米国では、今年はガソリン価格の値下がりによって、牛肉への支出増加が期待されていた。しかし実際には、その余剰はより安い食肉の購入あるいは別の用途に使われ、牛肉販売は停滞している。8月第1週末の小売の牛肉販売は前年比2ケタ台の減少。全米レストラン協会のパフォーマンス指標(RPI)も2カ月連続で減少、6月は前月比0.4%減の102.0と過去9カ月間で最低レベルとなった。
原因は、豚肉・鶏肉と比較して極端に高い牛肉価格だ。高値の影響は牛肉輸出にも及んでいる。6月の輸出量(バラエティミート含む)は前年同月比8%減、1〜6月累計では同10%減。逆に6月の牛肉輸入量は29%増、1〜6月累計37%増。
通常、8月の牛肉販売は7月より増加する。しかし今年は、6月初めから7月中旬にかけてカットアウト価格が大幅に下落。牛肉の小売価格は6月がピークだった(全ての牛肉価格平均でポンド当り6.11ドル)。販売が増加するかどうかは小売業での積極的な販促にかかっているが、小売業者は第2四半期のマージン損失を取り戻している最中であり、値下げを渋る可能性もある。
牛肉生産量は今年後半、前年同期比で4億ポンド以上増加する見込みだが、豚肉生産量も少なくとも4億ポンド以上増加。1950年以来初めて牛肉生産量を上回ることが見込まれている。ブロイラーの生産量は9億5000万ポンド増加する見込みで、牛肉に対して豚肉・鶏肉の価格は引き続き割安だ。
6月の個人収入は0.4%、年率換算では4.8%上昇したが、アナリストは「牛肉販売は7月最終週から8月第2週末まで全体的に下向きだった」という。この状況を前向きにとらえれば、牛肉全体の売上減は小売業者に値下げへの決断を促し、今後の牛肉の販促を活気づかせるかも知れない。アナリストは「チョイスのカットアウト価格は100ポンド当り242ドルを目標にゆっくりと回復するだろう」と予測している。
7月最終週は、と畜頭数がおよそ44万頭と減少したにもかかわらず、価格は微増に留まった。一方、7月第4週の生体牛価格(主要5州の去勢牛平均)は147.37ドルで前週比1.89ドル高だった。
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