今後45日間、生体牛価格の動向は先物相場で決まるだろう。8月5週には、肥育牛10月物現金取引価格のプレミアムでパッカーの買い付け価格が上昇し、翌週も同じパターンが繰り返されたようだ。
9月の生体牛・牛肉市場の動きが不確かなため、9月2週の先物相場は実質的に横ばいだった。今後9月中は出荷可能牛が増えるため、10月物は弱含みになると予想される。加えて過去2年の実績では、現金価格のプレミアムが大きい状態で9月に入ると、先物は弱含みになっている。10月1日時点でフィードロット飼養頭数は過去最多に達し、過年度のように牛の入れ替えが進んだ状態で第4四半期をスタートするのは難しいとアナリストは見ている。10月1日の飼養頭数は、前年比15%増の46万3,000頭という予測もある。
現在、かなりの肉牛が厳しい干ばつ状態で飼育されている。肉用牛頭数上位5州のうち、最大の被害を受けている頭数3位のミズーリでは、牧草地・放牧地の99%が「不良」か「極めて不良」とランク付けされている。以下、ネブラスカ(頭数2位)は96%、カンザス(同3位)89%、オクラホマ (同2位)80%と続く。しかし、最多の肉用牛を抱えるテキサスは50%にとどまっている。
干ばつ被害は、今年これまでの肉用牛と畜数が前年比で11%減少している一因になっている。加えて、テキサスとオクラホマでは昨年、同州史上最悪の干ばつに見舞われ、大量の母牛が淘汰されたことも影響している。そのため、2州合計の今年1月1日現在の肉用牛頭数は、前年より96万6,700頭減少した。これは米国全体の肉用牛減少の98%に当たる。素牛農家は干ばつ対応と牛群確保をよくやっているとアナリストは評しているが、農家側は、まぐさ・干し草の不足と飼料の高値で、冬に向かってさらに母牛の淘汰を余儀なくされるのではないかと危惧している。
8月3週から5週にかけて、成豚のと畜頭数は前年比6%増のペースで推移した。8月5週に豚重量は減少したが、夏の酷暑が誘因ではない(シカゴ・マーカンタイル取引所畜産日報)。
豚出荷頭数の増加と体重減少は、コスト削減と今後に向けて飼料確保に努める生産者の台所事情を反映している。
今のところデータでは示されていないが、雌豚のと畜頭数が著しく増加して、昨年と同じかそれに近いレベルに達している。生産者に事業規模の縮小や廃業をする動きがないかどうか、アナリストはと畜頭数の動きを注視している。業界は成豚価格は比較的高値を期待しているが、豚の主要な飼料であるトウモロコシ・大豆の収穫が枯渇し、大半の生産者は来年、利益確保に苦戦すると見ている。
デンマークの豚肉加工会社の最大手、Danish Crown社のCEOヨハンセン氏は、中国を訪問するヘレ・トーニング・シュミット首相に同行する代表団に加わっている。
同社はデンマークの中国向け豚肉輸出の10%を占め、首相の中国訪問は新たな輸出先開発の機会となる。「中国向け輸出は過去5年間で倍増し、中国は弊社にとって最も急成長している市場。かなりのビジネスチャンスがある」とヨハンセン氏は述べている。
中国では特に豚足、頭、テールが人気で、同社の子会社が3都市の事業所を拠点に販売を担当し、別の子会社が2ヵ所のケーシング工場(従業員総数2,000名)を操業している。
The Food Institute(食品業界情報を提供する非営利団体)が行った試算によると、今年の干ばつの影響で、来年度の米国世帯(4人家族)の食費は、年間351.12ドル、週当たり約6.75ドル(家庭内食費約4ドル、外食費約2.5ドル)増加する。
内訳を見ると増加の大半は「肉類」で、4人世帯で年間44ドル、2人世帯で30ドル増加し、うち牛肉が増加分の3分の1以上を占める。「生鮮食品」は23.44ドル増えるが、「果物・野菜加工食品」の増加はわずか11ドルだ。
ただし食品の場合、消費者が缶詰や冷凍食品を選び、チキンの代用や割引クーポン利用などでやりくりする可能性もあるので、予測値は変動する。
試算にあたり、The Food Instituteは米国農務省(USDA)発表の最新の2013年予想食品価格を使っている。今回の2013年食費予測値は、USDAが推定した2012年通年ベースの食費を2.5%〜3.5%上回っているにすぎない。
9月7日9日までの3日間、プレーンズ諸州と中西部州の気温は平年を下回り、本土南東部一帯まで同様の気温になる可能性がある。大平洋岸北西部及びグレート・ベースンまでの地域では、3〜6度(華氏)平年を上回る。かなり活発な気象パターンが、セントラル・プレーンズから中西部、さらにニューイングランドに至る広範囲の地域に雨をもたらすだろう。カンザス、オクラホマからケンタッキー西部では、最も多い1.5インチの雨量が予想されている。
気象予報センター(CPC)発表の9月10日から14日までの予報によると、南東部と西海岸の気温は平年より低くなるが、セントラル・プレーンズとノーザン・プレーンズの大半と、グレート・ベースン、ロッキー山脈では平年より高くなる。雨量は国内の大半の地域で平年を下回るが、フロリダ南西部の砂漠地帯と一部地域だけは、平年を上回る可能性がある。
牛肉市況(9月3日〜7日)
豚肉市況(9月3日〜7日)