印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.252 Sep.07.2015
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛相場、過度の増体が価格低下を招く
生体豚先物は不安定、カットアウトはベリーが支える
ワールドトレード 中国、供給不足で豚肉価格が上昇
業界ニュース ビーフパッカーの工場閉鎖、1988〜2000年に匹敵
ポーク関連ニュース 7月末の食肉在庫、ポークはベリー激減
フードサービス ハンバーガーは付加価値の強化で依然人気
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2015年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
市況ニュース

生体牛相場、過度の増体が価格低下を招く

 
 

春以降、生体牛の重量は季節的な増加を続けてきたが、7月はほぼ横ばいで推移。しかし、8月に入りコーンベルト地帯で再び急激に増加している。この地域では農場型(小規模)の肥育業者が増加し、大規模なフィードロットよりも肥育期間を長期化する傾向にある。

これらの肥育業者は、生体重量を重くしすぎたこと、特に1050ポンド以上の枝肉についてパッカーが購入価格を値引きする方向にあることから、前週から出荷を急ぎ出した。結果的に枝肉価格はポンド当たり5〜6ドル安、生体牛も2〜3ドル安となった。

この動きを見て、大規模フィードロットも出荷を増やし始め、結果的に水曜日(8月19日)の急落に繋がった。生体牛(100ポンド当たり)はネブラスカで前週金曜日(14日)の150.85ドルから148.49ドルへ、枝肉価格は同235.51ドルが232.76ドルまで下落。アイオワ・ミネソタ南部では生体牛146.33ドル、枝肉232.27ドルまで低下した。

肥育業者はこれまで出荷を先延ばしして、増体することでロスを減らそうとし、それによって供給不足の状況が続いてきた。一部のアナリストは早くから「このままでは在庫が増大する」と警告していたが、この懸念が現実のものとなった。「北部ではプライムとチョイスの発生率が高まっているが、枝肉の重量過多で歩留り等級Y4、Y5が増えている。これはやがて産業全体の問題になるだろう」と指摘する。

8月3日の週の枝肉重量は去勢牛平均が前週から9ポンド増え895ポンド(前年比20ポンド増)。未経産牛は同6ポンド増の807ポンド(同15ポンド増)。全体平均は7ポンド増の833ポンド(同23ポンド増)。これは昨年10月25日の週の829ポンドを超え、同時期の週当たりとしては過去最高。

 

※2015年8月24日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚先物は不安定、カットアウトはベリーが支える

 
 

世界経済の成長が弱まるとの報告がある一方で、食肉供給は2016年まで増加すると予測され、今秋の生体豚先物価格はより不安定になっている。生体豚先物はすでに安値だが、先物関係者はここにきて肥育牛・肥育素牛も積極的に販売し始め、生体豚はさらに弱気ムードが広がっている。

週間と畜頭数が220万頭以上(前年比11.2%増、2013年比1.0%増)であるにもかかわらず、カットアウト価格(100ポンド当たり)は90ドル付近を維持している。レイバー・デイ(9月第1月曜日)の連休に向けた小売業者の手当は最終段階にあるが、販促の成功によってはしばしば補充買いが入る。

カットアウトと生体豚の価格維持は、枝肉重量の低下がと畜頭数の増加をある程度相殺していることも要因。USDAのMPRレポートによると、8月20日までの5日間の平均枝肉重量は約209ポンド(前年比2.0%減)。

現在のところ、生産者は出荷に成功し、豚肉パッカーのマージンも良好である。問題はこれがいつまで続くかであり、さらに重要なのはベリーの売れ行きがカットアウト全体を支えていることだ。小売業者で連休効果が薄れたときにベリーがどうなるか、それが大きなカギになるだろう。

 

※2015年8月25日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  四半期毎の食肉生産量の増減率(牛肉、豚肉、鶏肉の合計生産量の前年比)
 
ワールドトレード

中国、供給不足で豚肉価格が上昇

 
 

下図のグラフは、中国における牛肉・豚肉・鶏肉の卸売価格の推移を示している。グラフ①は、2013年1月を基準とした価格の上下動の比率変化を示し、②はキロ当たりの価格を元で示している。牛肉は3畜種の中で最も高いが、2年前の価格急騰後は緩やかな上昇傾向にある。鶏肉は最も安価な食肉であり、価格も比較的安定している。

豚肉価格は過去数か月で急激に上昇している。理由の1つは生体豚の供給にある。中国の雌豚飼養頭数は、2014年2月以降およそ1100万頭と、この4年間で最低水準。この生体豚供給の減少が3月中旬から豚肉価格を押し上げている。

しかし、中国の消費者物価指数のおよそ3分の1が食料品価格から算出され、さらに、そのおよそ3分の1は豚肉で構成されている。従って、過去にしてきたように、中国政府は豚肉価格の急な上昇を鎮め、最適なインフレレベルを維持するためにあらゆる手段を取るだろう。

  グラフ1:2013年1月を基準とした食肉価格の上下動の推移 グラフ2:中国の食肉価格の推移
 

※2015年8月25日 FOODMARKET.COM ANALYSIS

 
業界ニュース

ビーフパッカーの工場閉鎖、1988〜2000年に匹敵

 
 

大手パッカーのアイオワ州の工場閉鎖が発表された。2013年初めから今までに9カ所の牛肉処理工場が閉鎖し、1日当たりのと畜能力は1万4850頭分減少した。営業日数を250日とすると、年間で370万頭分に相当する。最大の理由は2007年以降、生体牛の飼養頭数が減少したこと。特に2010〜2012年の干ばつで飼養頭数の減少に拍車がかかった。

飼養頭数は、2007年までの3年間はわずかながら増加していたが、2007年以降、2014年までに884万3000頭減少した。2012〜2013年の2年間で303万9000頭も減少。これを受けた大手パッカーは2013年2月、テキサス州の工場を閉鎖、1日当たりのと畜能力が4650頭減少。他に3つの肥育牛専用工場が相次いで閉鎖された。干ばつによって雌牛の頭数も急減し、5つの肥育牛以外(経産牛・雄牛)の工場が閉鎖した。

本紙のデータによると1995年以来、50の牛肉工場が閉鎖し、と畜能力は5万2695頭低下。2013年から現在までの間より多くの閉鎖があったのは1998年〜2000年のみで、この間は18工場、と畜能力で1万7603頭分が閉鎖された。

2015年の商業用肉牛のと畜頭数は2860〜2900万頭となる見込みで、1963年(2723万2000頭)以来、初めて3000万頭を割り込む見込み。2014年の3028万頭に比べ4〜5%減少。このうち肥育牛(去勢牛・未経産牛)は約3.5%、85万頭の減少見込み。

アナリストの予測によると、2015年の肥育牛の週間当りと畜頭数は44万2000頭に低下すると見込まれる。ちなみに、週間と畜頭数は2014年44万6000頭、2013年49万3000頭、2012年49万9000頭、2011年51万5000頭、2010年52万5000頭だった。

 

※2015年8月24日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

7月末の食肉在庫、ポークはベリー激減

 
 

USDAの最新の食肉在庫報告によると、7月末の豚肉のベリー在庫は2363万4000ポンド(前年比63%減)で前月より47%減少した。冷凍豚肉全体では、前月をわずかに超えて6億3516万6000ポンド(同19%増)。

冷凍牛肉在庫は前月比4%減の4億5512万8千ポンド(同24%増)、子牛は同14.5%増の385万ポンド(同3.0%減)。羊肉は同10%増の3906万4000ポンド(同15%増)。レッドミート合計では11億3000万ポンド(同21%増)で前月より1%低下した。鶏肉は12億7000ポンド(同13%増)で、前月から6%増加した。

 

※2015年8月24日 Meatingplace.com

 
フードサービス

ハンバーガーは付加価値の強化で依然人気

 
 

テクノミック社のレポートによると、米国の消費者の大半(57%)が少なくとも毎週ハンバーガーを食べており、ハンバーガーの人気は依然として高いことがうかがえる。一方で、牛肉価格の上昇や健康に関するネガティブなイメージといった課題を乗り越えるために、各社とも付加価値の提案を強化している。

同レポートによると、今後の成功のカギとなるのは、「手頃な牛肉のカット、あるいは牛肉以外のタンパク質を取り入れることで、コストの削減を図る。または特別な原料を使用して付加価値を高め、ユニークなトッピングやソースなどで消費者を惹きつけ、ブランドの差別化を行う」ことだという。

同社のレストラントップ500レポートと消費者調査では、以下のようなトレンドが明らかになっている。

  • 毎週、消費者の39%がファーストフード店でハンバーガーを購入し、39%が自宅でハンバーガーを作っている。
  • 61%の消費者が、ハンバーガーのトッピングや調味料を選べることが重要だと考え、43%が自分の好みに合ったカスタマイズのハンバーガーを食べたいと思っている。
  • カジュアル系レストランでは、2013年以降で最も売れているハンバーガーはチキンであり、注文率が23%増加した。カスタマイズ・ハンバーガーは28%増。これは、外食で最も高い伸びを見せるフルサービス系レストランの成長率を上回っている。
 

※2015年8月25日 Mearpoultry.com

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート