テキサスとオクラホマは過去最悪の干ばつ被害から徐々に回復しているが、夏になり、南東部やノーザン・プレーンズ、西部の一部地域で新たな干ばつが起きている。そのため、前倒しでフィードロットに導入される肥育牛・子牛の頭数が更に増加する恐れがある。さらに懸念されるのは、コーンベルト東部の大半で続く高温で乾燥した天気だ。この先、降雨の予報も出ているが、早めに植え付けたトウモロコシにはすでに被害が出ており、アナリストは収穫量に影響がでる可能性を指摘している。
こうした状況を受けて、肥育牛とトウモロコシの先物相場は、それぞれ安値と高値に動いている。過去最高の肥育牛価格が値下がりすることも予想されるが、肉牛のと畜頭数が増加し、未経産牛の保留による牛頭数の回復が制約される恐れもある。
トウモロコシ耕作地の多くが高温で乾燥した状態にあり、今年の収穫量が懸念されている。大半が受粉期にあるため、今後2〜3週間が正念場だ。米国農務省(USDA)は単収(1エーカー当たりの収穫量)は166ブッシェル、総収穫量は過去最多の147億9,000万ブッシェルと予測しているが、アナリストの多くが実際はいずれも予想値を下回ると見ている。
市場の予想は現在160ブッシェル以下で、乾燥状態が続けば昨年の147ブッシェル並だというアナリストもいる。また新トウモロコシ価格は、USDA予測の平均4.60ドル(1ブッシェル当たり)より高くなるだろう。単収155ブッシェルの場合は、6ドルを超える可能性もある。6月28日のトウモロコシ先物相場終値はばらつきがあったが、いずれの契約も6.26ドルかそれ以上をつけた。
ウォルマートが昨年10月に始めたチョイスビーフ・キャンペーンの影響もあって、牛枝肉のチョイス対セレクト価格差の拡大が続いている。6月21日には昨年12月21日以来、価格差は最大の17.25ドルを記録し、5月下旬のほぼ2倍になった。それでも2006年6月9日に記録した最大価格差の23.52ドルには及ばない。この年はその後、9月22日は7.51ドル、12月14日は18.82ドルと変動している。季節的に、価格差は2〜3月が最小、5〜6月に拡大、8月は狭まり、11〜12月に最大幅になる傾向がある。
ウォルマートは5月から「レストラン級の良質ステーキ」をキャッチコピーに、チョイスビーフの新しいテレビ広告を放映している。チョイス在庫の補充が続いているので、売り上げは好調のようだ。
韓国政府は6月23日の週末より、米国産牛肉の検疫検査の抽出率を50%から3%に引き下げ、輸入検疫の強化を終了すると発表した。4月25日に米国で月齢の高い酪農牛のBSE感染が確認されたことを受けて、韓国は米国産牛肉の輸入検疫を強化していた。関係者は、今回の強化の終了で、発生後一部滞っていた輸入手続きが今後はスムーズに進むと期待している。
USDAが6月29日に発表した「Quarterly Hogs and Pigs」の数字は、2012年後半と、特に2013年の豚価格上昇を示唆している。
6月1日現在の豚総飼養頭数は、推定で前年比0.8%増の6,582万9,000頭となった。レポート発表前の前年比予想値1.3%増と差はあったものの、増加を見越して先物相場は発表前にすでに回復していた。
繁殖豚総頭数は推定で前年比1.0%増の586万2,000頭、3〜5月の母豚分娩頭数は前年比0.1%増の291万9,000頭だった。6〜8月は0.9%減、9〜11月は、1.3%減少すると生産者は見ている。生産者は少なめに予測する傾向があるので、実際は予想値を上回る可能性はあるが、1分娩当たりの子豚頭数も減少すると、今年の冬と来年の春は豚頭数の減少で豚価格は上昇する見通しだ。
USDAの「コールド・ストレージレポート」発表前から、各方面で食肉供給量の前年比大幅増加が期待されていた。5月31日現在の牛肉・豚肉・鶏肉総供給量は、前年比3.6%増、5年平均比7.8%だった。
そのうち豚肉の市中在庫量は、前年比16%増になった。5月は豚肉の大幅な増産で、レポート発表前から市中在庫の増加が予想されていた。牛肉の期末在庫は前年比11%増になった。
6月28日から7月2日にかけて、米本土の中央部と東部は高気圧に覆われる。この高気圧の尾根の北側及び西側周辺では、にわか雨や激しい雷雨が発生して、ニューメキシコから南北ダコタ、オハイオに至る一帯に雨をもたらす。中でもネブラスカ東部からイリノイ北部にかけては、降雨量が0.5インチ以上になる可能性が最も高い。大平洋岸北西部、本土北東部、テキサス南部、フロリダ南部では雨が降る可能性もあるが、そうでなければ非常に乾燥した天気になる。インターマウンテン・ベイスン(東はロッキー山脈、西はカスケード山脈・シエラネバダ山脈に囲まれた盆地)から東海岸に至る地域は気温が非常に高くなる。この高い気温は7月3日から11日まで続き、インターマウンテン・べイスンからサザン・プレーンズにかけて、及び中西部全域から北東部内陸にかけた地域の降雨量は平年より少ない。一方、ニューメキシコ各地、フロリダ沿岸地域からサウスカロライナにかけて、及びミシシッピ渓谷北部ではこの期間前半に、雨量が平年を上回る。
牛肉市況(6月26日〜29日)
豚肉市況(6月26日〜29日)