米国農務省(USDA)は最新の世界農産物需給推計(WASDE)で、今年の牛肉生産量を前月の予想値114億4,000万キロから113億9,000万キロに下方修正した。枝肉重量と母牛と畜数の増加が、去勢雄牛と未経産牛のと畜頭数減少で相殺されるためだ。生体牛価格は前月予測値(123〜128ドル)と変わらない。
豚肉は、枝肉重量の増加を見込んで、前月予想値の104億8,000万キロから105億2,000万キロに上方修正された。成豚価格は、前月の61〜63ドルから59〜61ドルに下方修正された。
予想トウモロコシ価格は、8月に終了する2012年度(穀物年度)は1ブッシェル5.95〜6.25ドル、9月に始まる2013年度は4.20〜5.00ドルと、前月と変わらない。
6月13日、生体牛先物相場は終値で117.10ドルをつけて急落し、パッカーは前週(6月2週)より安値で生体牛の買い付けを始めた。カンザスではヘッジされた肥育牛1万2,475頭が前週より3ドル安の119ドルで売られ、ネブラスカ、テキサスでも同様の価格で売買が続いた。予想される6月4週のフィードロット飼養頭数の増加で、生体牛価格へのプレッシャーは7月中旬まで続き、サザン・プレーンズの目標価格は117ドルになる。牛肉製品の価格は頭打ちになり、7月3週まで安値で推移するとアナリストは述べている。
ロイン価格が好調で、特にチョイス級ロイン・プライマルとチョイス全体の価格比率でそれが明らかだ。昨年のロイン価格は年頭でカットアウト価格の121%だったが、今年の1月1週は126%に上昇した。その後、6月2週は151%(前年135%)に達した。3週には1日で1ポンド当たり1.67ドル値上がりしたが、セレクト級ロインは3.63ドル値下がりして、価格差は5.30ドルになった。そのため、チョイスーセレクト全体の価格差は、5月15日の4.53ドルから15.26ドルに広がった。2006年の同時期に20ドル以上を記録しているが、その後はわずか4〜7ドルで推移していた。
今年の牛肉総生産量はこれまで2.8%減少しているため、安定した牛肉需要を考えると値上がりしても不思議ではない。しかし、セレクトと比較したチョイスの値上がりは、良質なビーフの需要が高いことを示唆しているとアナリストは述べている。卸売りカット価格の動きがそれを裏付けている。現在の卸売価格を前年対比でみると、リブアイとテンダーロインは各々27%、24%値上がりしているが、チャックとラウンドは各々13%、6%のアップだ。
卸売牛肉が前年対比で値上がりしているが、今年の減産が主な要因だとオクラホマ大学ピール教授は述べている。しかし、エンドミートに比べてより大幅なミドルミートの値上りとチョイス-セレクトの価格差拡大は、牛肉需要の改善を示唆している。第3四半期は生産量が前年比でさらに大きく減少するため、卸売価格は更に上昇する見通しだ。
「牛肉需要の継続的な改善は、卸売価格が今後どの程度値上がりするかを決定づける」とピール教授は述べている。
エンドミートとチョイス製品の好調さから、牛肉需要は特に高品質の製品で続くと思われる。牛肉の供給不足は夏の間も続きそうだ。USDAの予測は、第3四半期に入って更に減産が進むことを示している。供給不足のため、たとえ需要が足踏みしても価格は十分支えられるだろうとピール教授は述べている。
ブラジルの豚肉輸出は4月に低迷したが、5月はレアルの切り上げでロシアとアルゼンチン向け輸出の損失が相殺され、輸出量、輸出額ともに前年同月を上回った。5月の輸出量は前年比18.7%増の5万3,404トン、輸出額は9.3%増の1億3,840万ドルだった(Abipecs社-ポーク加工・輸出業)。
年初来の実績では、輸出量は5%増の22万4,870トン、輸出額は0.7%減少して5億7,900万ドルだった。5月の1トン当たりの平均輸出額は8%近く下がったが、レアル安で相殺されている。
USDAまたは牛肉処理工場の検査で、出血性大腸菌(O-157:7)以外の6種類の血清型大腸菌の陽性が検出された場合、その工場は自社のHACCP(危害分析・重要管理点システム)を見直すことが義務づけられる。義務化は、食品安全検査局(FSIS)がSTECs検査を開始する6月4日から90日後にスタートする。FSISは6月4日付の公示で、「義務化は工場が自社のHACCPでその対策をまだとっていない場合」と述べている。FSISの検査は、その工場でと畜した肉牛由来の加工用トリミングの標本のみが対象となる。
6月14日から18日にかけて、全米48州の緯度が低い地域では、概ね穏やかな天気が広がり、カナダ国境沿いとカナダ全域を暴風圏が通過する。しかし中西部の北方、コーンベルト西部、ノーザン・プレーンズでは、停滞する前線の影響でネブラスカのほぼ全域、アイオワ、ミネソタ東部、ウィスコンシン西部で、1〜3インチの適度の降雨から大雨が予想される。メキシコ湾沿岸、フロリダ半島を含む大西洋沿岸沿い、ニューイングランドでは通り雨が降るかもしれない。西部の大半の地域、南西部、南東部、東部は乾燥した天気になる。北カリフォルニアからロッキー山脈中部、プレーンズ諸州、北東方向に向かって五大湖地域の気温は、平均で例年を上回るだろう。一方、北西部、南カリフォルニア、東海岸沿いの気温は平年を下回る。
国立測候所(NWS)発表の6月19日から23日までの予報によると、五大湖地域とフロリダの雨量は平年を上回る確率が高まり、サザン・プレーンズでは平年より少なくなる可能性が高い。それ以外の州では降雨の予報はない。本土の北東部の気温は平年を上回る。西海岸、ワシントンからノースダコタに至る北方の州の気温は例年を下回るだろう。
牛肉市況(6月10日〜15日)
豚肉市況(6月10日〜15日)