4月は不振に終わった牛肉市場だが、5月に入り、13日の母の日、月末のメモリアル・デー連休による売り上げ上昇が期待されている。季節的に増加が予想される出荷できる牛のと畜を開始するためには、売り上げを伸ばすことが極めて重要だ。しかし5月1週目の処理頭数は、前年の65万8,679頭を大幅に下回る62万3,000頭の見込みだ。パッカーは営業マージンの黒字を維持するため、また肥育業者は生体牛価格アップのために、売り上げ増を期待している。しかし肥育業者のマージンは、現金取引ベースで大幅なマイナスになっており、この状態はしばらく続きそうだ。
米国農務省(USDA)は4月25日、昨年高騰した牛肉・豚肉価格は今年は和らぐが、依然として内食費の指標を押し上げる要因になるだろうと発表した。昨年の食肉価格は前年比で8.8%(牛肉・子牛肉は10.2%、豚肉は8.5%)上昇したが、今年は3.5%〜4.5%(牛肉・子牛肉は4.0%〜5.0%、豚肉は3.0%〜4.0%)増が予想される。
直近の3月実績を見ると、牛肉は前月比で0.8%、前年比で6.8%値上がりした。豚肉は前月比で0.7%、前年比で3.4%値上がりした。
肥育事業のマージンを左右する要因の一つであるトウモロコシ価格は、当期(2011〜2012穀物年度)に最高値を記録するが、来期には値下がりするだろう。しかし畜産マーケティング情報センター(LMIC)は、過去の水準から見ると依然として高値であり、2013〜2014年度には再びはね上がる可能性もあると述べている。
当期のトウモロコシの農場渡し価格は、全国平均で6ドル(1ブッシェル当たり)を超える過去最高値が見込まれる。一部生産地の作付面積拡大もあり、2012年度の収穫量は過去最多の140億ブッシェルを超える見込みだ。また天候、イールド、需要の動向から、トウモロコシ価格は3年ぶりに5ドルを下回る大幅な安値が見込まれるが、2013〜2014年にはリバウンドが予想される。
USDAが国内4例目のBSE感染の病理学的検証を続ける中、韓国と台湾は5月1週、米国に視察チームを派遣した。台湾は、例年実施している視察を前倒して、農務・厚生省担当者が処理工場9ヵ所と複数の飼料業者とラボを訪問。韓国は、政府、有識者、消費者団体関係者がUSDAからBSE予防・検知対策のレクチャーを受けた後、牛肉処理工場を視察した。
一方、動植物検疫局(APHIS)はカリフォルニア州食品農業部(CDFA)と共同で、現在検疫中のBSE牛が発見された酪農場と、関連あるもう1ヵ所の全ての牛の出荷停止を指示した。いずれの酪農場も通常の手続きの一環として現在検疫中。またBSE牛が10年前に肥育されていた牧場も調べている。
5月1週目の豚赤身肉先物相場は安値傾向が続き、5月分契約は、2月中旬より20%安値の79.8ドルの終値で取引された。成豚先物は、小売りとフードサービスの需要薄、輸出の減少、豚肉供給量の増加の影響が続いている。需要面では、豚肉市場の鍵となる輸出が昨年第4四半期から今年2月まで続いたハイペースから減速した。
豚肉総生産量に占める輸出比率の推移を見ると、2000年は6%だったが、2011年第4四半期には25%に増加した。とりわけ中国、日本、韓国向け輸出が豚肉総生産量に占める割合は、2010年は8.3%、昨年は12.4%と輸出を勢いづけていた。今年は第2四半期9.7%、第3四半期9.6%、第4四半期8.3%になる見込みだ。それ以外の生産分は国内市場か他の海外市場で吸収される必要がある。これまで大口輸入の実績があるメキシコが輸入量を増やすと思われるが、それには安値が求められる。同様に、供給量をさばく上で、上記3ヵ国の需要減が価格にしわ寄せする傾向がある。
アースポリシー研究所が分析したUSDAのデータによると、中国の食肉消費量は全世界食肉生産量の4分の1を超え、米国の2倍に達している。しかし、一人当たりの食肉消費量は米国の半分だ。
中国で消費される食肉のほぼ4分の3は豚肉で、今年の予想消費量は5,200万トン。世界中の成豚の約半分が中国にいることになる。
牛肉は依然として米国人の好物で、一人当たりの牛肉消費量は中国人平均の9倍だ。
The NDP Groupが実施した調査によると、プライベート・ブランド(PB)利用者数は増加しているが、バリュー志向の高いPB製品への関心は弱まっている。
家庭で消費される食品に占めるPB製品の割合は、2000年が18%、2011年は27%と増加しているが、消費者ニーズを満たす食品としての満足度は、2009年の32%から、2011年は24%に落ちている。近年のPB製品消費量の増加は、意志的な購入というより、不況や食品価格の高騰で必要に迫られての選択を反映している。「前年より購入量を増やす」は2009年は34%だったが、 2012年は25%を下回った。しかし最近10年間でPB製品に進歩がなかったわけではなく、成人回答者の3分の2は「5年前より品質が大幅に改善している」と答えている。
PB製品の知名度と認知度は低く、回答者の25%が売れ筋No.1のPB製品をPB製品と認識していない。
ブランド・ロイヤルティーに関しては、PB製品では小麦粉、バターといった食材で強く、有名ブランドでは冷凍ディナー、ヨーグルト、炭酸飲料で高かった。「小売業がPB製品の満足度低下に対策を講じなければ、食品のインフレ緩和と景気が回復した場合、あるいは有名ブランドメーカーの積極的なブランド・ロイヤルティー強化が続いた場合には、消費者は有名ブランドへ回帰するかもしれない。一方で有名ブランドも、PB製品の利用増加と品質イメージ改善が進んでいることを意識する必要がある」と調査担当者は述べている。
The International Dairy-Deli-Bakery Associationは、産業界で発表された約150の調査をまとめた二次的レポート「What's In Store」2012年版で、最新の消費者像、業界動向を報告している。
国立測候所の予報によると、今後5日間は、北方にある激しい暴風が大気中の湿った空気を伴い、メキシコ湾沿岸西部を北方に移動する。ミシシッピ川渓谷上流の一部地域では3インチ以上、ノースダコタ、ニューハンプシャーにかけては1インチを超える雨量が予想される。南西部、ロッキー山脈中部、グレートプレーンズ南部の大部分の地域では乾燥した天気になるだろう。5月8日から12日までの気温は、ネバダから太平洋北西部にかけて、及び南東部は平年を上回り、グレートプレーンズ南部から北東部にかけては平年を下回る。暴風は南に方向を変え、テキサスからネブラスカにかけて、及び南東部全域で雨が多くなる。
牛肉市況(4月30日〜5月4日)
豚肉市況(4月30日〜5月4日)