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TRADER'S Be & Po

vol.239 Feb.2.2015
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
業界ニュース 西海岸の港湾ストは「危機」、輸出入の損失甚大
NAMIなど175団体が連邦介入で解決促す書簡提出
トピックス 牛肉加工製品の対日輸出条件を公表―FSIS
市況ニュース 小売の値下げ圧力強まり、パッカーの販売価格下落へ
需給トレンド 12月末の食肉全在庫は前年比4.4%減、ボンレスビーフ増加
ワールドトレード 国外不況と強い米ドル、輸出需要への影響懸念
USMEFインフォメーション SMトレードショー(2月10〜12日、東京ビッグサイト)に出展
マーケットデータ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2014年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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業界ニュース

西海岸の港湾ストは「危機」、輸出入の損失甚大
NAMIなど175団体が連邦介入で解決促す書簡提出

 
 

米国・西海岸の主要港湾での大規模な労働争議は、米国の食肉・家きん肉産業に週当たり3000万ドル以上のコスト負担を強いており、すでに5000万ドルの輸出機会が失われている。西海岸からは毎月20万トン(7億5000万ドル)の食肉・家きん肉がアジア市場に輸出されている。2014年は年間で84億ドル、週当たりでは1億6000万ドル以上である。この損失額の見積はNAMI(北アメリカ食肉協会)が試算公表したもので、同協会のバリー・カーペンターCEOは、この労働争議は「クライシス(危機)である」と指摘した。

PMA(太平洋海事協会)とILWU(国際港湾倉庫労働者組合)の労使交渉は、西海岸の主要な港湾すべてに影響している。カーペンター氏は「輸出業者は製品を出荷できず、販売機会を逃している。特にチルド製品はシェルフライフが短いために最も影響を受けている。西海岸からは毎月1万トンのチルドビーフと1万6000トンのチルドポークがアジアに輸出されている。これらのチルド製品はコンテナ船に積載できずにドックに滞留している。製品価値は失いつつあり、海外のバイヤーのキャッシュフローにも大きな影響を与えている」とし、事態収拾のためにはオバマ大統領が早く介入すべきであると強調している。

またローリー・ブライン米国食肉輸入評議会ディレクターも、「争議の長期化によって西海岸の港湾への入船が遅れ、牛肉輸入が妨げられている。牛肉の全輸入量の40%が西海岸の港から輸入されるが、入港できても輸出待ちの肉で倉庫がいっぱいなため、製品を貯蔵する場所がない」としており、輸出入ともに事態が深刻化している。西海外の港湾の状況を受けて、フィラデルフィアなど東海岸に進路を変更する動きもあるが、フィラデルフィア港もオセアニアからの大量輸入で稼働が追い付かない状況にあるという。

◎完全閉鎖は1日当り20億ドルの損失◎

前述の事態を受けて、NAMIは食肉加工業者、生産者、アグリビジネス関係者、卸売業者、小売業者、輸入業者、輸出業者、物流・輸送会社など175団体・機関とともに、労使双方に交渉の妥結を促す書簡を出した。この書簡では、連邦の労働争議調停機関のスコット・ベッケンバウフ氏を指名し、ILWUとPMAが互いに受け入れ可能な解決策を提案し、交渉妥結に向けて対処するように要請している。

また書簡では、交渉の長期化は経済的な損失が大きいことも強調。多くのターミナルで交通渋滞に陥り、輸入の遅れと輸出の失速を招いている。米国の輸入の40%以上を占めるドックと港湾が閉鎖されると、米国経済にとって1日当たり20億ドル以上の損失に繋がる可能性があるとして早期の解決を求めている。

 

※2015年年1月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY
(なお、この件に関して1月27付ロイター電は労使がコンテナ積載トラックのメンテナンス設備などについて暫定合意し、交渉が進捗しつつあると報じています)

 
トピックス

牛肉加工製品の対日輸出条件を公表―FSIS

 
 

USDA・FSIS(米国農務省食品安全検査局)は1月23日、日本(厚生労働省)と合意したEVプログラムの改正条件をWebサイトで公表した。これにより、ビーフジャーキーやビーフソーセージなどの牛肉加工品の対日輸出が可能となった。

対象製品は「牛肉と牛肉加工製品は、FSIS規則に従って小腸遠位部と扁桃腺を確実に除去した生後30カ月未満の牛に由来するもの」(9CFR310.22(a)(2)及びFSIS指令6100.4)で、2015年1月23日以降に合衆国内でと畜された牛に由来し、米国連邦食肉検査法の下で検査され、FSISマークを受けた(合格した)もの。USDAが衛生証明書を発行する。

と畜場/牛肉処理工場はAMS(農業マーケティング局)の品質評価プログラム(QSA Program GVD1035A)の承認施設で、日本向けのEVプログラムの下で作動するQSA LT-30 プログラム(月齢30カ月未満を確認する品質システム)などが前提条件となる。なお、生鮮/冷凍牛肉と牛臓器(生で無傷な牛肉)のひき肉は添加調味料無しを条件として2013年6月3日付で、湯煎された小腸、胃袋類、血管(大動脈を含む)は2014年4月1日付で日本への輸出が可能になっている。正式な公表条件は下記を参照下さい。
http://www.fsis.usda.gov/wps/portal/fsis/topics/international-affairs/exporting-products/export-library-requirements-by-country/Japan

 
市況ニュース

小売の値下げ圧力強まり、パッカーの販売価格下落へ

 
 

ビーフパッカーは牛肉の卸売価格の値下げを余儀なくされている。チョイスのカットアウト価格は、1月22日から23日にかけて100ポンド当たり7.23ドル低下し、セレクトも同5.18ドル下落した。2週間前のチョイスのカットアウト価格は255.91ドルで、昨年8月第1週に記録した最高値259.01ドルに次いで史上2番目に高かった。

一方で牛肉の小売価格は、ほとんどの部位が依然として高値にある。2〜3月は年間でも牛肉の需要が最も弱い時期であり、牛肉の販促はさらに減少する可能性がある。小売業者の牛肉販売マージンが低下しており、これが卸売価格を値下げさせる圧力になろう。

2014年の牛肉小売価格は記録的な高値で推移し、年明けの1月から12月までに19%も上昇した。USDAが発表した12月の牛肉小売価格は、全体平均でポンド当り6.00ドルと、11月に比べて0.09ドル上昇。前年比では19%も高い。チョイスの小売価格の平均は6.31ドルで、11月比1セント高、前年比では17.7%高。

牛肉価格は過去2年間で毎月値上がりしてきたが、この1カ月は6ドルベースで横ばいである。すべてのチルド牛肉価格の年間平均は5.56ドルで、前年比12.8%高。2014年後半には他の食肉との比較で割高感が強まり、牛肉の売上高への大きな影響が懸念され始めた。

豚肉の小売価格は、12月の平均が3.99ドルと11月に比べて0.07ドル低下したが、年初に比較すると6.1%高。チキンの小売価格は1.99ドルで11月比2セント安と、年初に比較すると1.0%の上昇にとどまっている。

牛肉と豚肉の大幅な価格差は、今後数カ月間は続く可能性が高く、牛肉販売は厳しい状況にある。生体豚のと畜頭数と豚肉生産量が前年を上回って推移する一方で、牛肉生産量は前年割れが続く見込みで、これが両者の価格差に反映される。12月のチョイスのカットアウト価格は豚肉に比べて100ポンド当たり177.52ドル高、311%の水準にあり、1月の第1週も169.54ドル高、304%だった。

 

※2015年1月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
需給トレンド

12月末の食肉全在庫は前年比4.4%減、ボンレスビーフ増加

 
 

12月末の食肉在庫調査(USDA)が公表されたが、先行きの食肉在庫はアジアとの貿易で重要な西海岸の港湾での労働争議による混乱が大きな影響を与えるだろう。製品輸出が滞り、1月には食肉在庫が大幅に増加している可能性がある。

12月末の食肉の全体在庫は18億4400万ポンドで、11月比4.3%増となった。ただ、前年同月比では4.4%減、過去5年平均との比較では2.2%減。12月は例年よりも在庫消化が緩やかだった。これは牛肉在庫が増加したためで、特に骨なし製品の在庫が急速に増加した。

ボンレスビーフの在庫量は4億350万ポンドで前月比11.4%増、前年同月比では1%増。ボンレスビーフの国内産と輸入品の内訳は不明だが、大幅な増加はオーストラリアとニュージーランドからの大量輸入によるものと推測される。オーストラリアから米国への11月の船積み(12月入荷分)は前年比130%増。ニュージーランドから米国への11月の輸出は87%増となっており、保税倉庫、民間施設ともに輸入牛肉の在庫が大量にあると推測される。

豚肉の在庫は4億9710万ポンドで、前年比10.3%減。12月は通常なら在庫が緩やかに減少する時期だが、11月よりも若干多くなっている。ただ冷蔵倉庫からの出庫量は、マーケットに対して適正な水準を保っている。モモ肉の在庫は6600万ポンドで前年比14%減だが、イースターに向けての供給には支障がないだろう。

チキンの在庫は7億1260万ポンドで前年比2%増、過去5年平均比では6%増。この数カ月間、生産量の大幅な増加により在庫量も急激に増加しており、一部は凍結に回されるだろう。ムネ肉の在庫は1億5900万ポンドで前年比44%増、過去5年平均比25%増となっている。

 

※2015年1月26日 NBP Pork Merhandiser's Profit Maximizer

 
ワールドトレード

国外不況と強い米ドル、輸出需要への影響懸念

 
 

市場関係者が今後12カ月間の世界経済の停滞を懸念した通り、肉牛と肉豚の先物価格は後退を続けている。主要な国外市場の経済問題、為替相場での米ドル高は豚肉の生産量拡大が本格化すると同時に、食肉の需要と価格に大きな影響を与えるかも知れない。

ユーロの価値は過去6カ月間でUSドルに対して20%安となった。欧州の主要な畜産国は、EU域内での需要の鈍化とドルに対するユーロ安により、世界市場での取引量を増やすだろう。

日本経済は再び不況に陥り、購買力はもちろん日本円の価値にも悪影響が出ている。日本は米国産牛肉の最大市場であり、豚肉では2番目に大きな市場。この市場の低迷は、米国産食肉の需要に確実なマイナス要因となる。

ロシア経済は後退の瀬戸際で、2015年は4〜5%縮小すると予測される。ルーブルは顕著に下落し、世界の食肉市場での購買力が低下している。重要なのはロシアが世界市場で牛肉、豚肉、鶏肉、酪農製品の主要な買い手であることだ。ロシアの購買力低下は、多くの製品が他の市場に回ることを意味し、価格競争の激化を招くことになる。実際にロシアの禁輸によって欧州の豚肉価格は16%ダウンし、欧州はこれまで米国の輸出市場だったメキシコに対しても輸出の強化を試みている。

ブラジルとアルゼンチンも景気後退に直面している。両国はエネルギー価格の低下、商品需要と労働力の弱さなど国と産業の基盤に問題を抱えている。ブラジルのペソは昨年7月から米ドルに対して20%安となった。昨年の国内の食肉消費は減少し、牛肉、豚肉、鶏肉ともに輸出量が増加している。

中国の経済成長率は7%だが、この20年で最も低い伸び率である。中国は牛肉、豚肉、鶏肉、乳製品の主要な購入先として浮上している。ただ、この数カ月間の購入は減少している。飼料コストが低下したことから国内生産を奨励する動きがある。

米国の豚肉と鶏肉の生産量の増加予測は前年比4〜6%増。米ドルが強いことは輸出市場での機会を制限することになり、卸売価格を低下させる要因にもなる。ただ、短期的には市場への圧力となるものの、それもグリルシーズンが始まるまでのことだろう。

 

※2015年1月26日 NBP Pork Merhandiser's Profit Maximizer

  Sドルに対する主要輸入国と競合国通貨の為替相場の推移
 
USMEFインフォメーション

SMトレードショー(2月10〜12日、東京ビッグサイト)に出展

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は2月10〜12日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第49回スーパーマーケット・トレードショー2015」にメンバーパッカー2社(ホーメルフーズ インターナショナル、フレッシュマーク・インク)とともに出展します。

USMEFブースでは、今年の一押し提案メニューとして販促サポートを強化する「BBQ」をはじめ、ビーフでは家庭で手を加えずにアメリカン・ビーフのおいしさが味わえるメニュー提案を充実し、ポークでは惣菜への活用拡大を図る各種メニュー(惣菜キット)を提案します。部位の展示に加え、提案メニューを実際に試食していただけるようにブース内にラウンジを設置します。

ーアメリカン・ミートのかたまり肉を、豪快に焼く。「本格BBQでEnjoy!」ーをキャッチ・コピーにしたBBQ提案では『Low&Slow』をコンセプトに、低い温度でゆっくりと調理することで、ブリスケットなどをおいしく仕上げる独特の調理方法が特長の「テキサスBBQ」や多様なシーズニングやソースでかたまり肉や厚切り肉を丸焼きにすることでレジャー性やエンターテイメント性の高い「アメリカンBBQ」を提案し、新規制作の各種POSツールもご紹介いたします。

ビーフの試食はチャックアイロール(BBQ)、リブフィンガー(カレー)、牛タン(厚切り牛タン塩焼き)、プライムグレードのストリップロイン(厚切りステーキ)、テキサスBBQ=ピットマスターズビーフショートリブを、ポークではCCロイン(BBQ)、クッションミート(プルドポークの卵とじ丼)、ビクニック(豚ウデ肉のバルサミコソース煮)、ベリー(豚バラ肉のパリパリ揚げ)、テキサスBBQ(カウボーイポークスペアリブ)を予定しています。

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート