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TRADER'S Be & Po

vol.204 apr.29.2013
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース BBQシーズンの先高期待、先物価格には反映されず
セレクト値下がり、チョイスとの価格差が広がる
飼料穀物の反落で、ポークの収益性改善へ
:パデュー大学・クリス氏
ポーク関連ニュース ポークの小売カットで新名称、消費者にわかりやすく
変更
需給トレンド USDAの長期需給見通し①生産量の予測
牛肉は2014年まで低下、豚肉は10年間増加
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2013年1〜2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

BBQシーズンの先高期待、先物価格には反映されず

 
 

生体牛と牛肉の卸売市況は、BBQシーズンの本格的な到来を心待ちにしている。天候にもよるが、あと2週間もすれば例年通りBBQシーズンの活況が訪れるはずだ。しかし先物市場はこの期待を無視している。現在の牛肉需要が非常に弱気で、4月第2週はほとんどの契約価格が下落した。4月の生体牛の契約価格は100ポンド当たり125.27ドル、6月の先物契約価格は同120.00ドルで引けた。

この動きは、1月3日の段階で6月の先物契約が132.12ドルという強気な価格を付けた反動である。牛肉需要は毎年4〜6月に急激に伸びる。今年も例外ではないとみられ、最終的には6月末頃の契約価格は129ドルぐらいまで戻すかも知れない。アナリストは、先物相場はいくつかの要因によって勢いを取り戻すと見ている。一つは第2四半期の生体牛の供給量が昨年より少ないこと、もう一つは、前週は全米の広範囲で気候が異常に低かったことであり、天候が回復すれば牛肉需要が急上昇し、小売チェーンも相当量の補充買いに動くと思われる。

ただ、その転機がいつ訪れ、どの程度の追加発注となるか予測は難しい。今年は小売業者の牛肉のマージンの構造が、昨年の同時期とは大きく異なっている。また、すでにBBQシーズンに向けた牛肉の販促活動を始めている小売チェーンも、天候不順で売れ行きが不振である。

 

※2013年4月15日 Cattle Buyers Weekly

 
 

セレクト値下がり、チョイスとの価格差が広がる

 
 

牛肉卸売価格は4月第2週も続落した。この2週間で、牛枝肉のカットアウト価格は100ポンド当たり6.50ドルも下落し、191.36ドルまで低下した。ただし、昨年の同週比ではまだ7.72ドルも高い。包括的な販売レポートでは、フォーミュラーベース(通常販売価格)での販売数量が51.4%、先物での販売はわずか14.2%に留まっている。このためスポット価格、特にセレクトグレードのカットアウト価格が木曜日から金曜日にかけて4.26ドルも値下がりした。チョイスの下げ幅は1.57ドルであり、チョイスとセレクトの価格格差は6.16ドルとなった。牛肉バイヤーは「パッカーサイドは先週、大量のセレクトとアングレのオファーを出した。特にセレクトのミドルミートが多かった」という。この先カットアウト価格は安定しそうだが、アナリストは、ストリップロインとショートロインは適正な価格に戻すものの、ミドルミートはわずかな回復にとどまりそうで、全体的にはまだ値下げ圧力がかかるという。

 

※2013年4月15日 Cattle Buyers Weekly

 
 

飼料穀物の反落で、ポークの収益性改善へ:パデュー大学・クリス氏

 
 

養豚産業の収益性改善については、今春の豚価の上昇することにより改善されると予想していたが、2〜3月の豚肉輸出の減少により、実現には至らなかった。しかし、収益性回復の見通しは、飼料穀物価格の低下により確かなものになりつつある。3月末のUSDAの穀物在庫報告では、コーンと大豆の在庫量が予想以上に多かった。これを受けて、コーンの価格は1ブッシェル当たり1ドル、大豆は1トン当たり3 0ドル下がった。

干ばつの影響で飼料価格が高騰した2012年第3四半期には、1頭当たり26ドルの損失を出したが、今年の第1四半期の生体豚価格は62ドルに近づいた。第2四半期と第3四半期の間には60ドル台の半ばまで上昇すると予想される。そうなれば第2四半期には全ての生産コストを賄い、第3四半期には1頭あたり8ドルの適正利益を確保できるかも知れない。飼料コストは第4四半期には下落し、引き続き2014年の先物価格も続落する。総生産コストも、今秋早々には下がり始め、2011年以来で初めて60ドル未満になることも予想され、養豚業界の収益改善は2014年の夏まで続くだろう。

ただ、豚肉輸出量の更なる減少という懸念もある。円相場の下落により、豚肉の最大輸入国である日本の購買力が低下することも考えられる。最も大きな心配は飼料原価の高止まりだ。USDAの最新報告で飼料穀物の在庫量が豊富だと判明するまで、近年にないほどに「弱気」と「強気」の間で揺れ動いた。最新の報告書が正確な在庫規模を示しているかどうか―今夏の半ばまでに飼料価格がどう動くか、これからの100日間が2013年の畜産業の収益性を左右する非常に重要な時期である。

 

※2013年4月9日Meatingplace、パデュー大学クリス・ハート氏の報告より抜粋

 
ポーク関連ニュース

ポークの小売カットで新名称、消費者にわかりやすく変更

 
 

米国の消費者は、まもなく精肉売り場で豚肉の新しいカットの名を目にすることになる。これは消費者に部位の選択や調理などをわかりやすくし、小売店にも効果的な商品提案ができるように設定されるものだ。全米豚肉委員会(NPB)のコンリー・ネルソン会長は、「新しい名称は小売店と消費者双方の手助けになる。シンプルな名前にすることで、売り場における消費者の混乱や誤解を解消し、豚肉の長期的な需要拡大に寄与することができる」という。今回の名称変更は、NPBと全米牛肉生産者協議会(NCBA)との18カ月間に及ぶ共同研究・調査を行って改正されるもの。調査では、消費者は異なる名称のために、調理方法などについてしばしば混乱していることが判明した。そのため、NPBは豚肉のカット名を簡素化し、基本的な使用法やパッケージの記載情報の整備に取り組んでいる。いくつかのカットは、消費者にわかりやすくするため、牛肉と同様の名称に変更される。主な新しい名称は次のとおり。

  • 「ポーク ポーターハウス チョップ」(従来=ロイン チョップ)、
  • 「ポーク リブアイ チョップ、ボンイン」(従来=リブ チョップ センター)
  • 「ポーク リブアイ チョップ」(従来=リブ チョップ)
  • 「ポーク ニューヨーク チョップ」(従来=トップ ロイン チョップ)

これらの新しい名称は、最終的にはフードサービス業界でも使用されることになる見込み。

 

※2013年4月5日 NPB News Releases

 
需給トレンド

USDAの長期需給見通し①生産量の予測
牛肉は2014年まで低下、豚肉は10年間増加

 
 

米国農務省(USDA)は、2022年までの長期需給見通しを公表した。それによると、飼料穀物価格の高値、景気後退、2012年の穀倉地帯での干ばつなどが重なり、家畜生産者の収入がこの数年間にわたり減少し、結果的に食肉の生産量を減らす要因となった。レッドミート(牛肉、豚肉)と家禽肉の合計生産量は、2013年も引き続き減少し、1人あたりの食肉消費量も1990年以降で初めて200ポンド以下に落ち込むと予測される。今後の長期見通しでは、より高い収益と飼料供給の改善が生産量を拡大に導く。

牛肉は、2011年と2012年に繁殖経営の収益が改善されたにもかかわらず、過去2年間にわたる干ばつの影響で、2014年まで飼養頭数は増えない。繁殖用の経産牛、未経産牛の頭数減により、牛肉の生産量は2015年まで低下する。その後、収益の向上により肉牛の飼養頭数は拡大する。繁殖雌牛の飼養頭数は2014年当初の3000万頭から増加に転じ、2022年までには3300万頭まで増頭する。肉牛の飼養頭数も2014年当初に8900万頭まで落ち込むが、見通し期間の終盤にはおよそ9400万頭まで拡大する。その前の段階として、1頭あたりのと畜重量が増加し、牛肉生産の長期的な拡大に寄与する。

豚肉の生産量は向こう10年間にわたり拡大することが予想される。飼料コストの下落により繁殖豚群が増え、分娩頭数が拡大する。肥育豚も頭数の増加とともに、と畜時の生体重量が増え、生産性が向上する。

 

 

  米国の食肉生産量の長期予測
 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ビーフ・ファクト・シート