肥育牛の供給は来年2月までタイトな状態が続く。今年3月から8月までのフィードロットへの素牛導入頭数が前年同月を下回って推移し、9月の導入数も前年同月比では1%、1万9000頭増加したが、3〜9月計では導入頭数が前年より55万6000頭も少ない。
1000頭以上の収容能力を持つフィードロットから、同じ7ヵ月間に出荷された頭数は前年同期を60万頭以上も下回っている。10月1日のフィードロット飼養頭数は1005万8000頭で前年同月比99.5%、3月1日時点より73万2000頭も下回っている。
7〜8月計の出荷頭数は前年比37万4000頭も減少。9月はと畜稼働日が1日多かったこともあり9000頭の減少にとどまった。枝肉重量が記録的な重さにあることから、フィードロットの出荷遅れも懸念されたが、導入と出荷頭数の推移から判断して、その懸念は杞憂であり、どんなに急がせても3月まで出荷頭数は増えない。
9月の導入頭数の重量別の内訳をみると、興味深いことがある。800ポンド以上での導入が8%増加した半面、700−799ポンドが8%減少している。飼料コストが安くなったとはいえ、肥育業者は体重の軽い素牛を計画的に導入しているわけではない。軽い素牛を探すよりも、飼料の安さから肥育期間の後半で追加的に体重を増加させているようだ。
◎肥育業者は肉牛の増体を継続
生体牛の枝肉重量は引き続き記録的な水準を維持している。10月第3週の去勢牛の平均は898ポンド(407kg)で前年同期より23ポンド増。未経産牛は818ポンド(371kg)で同17ポンド増。肉牛全体の平均では825ポンド(374.2kg)で同21ポンド増だった。肥育業者はまだ増体させた方が経済的に得策と判断しており、今後数カ月で枝肉重量は最高記録を更新するかも知れない。
アナリストは「現状の生体牛の重量を重くする策は生産者にとってかなり魅力的だ。最終肥育段階で出荷重量を100ポンド上乗せすると、1頭当たり利益は50〜70ドル増える」という。 ただ、肉牛生産の専門家は「生産者はデーリーゲイン(DG)と飼料要求率を慎重にモニタリングする必要がある」と指摘する。
肥育牛の販売価格と肥育コストの関係で、飼料コストの安値が続いている限りは重量級の出荷が続くだろう。「これは市場中心のシフトであり、ほとんどの場合で肥育期間の追加は収益を増加させる。しかし、肥育期間の延長が今後も長く続くと、飼料の肉変換効率のバランスが崩れてしまう可能性がある」という。
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