この数週間で、生体豚市況は顕著に回復した。小売での豚肉販売が季節的な需要増で改善し、輸出も好転したこと、また加工業者のオーダーも通常に戻ったことが要因だ。5月15日の現金取引の枝肉価格は100ポンド当たり81.85ドル。3月末と比較すると26ドル高、45%も上昇した。現金取引に比べて先物取引価格の回復は数週間遅れているが、それでも6月の先物価格は3月下旬以降から11ドル値上がりしている。
生体豚価格の急激な改善を踏まえ、今年後半の価格を予測すると、まず考慮すべきなのは2月下旬から3月の価格が低すぎたことだ。PEDvの影響が大きかった2014年との比較では歪みが生じるため、2013年と比較すると、3月の1日当たり豚肉生産量はおよそ9600万ポンドで、2013年3月の9200万ポンドに比べて4.3%増。3月は輸出が芳しくなかったため、国内流通量が増加したのは確かだが、それでも生体豚価格が2013年3月の78〜80ドルに対して56ドル前後では、実勢を反映した水準とは言い難い。
部位別でも、大部分の小売品目が好調だ。2013年に比べてリブは30%高、バットは15%高と小売需要の強さを反映している。モモは7%安だが、これは供給増加を反映した水準だろう。唯一、苦戦が続いているのはベリーで、100ポンド当たり79.22ドル、2013年の同期比で81ドル安と約半値である。
重量構成で約16%を占めるベリーの価格低迷が他の部位の利益を相殺し、全体の足を引っ張っている。ベリー以外の部位はすべて通常の季節的な価格傾向に沿っているため、仮にベリーが通常の水準(7月までに120ドル程度)まで回復すれば、カットアウト価格は100ドル台もあり得るだろう。
だが現在の先物価格の水準を見る限り、これも予測に過ぎず、市場関係者はメモリアルデー後のロインとトリミングの価格がどう推移するかを注視している。豚肉生産者は冬季の混乱を抜け出し、春季を順調に過ごせた。今秋には週当たりと畜頭数が240万頭に増加することの影響が懸念されるが、夏季の間は順調に推移するだろう。
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