生体豚の先物取引は、この2週間で上下動を繰り返しているが、全体の傾向としては右肩下がりだ。先物取引も現金取引価格の下落に引きずられて急落。12月契約が9月末に記録した最安値付近まで下落し、10月の利益をほとんど吐き出した格好。第4四半期には輸出需要が上向き、これが価格を引き上げるとの期待もあったが、実現していない。
週間のと畜頭数は季節的にピークを迎え、枝肉重量も重いため、11月第2週の豚肉総生産量は5億ポンド以上に達し、週間最高を記録した。豚肉以外の食肉生産量も増加している。牛肉、豚肉、ブロイラー、七面鳥の合計生産量は18億5300万ポンド(前年同週比3.2%増)と予測され、過去6週間の合計では前年より2.6%増加している。
11月第1週に、アイオワ・ミネソタの枝肉価格は100ポンド当たり51.76ドルと2009年以来の最低水準となった。前年比で40%安、2013年比では37%安、2012年比で32%安。この現金価格の急落は需要の著しい落ち込みか、もしくは短期的な供給増よるものかを検証しつつ、2016年の価格を予想すると、まず2016年の第1四半期は現状より価格が上昇すると予想される。
ただ、2016年第1四半期の1人当たり供給可能量は2015年を上回り、2012、2013年よりも13%ほど多いと予想される。これを変動させる可能性があるのは輸出だ。第1四半期の輸出量は10%増と予測するが、供給過剰感を打ち消すにはさらなる輸出の伸びが必要だ。第2、第3四半期の豚肉供給量は季節的に落ち込むはずで、それによって生体豚価格は70ドル台に上昇すると予想される。
豚肉生産が増加する一方、輸出が回復しなければ2016年の豚肉価格の上昇幅はかなり限定的になる。9月までの食肉輸出は低調で国内在庫が増加し、食肉価格への値下げ圧力となっている。米国の食肉輸出が停滞している要因には①米ドルの強さ②鳥インフルエンザ規制③輸出先市場の需要後退④世界的な供給拡大に伴う他国との競合激化がある。
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