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TRADER'S Be & Po

vol.216 nov.25.2013
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 枝肉重量は依然として重い:今後の動きを注視
生体豚の先物価格高騰、堅調な需要と供給減で
ワールドトレード ロシアがアメリカン・ビーフの輸入再開へ
ポーク関連ニュース 9月末の豚肉在庫は10%減、今後さらに減少
需給トレンド 小売の牛肉需要は順調だが、先行き不安材料も
セーフティ関連ニュース 2015年1月までに豚の個体識別耳標「PINタグ」の使用開始
USMEFインフォメーション 「アメリカン・ポーク バイヤーズ ガイド」を発刊
マーケットデータ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2013年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

枝肉重量は依然として重い:今後の動きを注視

 
 

現在の肥育牛の枝肉重量は、今年これまでのところで最も重い水準にある。米国農務省(USDA)が10月26日に公表した報告では、肥育去勢牛の平均枝肉重量は876ポンド。これは、記録的重さだった昨年10月と12月の中旬に比べて4ポンド足りないが、過去5年間平均と比べると16ポンドも上回っている。

未経産牛は806ポンドで、昨年で最も重かった11月中旬と比べて10ポンド下回っているが、5年間平均比では12ポンド重く、前年同週比でも8ポンド重い。10月第4週の経産牛のと畜頭数は12万1500頭で、前年同週より1万6800頭少ないが、1頭当たり8ポンド重い。これは週当たりのと畜頭数に換算すると8000頭分に匹敵する。

枝肉重量は10〜12月を通じて、昨年の記録的な重量をわずかに下回る水準で推移するとみられるが、それでもアナリストは「肥育業者はまだ出荷を急ぐ必要はない」という。ただ、枝肉重量が来月も上昇するようであれば、その懸念も出てくる。肥育状況は、冬のこの時期としてはかなり順調である。

とうもろこし価格が安くなったこと、また導入素牛のコストが非常に高く肥育期間を延ばして増体を図っていることが要因とみられるが、今後の動きを注視する必要がある。

◎生体牛1ドル安、チョイスのスポット価格も値下がり

重量級の牛が多い影響かどうかは定かでないが、11月4日の週の生体取引は少なかった。テキサスの肥育業者は7日、前週より1ドル安い100ポンド当たり131ドルで販売。カンサス、ネブラスカでもほぼ同様の価格で推移した。生体牛価格は6週間続いた高値の後、前々週からやや値を下げて安定した。

12月の先物契約数は若干ながら減少し、11月4日には131.67ドルで引けた。週初めから4日間で40ポイントの下げとなったため、パッカーは現金取引市場で深追いをしなくなっている。

パッカーは、前々週のと畜頭数が62万1000頭と予想以上に多かったため、チョイス級のスポット市場価格を値下げせざる得なくなった。リブロースやサーロイン、ショルダーの価格は週の前半より下落したが、アナリストは「パッカーは次の週末には現在のスポット価格よりもっと安い価格で出荷しなければならないだろう」という。

主要な食品チェーンは積極的に牛肉の販売促進を実施し、10月は多くのチェーンで売上高が前年よりも拡大した。しかし、食鳥生産者が飼料の値下がりもあって生産量を増やし、ムネ肉はますます安値になる可能性がある。このため12月には、小売チェーンでの牛肉販促は少なくなると予想される。ただ、チョイス級の主要なアイテムについては販促が予定されており、骨付きリブアイは12月前半にはポンド当たり5.99〜6.99ドルと前年とほぼ同じ価格になりそうだ。

 

※2013年11月11日 Cattle Buyers Weekly

 
 

生体豚の先物価格高騰、堅調な需要と供給減で

 
 

生体豚の先物価格は、堅調な需要と品不足を見越して高騰。生体豚ならびに豚肉価格も高値を付けている。生体牛の減少と牛肉価格の高値で豚肉需要が強まる中、PEDvの広がりもあって豚肉供給量が予想外に少ないことが価格上昇に結びついている。

豚肉輸出に関しては将来的な期待が膨らんでいるものの、実際のデータは前年実績を下回っている。中国が米国市場からの購買をより活発化するとの思惑が強い。確かに中国の米国産豚肉の輸入は徐々に増えており、将来的にもこの傾向は継続するだろう。

一方で先物市場関係者は、2013年後半から2014年前半におけるPEDvの潜在的な影響に注目している。この疾病による9月、10月の生体豚供給の大きな落ち込みを補うことは困難だろう。

これまでの先物取引では、第2四半期と第3四半期の契約においてかなりのリスクが発生しており、豚生産者にとって大きな利益を確定する良い機会である。ただ、一つの懸念は、生体豚の体重がいまだに増え続けていることだ。枝肉重量は210ポンド以上になっており、と畜頭数の減少で一定量は相殺されているが、短期先物の価格を現在の水準に制限する要因になっている。

 

※2013年11月4日 NBP Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
ワールドトレード

ロシアがアメリカン・ビーフの輸入再開へ

 
 

ロシアは昨年2月から続けてきた米国産牛肉の輸入禁止措置を解除する。ロシア当局は解除の日程には触れず、2014年に輸入再開するとし、七面鳥肉については11月中にも解禁すると発表した。

ロシアは輸入割当制度の下で、米国産牛肉(冷凍・マッスルカット)の輸入を最高6万トンまで許可する。割当量は2013年初期に合意された数量と同じであり、米国がこの割当を受け入れれば、ロシアは規制を解除することになる。関税率は関税割当内が15%、それ以外は50%で、米国政府はすぐにも受け入れる見込み。

牛バラエティーミートに関して割当枠はないが、関税はかかる。米国からロシアへの牛肉および牛バラエティーミートの2012年輸出実績は、輸出量8万408トン、輸出金額3億700万ドル。

 

※2013年11月11日 Cattle Buyers Weekly

 
ポーク関連ニュース

9月末の豚肉在庫は10%減、今後さらに減少

 
 

9月末の食肉在庫量は前年同月をわずかに下回る水準だが、先行き2カ月間でさらに減少する可能性が高い。豚肉の在庫は5億6640万ポンドで、前年同月比10.2%減だが、5年間平均と比較すると8.9%増。豚肉在庫の前年割れの要因は、と畜頭数の減少で、この在庫の少なさは今後のホリデーシーズンに向けた豚肉価格を高値で支えることになるだろう。

モモの在庫は2億2120万ポンドで前年同月比2.8%増、5年間平均との比較では26.9%増と依然として多い。モモの在庫が高水準であるにも関わらず価格が堅調なのは、輸出需要の強さにある。

牛肉の在庫は4億4510万ポンドで前年同月比4.7%増、5年間平均比4.3%増。USDAは牛肉在庫の種類別を公表していないため、この増加の内訳は明らかではないが、9月はボンレスビーフの入庫量が増えたと推測される。

鶏肉はムネの在庫が急激に減少。出庫量の多さから価格が大きく低下した。エンド ・ ユーザーは、2014年まで鶏肉の低価格が続くとみて販促準備を進めており、鶏肉在庫の消化が加速すると予想される。

 

※2013年9月 FOODMARKET.COM News

  冷凍豚肉の在庫量の推移
 
需給トレンド

小売の牛肉需要は順調だが、先行き不安材料も

 
 

牛肉需要は小売市場では予想以上に強いが、フードサービス市場では芳しくない。これは消費者が牛肉への支出をレストランから小売店にシフトしたことが要因とされる。アナリストは「8月以降、小売店での牛肉販売は勢いがある。10月は全国ポーク月間であったものの、食品チェーンでは牛肉の積極的な販売促進により良好な結果を残した」という。

しかし、生体牛の現金取引価格が100ポンド当たり130ドル台の高値となり、小売店の販売差益はかなり圧迫されている。これ以上、牛肉価格が上昇すると、小売業者は牛肉以外の食肉の販売を重視するようになる。

一方でガソリンやディーゼルの燃料コストの急激な下落により、消費者は前年より多くの可処分所得を得てきた。また、2009年からスタートしたフード・スタンプ(低所得者に対する食券または給付金支給)も牛肉需要を支えてきたが、これは11月15日で終了する。

USDAはフード・スタンプの満了により、2014年度で50億ドルあるいは3年間で160億ドルの歳出を削減する。これは最大の給付を受けていた4種の家族で1カ月当たり36ドル、年間420ドルの減少となる。

一方、燃料費の値下がりによる消費者の支出軽減額は数十億ドルに相当する。10月28日のレポートでは、前年に比べてディーゼルは1ガロン当たり16セント、ガソリンは27セントも下がっている。2月25日の最高値に比較するとディーゼルは29セント、ガソリンは56セントの値下がり。この燃料コストの支出減は牛肉購買のプラスになる。

 

※2013年11月11日 Cattle Buyers Weekly

 
セーフティ関連ニュース

2015年1月までに豚の個体識別耳標「PINタグ」の使用開始

 
 

全米豚肉委員会(NPB)は、全米の主要豚肉パッカーと加工業者が2015年1月1日付で豚の飼養条件としてUSDA認可の個体識別耳標(PIN= premises identification number)タグの使用を開始すると発表した。

PINタグは、表面に7桁の連番、裏面には連番とバーコードが印刷される。タグは管理番号の有無でカスタマイズすることが可能で、色も選べる。NPBによると、PINタグは家畜の疾病監視プログラムを改善し、いち早く家畜の病気を発見する能力を強化。迅速で正確かつ効果的なトレース・バックシステムは、国内はもとより国際市場を維持拡大するためにも重要なツールになるとし、現在使用していない生産者にも登録・使用を奨励している。

NPBによると、すでにジョンソンビル社、ボブ・エヴァンス社、ヒルシャー・ブランド社、パイオニア・パッキング社、アビーランド・ポーク社など9社が2015年1月にPINタグの使用を条件化することが決定しているという。

 

※2013年11月11日 Meatingplace/NPB Pork checoff News

  冷凍豚肉の在庫量の推移
 
USMEFインフォメーション

「アメリカン・ポーク バイヤーズ ガイド」を発刊

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)はこのほど『THE AMERICAN PORK BUYER’S GUIDE』(アメリカン・ポーク バイヤーズ ガイド)を発刊いたしました。本ガイドは主要部位の規格紹介をはじめ、アメリカン・ポークの生産から加工、流通、販売に関する基礎的な知識を網羅しています。

とくに、部位ごとの規格(計29品目)と用途紹介では日本の将来的な輸入環境の変化も見据えて、現在の人気部位に加え、骨付き商材今後の需要増が期待される部位やアメリカで人気のプルドポークなど新しい提案を多彩に掲載しています。

アメリカン・ポークは「高品質」「安定供給」「高い安全性」とともに、ロスの少ないきめ細やかなスペック製品を単品で供給できることが大きなメリットです。新しい商品開発や販売提案、既存業務の効率化などに本ガイドをご活用いただければ幸いです。

本ガイドをご希望の方はUSMEF加藤、中山までお問い合せ下さい。なお本ガイドはUSMEFのWebサイトでも閲覧ができます。
http://www.americanmeat.jp/trd/publications/book/index.html

 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ビーフ・ファクト・シート