現在の肥育牛の枝肉重量は、今年これまでのところで最も重い水準にある。米国農務省(USDA)が10月26日に公表した報告では、肥育去勢牛の平均枝肉重量は876ポンド。これは、記録的重さだった昨年10月と12月の中旬に比べて4ポンド足りないが、過去5年間平均と比べると16ポンドも上回っている。
未経産牛は806ポンドで、昨年で最も重かった11月中旬と比べて10ポンド下回っているが、5年間平均比では12ポンド重く、前年同週比でも8ポンド重い。10月第4週の経産牛のと畜頭数は12万1500頭で、前年同週より1万6800頭少ないが、1頭当たり8ポンド重い。これは週当たりのと畜頭数に換算すると8000頭分に匹敵する。
枝肉重量は10〜12月を通じて、昨年の記録的な重量をわずかに下回る水準で推移するとみられるが、それでもアナリストは「肥育業者はまだ出荷を急ぐ必要はない」という。ただ、枝肉重量が来月も上昇するようであれば、その懸念も出てくる。肥育状況は、冬のこの時期としてはかなり順調である。
とうもろこし価格が安くなったこと、また導入素牛のコストが非常に高く肥育期間を延ばして増体を図っていることが要因とみられるが、今後の動きを注視する必要がある。
◎生体牛1ドル安、チョイスのスポット価格も値下がり
重量級の牛が多い影響かどうかは定かでないが、11月4日の週の生体取引は少なかった。テキサスの肥育業者は7日、前週より1ドル安い100ポンド当たり131ドルで販売。カンサス、ネブラスカでもほぼ同様の価格で推移した。生体牛価格は6週間続いた高値の後、前々週からやや値を下げて安定した。
12月の先物契約数は若干ながら減少し、11月4日には131.67ドルで引けた。週初めから4日間で40ポイントの下げとなったため、パッカーは現金取引市場で深追いをしなくなっている。
パッカーは、前々週のと畜頭数が62万1000頭と予想以上に多かったため、チョイス級のスポット市場価格を値下げせざる得なくなった。リブロースやサーロイン、ショルダーの価格は週の前半より下落したが、アナリストは「パッカーは次の週末には現在のスポット価格よりもっと安い価格で出荷しなければならないだろう」という。
主要な食品チェーンは積極的に牛肉の販売促進を実施し、10月は多くのチェーンで売上高が前年よりも拡大した。しかし、食鳥生産者が飼料の値下がりもあって生産量を増やし、ムネ肉はますます安値になる可能性がある。このため12月には、小売チェーンでの牛肉販促は少なくなると予想される。ただ、チョイス級の主要なアイテムについては販促が予定されており、骨付きリブアイは12月前半にはポンド当たり5.99〜6.99ドルと前年とほぼ同じ価格になりそうだ。
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