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TRADER'S Be & Po

vol.251 Aug.24 2015
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉カットアウト価格は回復へ、小売の販促次第
輸出動向 豚肉は供給増、輸出低調で価格急落
生産動向 フィードロット飼養頭数5カ月連続増、重量も増加
ポーク関連ニュース フードサービス産業で豚肉需要の高い伸び続く
USMEFインフォメーション AMERICAN BBQガイドブックを発刊
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2015年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉カットアウト価格は回復へ、小売の販促次第

 
 

米国では、今年はガソリン価格の値下がりによって、牛肉への支出増加が期待されていた。しかし実際には、その余剰はより安い食肉の購入あるいは別の用途に使われ、牛肉販売は停滞している。8月第1週末の小売の牛肉販売は前年比2ケタ台の減少。全米レストラン協会のパフォーマンス指標(RPI)も2カ月連続で減少、6月は前月比0.4%減の102.0と過去9カ月間で最低レベルとなった。

原因は、豚肉・鶏肉と比較して極端に高い牛肉価格だ。高値の影響は牛肉輸出にも及んでいる。6月の輸出量(バラエティミート含む)は前年同月比8%減、1〜6月累計では同10%減。逆に6月の牛肉輸入量は29%増、1〜6月累計37%増。

通常、8月の牛肉販売は7月より増加する。しかし今年は、6月初めから7月中旬にかけてカットアウト価格が大幅に下落。牛肉の小売価格は6月がピークだった(全ての牛肉価格平均でポンド当り6.11ドル)。販売が増加するかどうかは小売業での積極的な販促にかかっているが、小売業者は第2四半期のマージン損失を取り戻している最中であり、値下げを渋る可能性もある。

牛肉生産量は今年後半、前年同期比で4億ポンド以上増加する見込みだが、豚肉生産量も少なくとも4億ポンド以上増加。1950年以来初めて牛肉生産量を上回ることが見込まれている。ブロイラーの生産量は9億5000万ポンド増加する見込みで、牛肉に対して豚肉・鶏肉の価格は引き続き割安だ。

6月の個人収入は0.4%、年率換算では4.8%上昇したが、アナリストは「牛肉販売は7月最終週から8月第2週末まで全体的に下向きだった」という。この状況を前向きにとらえれば、牛肉全体の売上減は小売業者に値下げへの決断を促し、今後の牛肉の販促を活気づかせるかも知れない。アナリストは「チョイスのカットアウト価格は100ポンド当り242ドルを目標にゆっくりと回復するだろう」と予測している。

7月最終週は、と畜頭数がおよそ44万頭と減少したにもかかわらず、価格は微増に留まった。一方、7月第4週の生体牛価格(主要5州の去勢牛平均)は147.37ドルで前週比1.89ドル高だった。

 

※2015年8月10日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
輸出動向

豚肉は供給増、輸出低調で価格急落

 
 

生産量の急増と輸出の低迷から、豚肉価格は急落している。メキシコなど、安値に乗じて輸出が拡大した市場もあるが、アジアへの輸出は軟調で、ロシアへの輸出が止まっていることも響いている。

6月の対メキシコ輸出量は5万999トンで、前年同月比21%、8833トンの増加。第2位の輸出市場である日本への輸出量は3万1892トン(同9.5%減)。前年6月の対ロシア輸出は8846トンで、輸出量のおよそ6%を占めていたが、ロシアは依然として北アメリカ、欧州、オーストラリアからの輸入を停止している。カナダ向け輸出は1万4138トン(同15%減)。

豚肉輸出量は今年後半には回復すると見込まれるが、2012年に比べると低いレベルに留まる見込み。今後はさらに大量の豚肉が国内市場に出回ると予想され、先物価格は現金価格より大幅に安くなっている。

しかし市場関係者の中には、中国への輸出需要が改善するとの見方が続いている。中国では豚の総飼養頭数と肥育豚の頭数がいずれも著しく減少しているため、中国国内の豚肉価格はここ数か月で急上昇している。

中国で同様の動きがあったのは2011年だった。当時、中国は米国産豚肉の輸入を急増し、それによって米国の豚肉市況は好転した。しかし今回は違う点が幾つか見られる。ラクトパミンに関する要求と第三者認証は2011年にはなかった。また競合する欧州の豚肉価格も2011年をかなり下回っている。今年後半に対中国輸出が増加するとしても、増加率は2011年と比べてはるかに小さなものとなりそうだ。

  米国の豚肉類の輸出量の推移(調整品、加工品含む)
 

牛肉輸出量も全体的に減少しているが、特にアジアの主要市場への輸出減が顕著だ。昨年の成長市場であった香港への6月の輸出量は9123トン(前年同月比24%減)。週間データに基づく7月の輸出量も40%以上減少している。

結果として、過去に輸出されていた品目の価格は急落した。ブリスケットの価格は今年初めには前年比45%高だったが、現在は15%安の水準。メキシコへの輸出も8879トン(26%減)と依然低調。メキシコの買いが、価格の安い豚肉と鶏肉にシフトさせていることが理由の一つだ。日本への輸出量は1万7041トン(13%減)。

  2015年6月の豚肉類輸出量の国別増減(調整品、加工品含む) 2015年6月の牛肉類輸出量の国別増減(調整品、加工品含む)
 

※2015年8月10日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
生産動向

フィードロット飼養頭数5カ月連続増、重量も増加

 
 

8月1日現在のフィードロット飼養頭数は前年同月比2.5%増と、5カ月連続で前年を上回った。主な要因は、去勢牛と未経産牛のと畜頭数が減少したため(6月10%減、7月6%減)。

生体ならびに枝肉重量の増加傾向が継続しており、今秋の牛肉生産量は劇的に増加するかも知れない。8月1日までの1週間、去勢牛の平均重量は886ポンドで、前年同期比12ポンド増。未経産牛平均は801ポンドで同7ポンド増。全体平均は826ポンドで同13ポンド増。

これまでのところ、週間のと畜頭数が前年より多かったのはわずか3週間だけで、合計のと畜頭数は前年同期比6.9%減。しかし、牛肉生産量は4.7%の減少にとどまっている。これは、去勢牛と枝肉重量が前年より重いため。肥育業者はフィードロスを削減するため、肥育期間を伸ばしている。また、雌牛の重量もと畜頭数の5.8%減を穴埋めするまでには至らないが、3.7%増と増えている。繁殖牛の更新のために選別出荷されているためで、ひき材の供給減をある程度は補っている。

肥育業者とパッカーは、肥育の長期化による増体で、頭数不足の一部を埋めようとしている。もし今秋まで平均重量が増加すれば、全体の平均重量はおよそ836ポンドと過去最高(昨年10月25日週の829ポンド)を更新するだろう。

 

※2015年8月10日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

フードサービス産業で豚肉需要の高い伸び続く

 
 

豚肉は2011年以来、米国のフードサービス産業において最も成長の高い食肉であり続けている。テクノミック社の「2015年フードサービスにおける豚肉の需要量調査」によれば、フードサービス市場を通して販売された豚肉は、前回調査(2013年)から5億3300万ポンド増加し、98億ポンドに達した。これは、2011年から2013年にかけての成長(4億6200万ポンド)を上回る。

豚肉の成長率2.6%増は、総タンパク質供給の0.7%増やフードサービス産業全体の1.2%増を上回っている。NPB(全米豚肉委員会)のデリック・スリーザー氏は、「フードサービスで豚肉需要が右肩上がりなのは嬉しいことだ。記録的な高値で、供給が少ない期間でも、豚肉はフードサービス産業で最も高い成長率を維持しており、豚肉人気の強さを証明している」という。

2013年以降、豚肉加工品は年間平均2.8%増加し、全体需要量の78%を占めた。生鮮豚肉の増加率は2.0%増。豚肉の成長を牽引した4大カテゴリーはベーコン、ハム、朝食用ソーセージ、リブ。これらの製品は枝肉重量の65%に相当する。

未調理と調理済みの成長率はそれぞれ3.4%、3.2%で、過去2年間では未調理の成長がわずかに高い。この調査では28カテゴリーの豚肉製品が調査対象となっているが、うち19のカテゴリーで成長が証明された。

特にカニータミート(メキシコ料理)とプルドポークは年間の伸び率がそれぞれ13.2%、13.1%と急成長した。いずれも2013年の需要量のおよそ2倍。またベーコンとハムの使用量は2013年から2015年にかけてそれぞれ1億9500万ポンド、9300万ポンド増加した。

 

※2015年8月12日 NPB Newsほか

 
USMEFインフォメーション

AMERICAN BBQガイドブックを発刊

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)はこのほど「AMERICAN BBQガイドブック」(4A版カラ―40ページ)を発刊しました。本書はUSMEFとカリブバーベキュー協会のBBQトレーニングマニュアルを抜粋、翻訳したもので、アメリカンBBQの本格的な解説書として は日本初となるものです。

原書の執筆はテキサスA&M大学のディヴィー・グリフィン博士、クリスティン・アルバラ ド博士、ミッキー・スピークモン氏(同大学電子線・宇宙食のための食品技術研究施設所長)、デール・ハイアット氏(同大学付属研究農場長)など。

バーベキューの理論として、BBQの歴史や定義、またアメリカの4大BBQとされるノースカロライナ式、メンフィスン式、カンザスシティ式、テキサス式それぞれの特色を解説。BBQに用いるカット肉の説明からBBQの科学としてスモークリングの技術と効用、さらにBBQ用のグリルやピットなどの各種機器の紹介、もみ込み用スパイスミックスやBBQソースの作り方、スモーク用木材とブリスケット、ボストンバット、ポークリブなど部位ごとの調理方法などが掲載されています。

本ガイドブックPDF版は下記よりダウンロードできます。
http://www.americanmeat.jp/trd/publications/book/index.html

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