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TRADER'S Be & Po

vol.262 Mar.14.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格は現金、先物ともに上昇
貿易予測 牛肉は輸入超過続く、豚肉はEUとの競合激化
トピックス 付加価値製品40億ドル市場に、ミレニアル世代が支持
リテール 牛肉卸価格上昇、需要好転には小売価格の下げ必要
フードサービス 米国のレストラン総数、前年よりわずかに減少
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2015年12月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格は現金、先物ともに上昇

 
 

生体牛の現金取引と先物価格は2週連続で上昇した。フィードロットのコンディション悪化により、ボックスビーフのカットアウト価格が高値となっていることが要因。特にネブラスカでフィードロットからの出荷が減少しており、枝肉の現金価格は100ポンド当たり209.82ドルと、2週前に比べて4ドル上昇した。

アイオワの枝肉価格は208〜212ドル、平均で210.71ドル。生体牛価格は、主要5州の去勢牛平均が前週の133.63ドルから2ドル上昇。南部プレーンズのフィードロットでは、2月第3週に137ドルで売り出された。

2月19日発表のCOFレポートによると、1月の出荷頭数は158万9000頭(前年同月比2.2%減)だったが、コーンベルト地帯の出荷はアイオワで10%増、ネブラスカとミネソタで8%増、南ダコタも11%増と積極的。1月の導入頭数は177万9000頭(0.6%減)。2月1日時点のフィードロットの肥育頭数は1070万9000頭で、前年より6000頭少ない。

1月のと畜頭数は、稼働日が前年より1日少なかったことから2.3%増となったが、2月第2週には週当たり52万1000頭と減少。このうち肥育牛(去勢と未経産の合計)は41万1000頭と、この数年で最低の水準。2月第3週には53万4000頭に回復したが、先物取引は4月分取引が340ポイント増加し、137.35ドルとなった。

6月分の契約は125.80ドルとなっているが、アナリストは「4月と比較して、この大幅な値下げは不当。牛肉需要の季節的な改善が始まる5月に向けて、4月と6月の価格差は徐々に狭まるだろう」と予想する。

 

※2016年2月29日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
貿易予測

牛肉は輸入超過続く、豚肉はEUとの競合激化

 
 

USDA(米国農務省)によると、2015年の牛肉・豚肉・家きん肉合計の生産量は936億ポンド(前年比2.7%増)。民間予想では2016年に958億ポンド(同2.4%増)、2017年には985億ポンド(同2.8%増)に達する見込みだ。

この生産増は食肉価格全体を引き下げると予想されるが、その下げ幅は輸出市場の動向が決定づけるだろう。米国の食肉生産量は過去20年間拡大してきた。国内における1人当たり消費量の増加は小幅だが、世界的な需要増によって輸出が拡大してきたことが主因だ。もし輸出需要が減少すると、国内供給の増大によって価格に大きな影響が出る。

このことは、昨年の牛肉市場が証明している。輸入増と枝肉重量増加が相まって国内供給が増加し、肥育牛とカットアウト価格はわずか数か月間で15〜20%も下落した。以下、米国の食肉輸出の予測とリスクを考察してみる。

【牛肉】

2015年の牛肉輸入量は枝肉ベースで33億7万ポンドに達した半面、輸出量は22億6600万ポンドにとどまり、貿易量は11億ポンドの赤字(輸入超過)となった。2016年は、輸入量が4億500万ポンド減(前年比12%減)、輸出量は1億3900万ポンド増(同6.1%増)と予想される。

輸入の減少は、豪州からの輸入減によるところが大。輸出の成長は、通常の牛肉供給量の伸びとブリスケットやショートプレートなど低価格な品目の増加によると予想される。ただ、この予想は米国へのブラジルからの輸入が解禁されるタイミングと認証工場数によって、劇的に変化する可能性がある。ブラジルからの輸入解禁は、牛肉貿易の赤字が拡大するかも知れないリスクである。

【豚肉】

輸出量は2012年がピークで、この3年間は48〜49億ポンドにとどまっている。2016年の予想は7.3%増の53億ポンド。大きな要因は中国と日本向けの輸出増だが、下降リスクとしては、ロシアが主要輸出国からの豚肉輸入を禁止しているため、欧州・米国・ブラジルは他の輸出市場を開拓する必要に迫られていることが挙げられる。

中国及び日本市場では、欧州との競争が激しくなっている。2016年は多少なりとも市場を取り返すと予想されるが、通貨リスクも考慮に入れなくてはならない。米ドルはユーロに対して依然強いため、欧州の豚肉生産がさらに拡大すると、米国産豚肉との競合が強まることが予測される。

今回の予想では、2016年の米国内における一人当たりの消費量が1.2%減、生産量が1.5%増、輸入が9.3%減、輸出が7.3%増と試算したが、もし輸出が前年と同水準にとどまれば、国内供給は一人当たりで2015年に比べて0.5%増加することになり、生体豚価格はさらに値下がりするかも知れない。

【ブロイラー】

2015年の輸出量は13.4%減。ロシアの禁輸のほか、中国・韓国・アンゴラへの輸出が減少。これらの国々は鳥インフルエンザの発生を受けて、米国の家きん類の輸入を全面的に禁止した。2016年は輸出が10.9%増加すると予想するが、一部の国々が輸入制限を継続する可能性もある。輸出市場が正常化しない場合は、生産量が2.7%増加するため、ブロイラー価格にかなりの値下げ圧力がかかり、食肉全体の価格にも大きな影響を与えることになるかもしれない。

 

※2016年2月22日Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  牛肉類の貿易(輸出入の差) 豚肉類の貿易(輸出入の差) 家きん肉類の貿易(輸出入の差)
 
トピックス

付加価値製品40億ドル市場に、ミレニアル世代が支持

 
 

全米の消費者の過半数、特にミレニアル世代(2000年以降に成人を迎える世代)の支持によって、食肉の付加価値製品・簡便性商品が成長している。NAM(I 北アメリカ食肉協会)とフードマーケティング協会が発行した「The Power of Meat report」によると、シールドエアー社と共同でホテルレストラン業界について210の分析を行った結果、このカテゴリーの売上高は40億ドルに達し、年間で6.4%成長している。

このレポートによれば、消費者の40%が食事の2時間前までに、何をつくるかを「時々」または「ほとんど」決めていないとし、「これは食肉と家きん肉類のRTE(レディートゥーイート、即食系製品)やRTH(レディートゥーヒート、加熱済み製品)などの簡便性商品や付加価値製品に大きなチャンスがあることを意味している」という。

RTEやRTE、付加価値製品などの簡便性製品の継続した成長は、味の良さと手早さ、簡単さを求めるミレニアル世代に受け入れられている。「これらのアイテムは時間に追われた買い物客に解決策を提供している。こうした製品がなければ、代わりにレストランに行くかもしれない。食品小売業にとっては非常に重要な製品群だ」としている。

調査では、これらの製品を頻繁に利用する客数は増加している。「一度も利用または購入したことがない」という割合は2010年の32%から2016年には18%にまで低下。一方で「時々または頻繁に利用する」は25%増加し、全体では41%、ミレニアル世代は51%となっている。

ただ、付加価値製品カテゴリーの売上高は、小売業の年間の食肉売上高500億ドルのうち、まだ40億ドル程度。簡便性商品も3.8%上昇したが、従来型の食肉製品の売上が420億ドルと大半を占めている。オーガニックは31.5%増の5億6900万ドルとなっている。

 

※2016年2月26日 Meatingplace.com

 
リテール

牛肉卸価格上昇、需要好転には小売価格の下げ必要

 
 

2月後半は、去勢牛・未経産牛のと畜頭数の大幅な減少により、牛肉の卸売価格が顕著に値上がりした。価格上昇の主体はミドルミート(ロイン系)によるもので、エンドミート(スソ物)とひき材は引き続き軟調で推移している。

2月第3週には、ボックスビーフのカットアウト価格が急騰した。チョイスが100ポンド当たり7.10ドル上昇、セレクトも5.83ドル上昇した。これは週間当たりのと畜頭数が記録的に少なかったことによるもので、需要が好転したからではない。

と畜頭数の減少により、国内の90CL(赤身率90%のひき材)も一時的に100ポンド当たり214.35ドルまで上昇したが、小売でのひき肉の売上は依然として鈍いままだ。カットアウト価格は上昇したが、販売量は4日間で398ロード(≒コンテナ)と少ない。

アナリストは「牛肉の全体需要は弱い。牛肉価格が依然として記録的な高値にあるためだ。小売価格はやや値下がりし始めているが、USDAの報告では、1月の牛肉小売価格は全体で100ポンド当たり5.35ドル。これに対して豚肉は3.79ドル、前年同月比5.0%安、家きん類は1.93ドル、同2.5%安であり、牛肉の消費回復には小売価格のさらなる値下げ調整が必要だ」という。

 

※2016年2月29日CATTEL BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

米国のレストラン総数、前年よりわずかに減少

 
 

シカゴの調査会社・NPDグループによると、2015年秋の時点で米国内のレストラン総数は前年より0.6%減少した。このうち、独立系レストランの店舗数は2%減。一方でチェーンレストランは、28万9726店から29万2943店と前年比1%増加した。

独立系レストランのうち、フルサービスレストランで最も減少が大きいのは、サンドイッチおよびメキシカンレストランのクイックサービス業態と、カジュアルおよび高級レストランだ。ファーストカジュアルのクイックサービスは成長を続け、2014年秋の1万8176店舗から5%増加、1万9043店舗となった。

レストラン産業全体の来店客数の79%を占めるクイックサービスレストランは1%増加し、客数で21%を占めるフルサービスレストランは減少した。

地域別では、レストラン数が国内で最も多いエリアであるニューヨーク・ニューアーク-ジャージーシティ地域で、4万8239店から4万6793店と6%減。ロサンゼルス地域では2万8928店から2万9208店と2%増。シカゴ地域は3%減少し、1万9577店から1万9322店に。ダラスとヒューストン地域はいずれも3%増加し、それぞれ1万3763店、1万2339店となった。

 

※2016年2月26日 Meatingplace.com

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート