5年平均比では0.4%減。前月比で3.9%減少。この減少率は、時期的には通常の範囲だが、豚肉生産量が前年を上回って推移している中での減少であり、豚肉需要の前向きな要素だ。

モモの在庫は前年同月比9.1%減と少なく、今後3カ月間の価格は底堅いだろう。エンドユーザーがホリデーシーズンに向けて在庫を増やさないのは、今年の豚肉供給が潤沢と予測しているからだろう。

一方でベリーの在庫は7770万ポンド(同19.9%増)、過去5年平均比では18.3%増と多い。在庫増に連動して、ベリーの価格は弱含んでいるが、この在庫水準は今後の豚肉市況全体にとっても重荷になるかも知れない。7・8月にベリーの価格が堅調で なければ、豚肉のカットアウト価格は現在の8月契約分の先物価格の水準に追い付けないだろう。

 

※2016年6月27日 PorkMerchandiser's Profit Maximizer

 
業界ニュース

米国の原皮・内臓肉の経済規模は34億ドル

 
 

NAMI(北米食肉協会)が発表したアメリカの食肉・家きん肉産業の経済分析(※Traders Be & Po 269号に掲載済)によると、米国における原皮・内臓関連産業の経済規模は約34億ドルに達し、これらの製造と流通に直接従事するのは5486人、その合計賃金は3億8400万ドル以上になる。

USHSLA(アメリカ原皮・皮革協会)のステファン・ソースマン会長は、「この研究によって、米国の原皮関連産業が米国経済にとって不可欠であることが明らかになった。製品の90%以上を輸出する米国の原皮・皮革産業は依然、世界の皮革製造業にとっての原料供給国として、確固たる地位を築いている。米国の牛皮・豚皮・クロムなめしを含む皮製品の2015年の輸出額は23億ドルに達している」という。

 

※2016年6月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

7月21日にプロモーションガイドブックセミナー

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、7月21日14時から東京・港区のホテルオークラ東京アスコットホールで、「USMEFプロモーションガイドブックセミナー」を開催します。これは先に発刊した、生活者発想で販売促進のヒントをまとめたプロモーションガイドブックを基にしたセミナーで、主なプログラムは以下のとおりです。

≪セミナー≫14:00開始

  • アメリカン・ビーフ & ポークのマーケット動向
  • アメリカン・ビーフ & ポーク 2016年の販売促進活動について
  • プロモーションガイドブックプレゼン(講師:博報堂買物研究所)

≪テイスティング セッション≫17:00終了

参加は無料です。申し込みは所定の応募フォームに必要事項を記入の上、7月14日までにお申し込み下さい。定員になり次第締め切らせていただきます。

応募フォームは http://www.usmef-seminar.com/
お問合せはUSMEFプロモーションガイドブックセミナー事務局、
電話070-1533-6184、FAX03-5728-5557まで。

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート