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TRADER'S Be & Po

vol.198
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース マーケットは肥育牛の供給次第、消費に高値疲れ感
導入頭数低下で第1四半期の生体牛は記録的高値へ
ポーク関連ニュース 肉豚生産は2013年夏まで損失、早出しと淘汰で対処
業界ニュース CMEが牛挽肉の先物2品目開発、来春から上場開始
トレンドニュース サーティファイド・アンガスビーフ(CAB)、6年連続の増加
ポーク大量供給はレストランチェーンに恩恵、新メニュー続々
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2012.8〜9月)
米国の輸出、と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

マーケットは肥育牛の供給次第、消費に高値疲れ感

 
 

生体牛と牛肉の卸売マーケットは、記録的な高値の影響を受けて消費需要が停滞している。現金取引の生体牛価格はこの秋に持ち直したが、これは、東部コーンベルト地帯を除くと、出荷適齢牛が引き続きタイトであることが要因。先を見越して、昨年より多い生体牛が大量に供給されたものの、価格は下落しなかった。しかし、これも11月には変化しそうである。10月第4週の現金取引価格は127ドル(100ポンドあたり)と前々週並みにとどまったが、先行きは出荷可能な成牛の増加により、季節的な高値を考慮しても5ドル以上の下げになるだろう。

パッカーサイドは、生体牛の高いコストと相殺させようとして、ボックスビーフの価格をなるべく高値でキープするために、去勢牛と未経産雌牛のと畜頭数を引き続き減らしている。チョイス等級のカットアウトバリュの平均は前々週の193.52ドルから前週には199ドル以上となり、2003年10月以来の最高値を付けた。11月は189.19ドルからの取引開始となったが、アナリストは10月の上昇はと畜頭数の減少によるもので、全体的な牛肉需要の改善によるものではないため、今後2週間は下落に転じることが確実視されるという。

最新のキャトル・オン・フィード(COF)の報告では、肥育頭数は前年並みでフィードロットへの導入もまずまずであったが、出荷は少なかった。9月の導入頭数は、予想されたように、この調査が始まった1996年以降で最も少ない200万4000頭で、前年同月比18.8%のダウンとなった。9月の出荷頭数は159万8000頭(前年比88.1%)に留まった。10月1日現在の肥育頭数は1098万9000頭、前年同月比97.4%だが、これは10月1日現在としては、2006年以降でまだ2番目に多い水準である。

 

※CATTLE BUYERS WEEKLY 2012年10月29日

 
 

導入頭数低下で第1四半期の生体牛は記録的高値へ

 
 

過去4カ月間にわたるフィードロットへの導入頭数の大幅な前年割れ推移は、2013年の第1四半期における生体牛価格を記録的な高値にするだろう。昨年の第1四半期の平均価格(USDA基準のチョイス等級の去勢牛、主要5州の現金取引)は125.29ドル(100ポンドあたり)であった。フィードロットへの導入頭数は前年より100万頭以上少なくなる場合もあり、出荷頭数は前年を大幅に下回る可能性が大。今年の第3四半期の導入頭数は、前年に比べ91万7000頭もの減少を記録した。10月の導入頭数は前年同月比で14%、頭数では35万頭の減少が示唆されている。7月から10月にかけての導入頭数は、前年同期に比較して126万7000頭も少ない。

今現在の予報では、多くの牛肥育地帯での冬の乾燥は「比較的穏やか」とされている。しかし、気候条件が今より厳しくなれば、出荷適齢牛の供給量は導入パターンが示す予測量を下回るかもしれない。ただ、いかに生体価格が先行して高くても、最終的には牛肉の需要量と、少しでも高く売りたいパッカーの販売能力に依存することになるとアナリストはいう。

「来年第1四半期の大幅な出荷の落ち込みは、今年8〜9月の導入頭数の低迷が要因である」と北米リスクマネジメントサービス社のボブ・プライス氏は指摘する。さらに、いくつかの個人的なデータソースでは、10月の導入は頭数だけでなく体重もかなり軽かったことを示しているという。もし、そうならば、予測される頭数の減少よりも出荷重量はさらに少なくなるかも知れない。プライス氏や他のアナリストが計算したところでは、10月1日現在で120日以上肥育された牛の頭数は年初より20%多かった。この数値は、おそらくは来年の2月1日現在では前年のレベルよりも7〜8%低下するだろうが、フィードロットには1年前を上回る頭数が在庫として残ることになろう。

 
 

牛肉価格は需要によって決まる

 
 

生産者にとっての「バラ色の絵(望ましい展望)は供給サイドの方程式から浮上してくる。それは4月の生体牛先物価格への楽観的な見方に映し出されている」とプライス氏はいう。ただ、それは2013年初頭の生体牛価格が新しい価格水準に届かない要因として、需要サイドの方程式と正面から向かい合うことになるだろう。生体牛で130ドルまたはカットアウトバリュで200ドルの価格水準を上回る状態で維持するのは困難。消費者はこれ以上、牛肉に支出することを許さないだろうと、プライス氏はいう。生体牛は頭数的に豊富にみえるが、生体重重はまだ不十分である。第1四半期に牛肉価格が新しい水準に押し上げられ、高値が再形成されるまでには、今後の数カ月間でつまずくこともあるというのがプライス氏の見方である。

他のアナリストは「高値の生体牛価格の動向によって牛肉の需要が決まる」との分析を繰り返している。「今は牛肉の売り場スペースが縮小し、他の競合食肉(豚・鶏)がシェアを伸ばしている」とHedgersEdge.comのアンドリュー・ゴットシャルク氏はいう。小売業者は、消費者の購買意欲が低下している中での値上げを嫌う。牛肉の小売価格は、年初以来の全体平均で1ポンド当たり4.67ドルだが、現在の先物価格を反映すると5ドル以上になる。来年に牛肉価格がさらに上昇すると、消費者にとって牛肉は魅力的でなくなる。2013年も上昇が続けば、競合する他の食肉がシェアを伸ばすことになり、牛肉は本質的な見直しを迫られることになるかもしれないとの指摘もある。

 

※CATTLE BUYERS WEEKLY 2012年10月29日

 
ポーク関連ニュース

肉豚生産は2013年夏まで損失、早出しと淘汰で対処

 
 

シュタイナー&カンパニーの2014年までの食肉供給と価格の長期予測や、全米豚肉委員会(NPB)のエグゼクティブ・サマリによると、肉豚生産事業は少なくとも2013年の夏までは赤字になるという。一部の有能な生産者は赤字経営に耐え、場合によっては第2、第3四半期の高い先物価格によってリスクをヘッジして、ブレークイーブン(損益分岐点に近い)経営状態までになるかも知れない。ただ、とうもろこし価格が7ドル(1ブッシュルあたり)で豚価が崩壊した時のダメージは甚大である。

生産者はこれまで、飼料高騰による危機に対応して@早期出荷と固体管理でのロス削減A適度に母豚のとう汰を増やし、いち早く若い母豚に入れ替えることで繁殖豚の導入数を制御してきた。

次の2つの四半期においても、若い未経産雌豚への更新と経産母豚のとう汰の両方で、引き続き繁殖豚が減少し、2013年3月1日までには繁殖豚が2.5%減ることが予期される。こうした手法での生産縮小は、2013年の早出しと2014年までの低い分娩頭数が重要である。たとえ、飼料供給量と価格が2013年の秋までに安定するとしても、おそらくは2014年春までに豚肉生産は拡大され、価格低下への圧力がかかるだろう。

現在の予想では、2013年の成豚のと畜数は1.9%減少するが、2014年の第2四半期までには回復し、2014年の第3四半期の後半から第4四半期には微増に転じる。成豚の体重は、急激な飼料コスト高により来年の前半はやや軽め(早出し傾向)と予想される。その結果、2013年の年間の豚肉生産量は約2.3%減少すると考えられる。豚肉輸出は買い手の市場次第であるが、輸出価格の高値が輸出のペースを鈍らせるだろう。2013年の輸出量は1.2%増、2014年は3%増と予想する。

価格の見通しでは2012年の肉豚価格は 83.4ドル周辺(100ポンドあたり)と予想される。前年よりも約4.6% 低いが、2007年〜11年の5年間平均よりは21.8% 高い。来年の価格は平均で91.9ドルと2012年よりも約10%高いと予測しているが、2014年には飼料コストと供給増から3.3%下落すると予測される。

 

※NPB「pork merchandiser s Profit Maximizer」10月22日付

 
 
業界ニュース

CMEが牛挽肉の先物2品目開発、来春から上場開始

 
 

シカゴ商品取引所(CME)は、牛挽肉用原料の先物取引商品2品目を開発し、来年3〜4月から上場取引を開始する計画である。これにより、生産者とエンドユーザーは価格変動のリスクを軽減するための先物取引を利用することが可能になる。CMEは米国内及びその他の国における潜在的ユーザーとの広範囲な協議を経て、2つの取引商品を開発した。1つは90CLトリミング(機械測定で赤身率90%の挽肉原料)、もう1つは50CLトリミング(同50%)。CMEは調査研究に基づいて、この2つの取引商品には充分な需要があると判断した。

CMEが挽肉原料の商品を上場するのは今回が2回目である。最初の導入は1990年代の半ば頃であったが、それらは2年間で取引の実績がゼロになり、最終的に上場が廃止された経緯がある。前回との最大の相違点は、2つの商品についてUSDAから委任された価格報告システムがあることだ。この事は契約ユーザーに対して多大な信頼を与えるだろう。しかしながらアナリストは、「契約の成功は挽材の買い手よりも、最終的にどれだけ多くの売り手が契約するかにかかっている」という。

ファストフードレストランや大規模経営の酪農家は、この先物契約に期待している。このほど行われた米国の食肉輸入業者の年次大会におけるCME主催の説明会で、彼らはこの先物取引を支持した。出席者は、米国、豪州、NZの大手食肉会社の代表や挽肉・ビーフパティー製造工場経営者、貿易商などであった。また、カリフォルニア州の大手酪農家は搾乳牛の入れ替え時には、これまでは買い手市場(買い手の言いなりの価格)であったとして、この先物取引に非常に高い関心を寄せている。ウェンディ―ズやジャック・イン・ザ・ボックスなどの大手外食企業も注目しており、米国内のエンドユーザーがこの取引を最も多く利用するとみられる。

ただ、この契約取引はフレッシュ(冷蔵品)だけであり、米国内および海外市場に冷凍の90CLを出荷する供給者にとっては、契約売買をする必要性は小さい。なぜなら過去5年以上もの間、生の挽材と冷凍挽材との間には大きな価格差があるためだ。CMEの契約は、他の農産物の先物取引と同様の機能を持つことにな る。おそらく1つの契約量の単位は4万ポンド(約18トン/コンテナ)のサイズになるだろう。最終的な決済方法はUSDA価格の5日間の加重平均価格となり、すべての契約は引き渡しベースではなく、現金決済となる。

 
トレンドニュース

サーティファイド・アンガスビーフ(CAB)、6年連続の増加

 
 

米国の牛肉業界で最も伝統があり、かつ最大のブランド牛肉プログラムであるサーティファイド・アンガス・ビーフ(CAB)は、牛肉全体の頭数減少と記録的な高値にもかかわらず、6年連続して販売記録の更新を達成した。同プログラムを管理運営するアメリカン・アンガス協会(AAA)によると、9月30日の期末に迎えた今期の販売量は、8億1100万ポンドとなり、昨年よりも400万ポンド増加し、6年連続の伸びとなった。この6年間では49%の増加となる。

同協会はあらゆる牛肉価格の高値が続く中、世界中の1万6,000社以上のCABライセンスパートナーがブランドの一貫した味覚を消費者に味わってもらうことを続けてきたことで、この実績が達成できたとしている。この間、CABプログラムは消費経済への挑戦として取り組んできたが、連邦政府のすべての検査済み牛 肉の中で、CABのシェアは5.6%から9.6%へと躍進したという。CABブランドの世界の末端消費ベースでの年間売上額は40億ドルに達していると推定される。CAB のJohn Stika代表は、ブランドパートナーに対し可能な限りの最高品質なアンガスビーフを提供し、奉仕することを確約して、プレミアム製品として消費者需要を増加させ、継続的な成長を図りたいとしている。

 

※2012年10月1日CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ポーク大量供給はレストランチェーンに恩恵、新メニュー続々

 
 

最近の豚肉の大規模な供給は、チェーン・レストランに新しい豚肉メニューの導入を促進させている。商品取引のエキスパート、Market Vision社のジョン・バローネ社長は、コーン価格の高騰は豚肉生産をとう汰・縮小させる結果となったという。それに伴う供給増加により、価格は前年比でモモ肉が11%、バラ肉が12%、ひき肉原料のトリミングは24%も下落した。多くのチェーン・レストランは、価格の安いポークのメニューを次々と追加している。

ノースカロライナ州を拠点とする「食べ放題ビュッフェ」チェーンのGolden Corralではパラペーニョ・BBQソース味の「Hot Island Pork Ribs」を始め、482種類のトロピカル・フレーバーによる刺激的な販促を展開。コロラド州が拠点のNoodles社では、ポーク・ショルダーの表面を油で軽く炒め、じっくり煮込んだメニューを追加。限定メニューだがほぼ300のチェーン店舗に導入された。フロリダ州タンパに本社をもち775店舗を展開するOutback Steakhouseでは、ニンニク・マッシュドポテトの上に、甘くてつやのあるポーク・テンダロインをのせたメニューを発売した。フロリダ州がベースのRed Lobsterでは、15ドル未満の新しいメニューとして「Wood-Grilled Pork Chop」などで15メニューを用意した。ステーキハウス9店舗を展開するSmith & Wollenskyではポークチョップメニューを追加。 「double-cut Berkshire」(2倍の厚みの黒豚)は38ドルでチョリソー、ベークトビーンズなどと一緒に供される。調査会社のTechnomic社によると、2009〜2011年の動物性たんぱく質の消費は、外食業界の重量ベースで20%ダウンしたが、豚肉の消費はわずか0.8%の落ち込みに留まっている。

 

※nrn.com 2012年10月30日

 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ビーフ・ファクト・シート