米国の牛肉輸入量は2015年1〜7月で32.5%増と、2014年の31%増に引き続き増加している。2014年の総輸入量は2007年以来の最高水準で、このペースで行けば、2015年には新記録を更新する可能性がある。
牛肉輸入量の増加要因は、①米国の牛肉価格の記録的高値②牛肉生産量の減少(特に加工用牛肉の不足)③ドル高が輸入を促進した―など。だが、米国の市場状況と対米国輸出国の変化を見ると、牛肉輸入量は2015年後半から2016年にかけて減少しそうだ。
2014年は米国の牛肉生産量が減少し、豪州からの牛肉輸入が劇的に増加する状況を作った。豪州では2012年から主要生産地域が干ばつによる深刻な影響を受けており、これがと畜頭数と牛肉生産量の増加となって生体牛と牛肉の輸出を増加させた。
豪州の2014年のと畜頭数は991万頭で、過去35年間で最高。生体牛輸出(主にインドネシア、ベトナム、中国向け)は130万頭に及び、牛肉生産と輸出のいずれも新記録を更新しが、この生産力は継続しそうにない。2016年の豪州の牛飼養頭数は2630万頭、2014年に比較して10%以上減少する見込みだ。これは1995年以来の最低水準となる。牛飼養頭数の減少は、2016年のと畜頭数、牛肉生産量、輸出量の全てが確実に減少することを示している。
米国の2014年の豪州からの牛肉輸入量は74%増加。豪州の輸出量の30%を占め、それまで最大の輸出先国であった日本を上回った。この傾向は2015年も続いている。だが、米国の豪州産牛肉の輸入は、2015年後半から2016年にかけて減少すると予想される。豪州の牛肉生産と輸出は2014年をピークとして2015年から減少に転じ、2016年はさらに減少する。牧草状態の改善の兆候があり、と畜頭数は安定するだろうが、飼養頭数はすぐには増加しそうにはない。
一方で、米国の牛肉生産は拡大期に入った。豪州ドルに対する米ドルの強さは豪州産牛肉の輸入の支えになるが、米国の牛肉価格も2016年には低下する見込み。2015年も残りの期間は輸入割当枠との関連もあり、豪州からの輸入は低下するだろう。
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