8月から9月にかけて肥育牛の価格が急落し、懸念されていた値崩れが現実のものとなった。生体牛の現金市取引価格(100ポンド当り)は8月第1週に比べ、22ドル以上も値下がり。チョイスのカットアウト価格(同)は8月26日から29ドル以上の値下がりとなった。
今回の急落はアナリストたちの予想をはるかに上回る衝撃的なものだ。最も低い予想でも生体牛は140ドル以上、カットアウトは230ドルを維持するとみられていた。それが9月第3週に生体牛は134.94ドル、第4週にはさらに5〜7ドル下落。カットアウト価格は212.63ドル(主要5州の去勢牛平均)まで急落した。生体牛は127ドル、カットアウトは210〜212ドルを維持できるどうかも危ぶまれる状況だ。
例年、9月の生体牛価格は8月を上回るため、この事態にアナリストは困惑している。8月の生体牛価格は4週間の単純平均で148.45ドル。9月1〜3週の平均は138.62ドルで、第4週はこれより3〜4ドル低かった。近年で、8月より9月の価格が安いのは2004年と2008年だけ。アナリストは「生産者にとってベストのシナリオは西カンザスの127ドルが価格の下支えとなり、8月の最高値(第1週の151.13ドル)まで市況が回復することだか、9月初旬から始まった在庫一掃の動きはまだ一巡していない。もう数週間にわたりこのプロセスは継続しそうだ」という。
生体牛の現金価格が続落している要因は、去勢牛の枝肉重量が過去最高水準にあり、未経産牛の重量も極端に重い中で、牛肉需要が弱まっていることだ。9月第2週の去勢牛の平均枝肉重量は919ポンドと過去最高を更新。未経産牛も826ポンドと過去最高よりわずか4ポンド軽いだけだ。これは前年同期比でそれぞれ30ポンド増、22ポンド増。去勢牛の重量は今後8週間でさらに重くなる可能性がある。
枝肉は重量が増大しているだけでなく、背脂肪が昨年よりもはるかに厚い。このため歩留まり等級Y4またはY5の格付頭数数が顕著に増加しており、これが50CL(機械測定赤身率50%のひき材)の価格が暴落した要因。これらのヘビー級の牛は大幅に値引きされつつあり、一部のパッカーは最大級の牛はと畜フロアの床を引きずるため、扱うことができないという。
大きな疑問は、これらの牛がいつまでに消化され、再び供給がタイトな状況に戻るかだが、一部のパッカーは「現在の大型の牛が消化されれば、供給はかなりタイトになり、価格は11月初旬までに150ドルに戻るだろう」と予想する。
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