USMEF(米国食肉輸出連合会)は輸出企業関係者らとともに記者会見を開き、世界各国の市場アクセスが変動する中で、牛バラエティー・ミートのさらなる輸出拡大に取り組む方針を説明した。注目される新市場の一つはアフリカだが、市場参入の制限次第で既存市場でも拡大できる国々が多くあるとして、輸出拡大が米国の牛肉産業にもたらす価値を説明した。
USMEFのダン・ハルストロム上席副会長は、「USMEFは米国のバラエティー・ミートの可能性を増大するために、世界の100カ国以上で活発に活動し、各国のニッチ市場も研究開発している。外食産業や小売業界の食肉のバイヤーに対し、さまざまなアイテムが彼らのビジネスにどのように役立つかを提案。販促サポートだけでなく、教育プロセスの段階から取り組んでおり、各市場での需要を継続的に成長させている」という。
牛の副産物価格は7月に過去最高値を更新
米国内では価値が低い牛内臓は、世界各国の需要により輸出額が記録的に伸びている。牛の副産物の価値は、多くのパッカーで「ドロップ・クレジット」「第5四半期」と呼ばれるほど重要な要素である。今年の輸出額は、年初からの30週間で11回も記録を更新した。この背景には、牛タン・小腸など全ての内臓や原皮に対する世界的な需要増大がある。
米国農務省(USDA)は、牛の副産物で代表的な16アイテムをリスト化しているが、これらの価格は7月下旬に100ポンド当たり14.70ドルと過去最高を記録した。と畜時の生体重量を1360ポンドで換算すると、1頭あたりで200ドルの価値に相当する。多くのパッカーは内臓の商品化で更なる付加価値を加えており、これよりも最大で20ドルの価値を追加している。
2012年の輸出額55億1000万ドルで記録更新
USMEFによると、2012年の米国産牛肉輸出金額は55億1000万ドルで新記録を達成したが、このうち牛内臓は7億310万ドルで12.8%を占めている。輸出量では32万1772トンで牛肉全体の28.4%を占める。
グレーター・オマハ社の輸出担当のジェリー・ウィッグ氏によれば、牛の大腸・小腸は、国際市場が一時的に閉ざされていた時は廃棄されていたが、現在は韓国・メキシコへと輸出されている。これらの国なしでは腸関連の製品の市場価値は消滅するという。
同じことは他の製品にも当てはまる。牛タンの90%以上が北アジアとメキシコに輸出され、中東、南米、ロシアは米国産の牛の肝臓、心臓、腎蔵の90%以上を輸入する。メキシコと東南アジアの消費者は、米国産牛の胃袋の75%以上を消費している。
市場アクセスの改善がプレミアムを生み出す
USMEFは、市場参入制限が改善されることによって内臓製品のプレミアム価格が生み出されるという。例えば今年、ラクトパミン問題でロシア市場が閉ざされた時、肝臓の価格は1ポンド当たり64セントから39セントに落ち込み、牛1頭当たりの輸出金額で約3.5ドルが消失した。同じく中東の政情不安でエジプトへの出荷アクセスが脅かされたときには、肝臓の価格は7セントまで急落した。また、ロシアは牛ほほ肉の価格にも同じような影響を及ぼしている。1頭当たり約4.25ポンドのほほ肉はポンドあたり1.37ドルだか、ロシアの買いは価格を10〜20%押し上げるため、この1アイテムだけで牛1頭当たり1ドルを付加することができる。
正反対の事例は日本の月齢変更。日本からの牛タン需要が急増し、タンの価格がポンド当り2ドルから4ドルに上昇した。1頭当たりの牛タン重量を2.8ポンドとすると、このシングル・カットだけで牛1頭当りの価値をおよそ5.60ドル押し上げた。
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