生体牛の価格は、ボックスビーフとは逆の値動きを見せている。先物価格がファンドによる「買い」から、9月最終週に平均100ポンド当たり156.75ドルまで高騰。これを受けて現金取引も強気になり、10月第1週に肥育業者は161〜162ドルでの販売を要求し、パッカーは高値での購入を余儀なくされた。こうした状況が続くと、パッカーの収益が再び悪化し、ボックスビーフの販売が低迷した8月のような状況に逆戻りすることになる。
パッカーの収支は9月上旬まで回復基調にあったが、中旬以降から再び落ち込み出した。このため、パッカーは9月末から10月1週にかけてスポット市場に大量の在庫を放出。しかし、小売バイヤーの買い気は弱く、買い手市場状態に拍車をかける格好となった。
アナリストは、牛肉の卸売は手詰まり状態だと指摘する。小売での牛肉販促が減少し、ボックスビーフの価格を維持できなくなっている。6月の小売需要が予想よりも強かったため、カットアウト価格は7月に記録的な高水準となり、8月上旬には100ポンド当たり259.01ドルを付けた。しかし、この高値で小売店での販促が減少し、牛肉小売価格が高騰。カットアウト価格は9月第4週に239.82ドルまで下落した。
◎肥育業者が生体牛価格を支配、出荷先延ばしも
生体牛市場では依然として肥育業者が優位を保ち、パッカーは100ポンド当たり161〜162ドルでの買いを余儀なくされた。フィードロット総飼養頭数に対して出荷率があまりにも低いため、パッカーは肥育業者に出荷を促進させようとしているが、肥育業者は飼料穀物が豊作であることから、出荷を遅らしても飼料コストの増加は少なく、現金取引価格が多少低下しても採算が合うと判断している。
肥育牛の枝肉重量は9月第1週末に去勢が889ポンド(403kg)、全体平均では822ポンド(400kg)と記録を更新し、その後は2ポンドほど低下したが、前年比ではいまだ19ポンドも重い。アナリストは「フィードロット業者は肥育日数を伸ばし始めている」と指摘する。飼料価格が低下してきたことから、フィードロットでの1頭当り1日の飼料コストは85セント前後で、生体牛1ポンドあたりのほぼ半分となっている。フィードロットのこうした対応は、パッカーの肥育牛調達をさらに厳しい状態にするかもしれない。フィードロットへの導入が少なくなり、4四半期には現金取引市場への出荷頭数がさらに減少する可能性があり、先物価格は162ドルから166ドルの間で推移するだろう。
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