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TRADER'S Be & Po

vol.232 Sep.16.2014
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 連休の売れ行き好調で牛肉カットアウト価格安定
生体豚価格は需要鈍化と増頭予想で値下がりへ
トピックス ダイエットの切り札は低脂肪よりも低炭水化物
ポーク関連ニュース 7月の豚肉在庫は過去5年間平均の6.8%増、モモ増加
需給トレンド 牛群の拡大はまだ先、繁殖雌牛の実質減少予測も
業界ニュース 牛肉格付の見直し、業界は意見公募に好感
フードサービス バーガーキングがカナダのレストランチェーンを114億ドルで買収
マーケットデータ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2014年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

連休の売れ行き好調で牛肉カットアウト価格安定

 
 

レイバーデー(9月の第一月曜日)の連休の好調な牛肉販売が、生体牛と牛肉価格の安定に寄与しそうだ。牛肉卸売価格の記録的な高値が続いてきたことから、7月から8月前半まで、小売店は牛肉販促を制限せざるを得なかった。CL90(赤身率90%の牛ひき材)は7月上旬以降、2度も最高値を更新している。

しかし今回の連休は、一部の小売チェーンが骨付きサーロインやリブロースを積極的に販促、牛ひき肉のチラシ掲載も増えている。8月最終週のと畜頭数は推定58万4000頭。今週は稼働日が1日少ないため52万5000頭と推定され、前年同週より5万頭少ない。枝肉重量は前年より重いが、と畜頭数の減少を補うほどではない。

カットアウト価格は7月下旬の高値から徐々に低下。まだ6月のBBQシーズンの価格は維持しているが、「この価格帯にはまだかなりの不安材料がある」とアナリストはいう。8月28日のチョイスのカットアウト価格は100ポンド当たり246.89ドルで、7月31日の最高値264.66ドルに比べて16.77ドル安。セレクトは235.27ドルで、7月30日の最高値260.83ドルから25.26ドルも値下がりしている。

牛挽き材は高値更新、今後は値下げ圧力強まるか

カットアウト価格の下落には、9月に入ると牛肉消費が落ち込むことを見込んで、パッカーが在庫の消化を積極的に進めたことも影響している。特にモモ系とロイン系アイテムに値下げ圧力がかかり、アナリストは「次は牛挽き材に値下げ圧力がかかるだろう」と予想する。

米国産のCL90の価格は、8月最終週に100ポンド当たり298〜299ドルとなり、週当たりでの最高値を記録した。経産牛のと畜頭数は、季節的に増える可能性もあるが、年内は引き続き前年同期を下回って推移することが確実視される。

8月最終週の現金取引市場は、週初めの予想では生体牛が100ポンド当たり153.14ドル、枝肉価格は241.86ドルと前週並みと見込まれていたが、木曜日の午後に先物の8月契約が154.65ドルを付けたことから、現金取引の引き合いが強まり、前週の1ドル高となった。

しかし一部のアナリストは、今後の現金取引価格は148ドルまで下落するだろうと予想する。先物の10月契約価格が150.10ドル、12月は152.70ドルであり、過去の例から見ても第3四半期の価格が第4四半期よりも高くなることはないだろう。

 
 

生体豚価格は需要鈍化と増頭予想で値下がりへ

 
 

生体豚の先物価格は7月上旬に史上最高値を記録して以降、急速に低下してきた。市場関係者が長期契約を敬遠し始めたことで、現金取引価格の下落も加速している。一時、期近の10月先物価格はピーク(7月9日の12月先物で100ポンド当たり105.45ドル)より25ドル、21%安まで値を下げた。8月22日の終り値は87.15ドルだった。

これにはいくつかの要因がある。ロシアが米国産豚肉の輸入禁止を決定したこと、中国が米国のいくつかの工場からの輸入を停止したこと、予想よりも多いと畜頭数と生体重量の増加、そして消費者需要の弱まりなどが重なった。
このため、最終的には市場取引関係者と生産者との間で認識が変化し、アイオワ、ミネソタでは枝肉価格が100ポンド当たり95.30ドルと前週より8ドル安、8月1日からは24ドルも安い価格となった。

この数カ月間、PEDvの影響により、生体豚の現金取引価格は史上最高値を何度も更新した。減少した頭数を補うために生体重量を増やした結果、今夏の枝肉重量は前年比5%増となった。これまでは牛肉卸売価格の記録的な高値が追い風となってきたが、市場環境は一変しつつある。生産者は第4四半期の生産安定、収益改善を見据えて、できるだけ早く重量の大きな豚を出荷処分し、新たな相場形成を行う必要がある。

 
 
 
 
 
 

6月の輸出量に占めるロシアと中国のシェアは12%だった。モモはロシアから大量注文があるとされ、6月にはスポット市場への供給が減少して食品加工業者と小売業者の間で激しい獲得競争が起こったが、現在は大量の在庫を抱えてカットアウト価格は100ポンド当たり93.91ドル、6月末に比べて32ドル、26%も急落した。

ベリーは7月と8月に大きく値を下げた。生体豚の高値続きで小売業者がベリーの販促を控え、外食産業でも使用が制限された。7月末のベリーの在庫量は6450万ポンドで前年同月比30%増、過去5年平均との比較では93%増と2倍近い。ベリーのカットアウト価格は、6月末との比較で56ドル、33%も値下がりしており、カットアウト価格全体の低下要因になっている。

 

※2014年8月25日 NPB Pork Marchandiser’s Profit Maaximizer

 
トピックス

ダイエットの切り札は低脂肪よりも低炭水化物

 
 

内科学会の年報に「体重の減量と心血管の危険因子には、低脂肪よりも低炭水化物ダイエットが効果的である」とする新しい臨床試験結果が発表される。これは国立衛生研究所の資金提供で行われた臨床試験。

これまで低脂肪ダイエットを支持するのに広く用いられてきた疫学的研究は、ダイエットと健康の関連性を示すだけだったが、今回の臨床実験は関連性の影響と原因が特定できるもので、低脂肪より低炭水化物が効果的と実証されたことは、低脂肪を勧めてきた長年の栄養学的アドバイスに真向から反論する内容である。

試験は心血管の疾患と糖尿病に罹患していない148人の男女を無作為に抽出し、低炭水化物(1日あたり40g未満)と低脂肪規定食(1日の摂取カロリーのうち脂肪からの摂取を30%未満にする)の2つのグループに振り分けたもので、両グループは定期的に食事のカウンセリングを受けたが、カロリーやエネルギーの目標は設定されなかった。

筆頭著者のDr.Lydia Bazzano博士(チューレイン大学院教授)は、「12カ月間にわたる臨床試験で10年間の心臓病のリスクを推定した結果、低炭水化物ダイエットの方が低脂肪ダイエット・グループよりリスクが低減することが判明した」という。

1年後の体重減少は、低炭水化物グループの方が低脂肪グループよりも平均で7.7ポンド多く、心臓病の危険予知因子でもある特定の脂肪の血中濃度は低炭水化物摂取グループでより多くの改善がみられた。両グループの低密度リポタンパク質コレストロールはほぼ同じであったが、低炭水化物グループはいわゆる善玉コレストロールが増え、悪玉コレステロールの比率の低下がみられた。

 

※2014年9月2日 Meatingplace.com

 
ポーク関連ニュース

7月の豚肉在庫は過去5年間平均の6.8%増、モモ増加

 
 

7月末の牛肉在庫は非常に少ない。エンドユーザーが生鮮牛肉の高値に対応し、在庫を積極的に活用したことが要因である。いくつかのアイテムが記録的な高値を続けていることから、エンドユーザーは在庫を備蓄する余裕がなく、当用買いに終始している。

豚肉の在庫は5億2920万ポンドで前年同月比2.7%減だが、過去5年間平均との比較では6.8%も多い。これはベリーの在庫過多に加え、モモの在庫が1億4950万ポンドと5年間平均比3.2%増になっているためだ。

モモの在庫は前年同月比17%減だが、前月比では18%増で、この時期としては例年よりかなり多い。今年はエンドユーザーが例年より速いペースで備蓄を始めたが、ロシアや中国でのビジネス停止は当時は想定外だった。

 

※2014年8月25日 NPB Pork Marchandiser's Profit Maaximizer

 
 
 
 
 
需給トレンド

牛群の拡大はまだ先、繁殖雌牛の実質減少予測も

 
 

米国の牛肉業界はこの2年間、飼養頭数の回復・拡大の兆候を待ち続けてきたが、さらにもう1年待つ必要があるかも知れない。昨年の年初には、多くの生産者が繁殖用雌牛は前年より10万頭増えると予想したが、数カ月で否定された。今年の年初も繁殖用雌牛は9万頭増加すると予想されたが、肉牛コンサルタントのウォルター氏によれば、それらのの多くは4〜5月にフィードロットに導入されてしまったという。

子牛繁殖地帯の大半は2011〜2012年の干ばつの影響から復旧したが、生産者は干ばつがいつまた始まるかも知れないという懸念を抱いている。子牛と肥育素牛の価格が1年を通して最高値で推移しているため、未経産牛を繁殖の更新用に保留するよりも売却することを選択するケースが増えている。

また同氏は「多くのアナリストは、2014年は飼養頭数の拡大の年か繁殖用雌牛の頭数確保の年になるかどうかを推測しているが、そのために用いるUSDAの毎月のと畜頭数、フィードロット導入頭数などの分析データにはホルスタインとメキシコからの生体輸入素牛の区別がない」という。

確かに1月1日の飼養頭数報告では、繁殖用雌牛に保留・更新できる雌牛が9万頭はいる可能性が示され、経産牛のと畜頭数の減少と合わせて繁殖用雌牛の清算はすでに終わり、増加に転じたと結論付けるのは単純すぎる。CPPデータ(1992年で終了したホルスタインとメキシコ産の導入素牛を区別したデータ)では、1月1日現在の繁殖更新用の未経産牛の多くが4〜5月にフィードロットに導入され、更新用雌牛は1.7%増ではなく、実際にはむしろ減少している可能性もあるという。

2014年のフィードロット導入頭数に占める未経産牛の割合はあまり変化しておらず、4〜6月は62〜63%と高い。導入時の生体重量も重く、更新候補として一定期間は飼養されていたことをうかがわせる。

同氏は「繁殖用雌牛には清算から拡大への急速なシフト替えは起こらない。経産牛のと畜頭数の減少は雌牛頭数を安定させるかも知れないが、肉用牛の増頭までにはまだ時間がかかり、あと1年では済まないだろう」と予想する。

 

※2014年9月1日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
業界ニュース

牛肉格付の見直し、業界は意見公募に好感

 
 

USDAのAMS(米国農務省農業マーケティング局)は、牛肉の格付制度の改正に向けて関係者からの意見公募を開始した(Trader's Be&Po231号にて既報)。AMSが制度の変更を提案する前に、関係者に広く意見を求めたことについて、北アメリカ食肉協会(NAMA)は歓迎する声明を発表した。

NAMAは牛肉の格付はパッカーから消費者までのマーケティング・チェーン全体を通して使われる標準で、業界が経費負担していることを指摘。業界がその制度の維持に責任をもつ機関に関連した意見や要請を提出できることは有意義な機会であるとしている。

AMSは前回の改訂(1997年)以降のさまざまな変化について意見を公募しているが、NAMAはとくに格付等級別の発生割合に着目している。2013年の等級割合はプライム3.6%(2003年3.0%)、チョイス65.7%(同53.1%)、セレクト30.2%(同38.9%)、スタンダード以下0.5%(同5.0%)で、過去10年間で高品質の割合が高まったことを指摘している。

 

※2014年8月25日 CATTEL BUYER'S WEEKLY

 
フードサービス

バーガーキングがカナダのレストランチェーンを
114億ドルで買収

 
 

ハンバーガーチェーン大手のバーガーキングは8月25日、カナダのレストランチェーン「ティム・ホートンズ」を約114億ドルで買収、企業統合することで交渉していると発表した。統合後の会社は世界100カ国で1万8000店のレストランを展開し、年間売上高は230億ドル(世界第3位)の規模となる。

ティム・ホートンズはカナダ最大のコーヒー・ドーナツチェーンで、バーガーキングはこの買収、企業統合で世界最大のファストフードチェーンを目指すとしている。ただ、統合後の本社は法人税率が米国よりも低いカナダに移転する計画。

この企業の国籍移転は、カナダの規制当局が自国の代表的な企業が外国企業に買収されることへの警戒感を薄める狙いもがあるが、実際には節税を狙った国籍転籍には議論がありそうだ。統合後も両社はそれぞれのブランドで事業運営する。バーガーキングはブラジルの投資会社・3Gキャピタルが株式の51%を有し、新会社も同社が引き続き支配下に置く。

 

※2014年8月26日 The New York Times

 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ビーフ・ファクト・シート