チョイスのカットアウト価格が急上昇し、生体牛価格も強含みで先行き値上がりすることが予想される。東部では一部にまだ寒波があり、グリル需要が本格化するのは4月末以降になるとの予想もあるが、グリルシーズンに向けて小売での需要増が期待される。
4月第1週はと畜頭数が前年より多く、カットアウト価格はチョイスが前年比12.3%安、スポット市場では16%安だったが、第2週に入って価格が上昇気配を見せたことで、小売りのバイヤーの買い気が強まった。昨年の4〜5月にチョイスのカットアウトが急騰し、5月第3週には100ポンド当たり259.70ドルの記録的高値となったことから、今年は早めの手当てに向けた動きが出たようだ。
チョイスのカットアウト価格は、まだ前年同期の水準をかなり下回っているが、価格の急上昇が続くと、小売業者が6月の牛肉の販促を控えめにするのではないかとの懸念もある。
昨年の大きな教訓は、メモリアル・デー(5月の最終月曜日)の連休での牛肉の売上が期待外れで、カットアウト価格が急落したことだ。昨年のチョイスのカットアウト価格は、6月中旬までに244.14ドルまで下落し、一時的に回復したが7月4日の独立記念日の週も売れ行きが好転せず、7月最終週に231.94ドルまで下落した。
パッカーや小売業者は、今年はこうしたパターンにはならないだろうと予想している。2〜3月の販促ではステーキの売れ行きが好調で、4月第1週も積極的な販促がみられた。コロラド州のセーフウェイでは、ボンインのストリップステーキがポンド当たり4.99ドル、キングスーパーではチョイスのボンインリブアイが同6.88ドルなどで特売され、消費者から強い支持を得たようだ。
4月第2週にカットアウト価格はチョイスで9.69ドル、セレクトで8.92ドル上昇した。これは、今まで過小評価されていたエンドカット(チャックやラウンド)の価格が上昇したことも要因。ミドルミート(ロイン系)の価格は高値になっていたが、スソ物の引き合いが強まったことで全体の価格が押し上げられた。ただ第2週のスポット市場の取引量は、前週の506ロード(≒コンテナ)に対して406ロードと少なく、特に週後半はバイヤーが価格上昇に反応し、買付量を極端に減らしたようだ。
4月に入ってから、と畜頭数は前年をかなり上回っている。アナリストは、この水準のと畜頭数が続く中で小売の需要が伸びないと、供給過多に陥ることもあると指摘する。昨年4月の総と畜頭数は週当たり平均で53万5600頭、第1〜2週は51万4500頭だった。今年は第1週が53万5000頭で、枝肉重量が増加していることを加味すると、週間の牛肉生産量は前年をおよそ9%上回ったとみられる。
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