バーベキューシーズンの需要に備えてパッカーが処理頭数を増加すると、生体牛価格は再び上昇する可能性もあるが、3月中はもう少し下落し、4月最初の2週間に多少回復するというのが、アナリストの大方の予想だ。
価格動向の大きな要因は、先物市場の商品ファンドの動きだ。大量の売りで生じた大幅な急落で、4月契約分は3回の立ち会いで520ポイント下がり、3月6日の生体牛価格は前週より3ドル安、枝肉は同4〜5ドル安で取引された。市場専門家は、市場原理からかけ離れた生体牛の過剰な購入の後、先物相場がいつ大幅に修正されるのかを見守っているが、現金取引価格と同様に、先物価格は4月契約分終値が130.95ドルをつけた3月1日の高値に戻ることはなさそうだ。
米国の農業エコノミスト3名が、業界の現状分析に基づく研究をまとめた。肉牛業界の構造変化を引き起こす要因はいくつかあるが、頭数減少による影響が一番大きいと見られている。
長年の肉牛頭数の推移を見ると、最近は頭数が増加する期間が短い。2011年は検査官専従処理施設の総と畜数のうち20%が雌牛で、未経産牛のと畜は2011年まで減少していない。子牛育成事業は2012年に過去最高の利益が見込まれ、今後も利益が予想されるが、全国の肉牛頭数は少なくとも向こう2年間は増加しないだろう。
過去25年間で、経産牛を抱えた牧場は27万ヵ所(27%)減っている。他の農産業と同様に、子牛育成事業も小規模牧場の統合を行っている。過去10年間で飼育50頭以下の牧場は10%、50〜99頭規模は18%、100〜499頭規模は6%減少し、500頭以上は1.5%増加した。減少の要因は複数あるが、多額の資本投資を要する事業でマージンが厳しいと、財務面のストレスになる場合が多い。牧場経営者の平均年齢は2007年で58才で、45%以上の牧場は所有者が60才以上だった。一世代のみで運営する牧場では、年齢が廃業を決める要因になっている。
1996年以来、フィードロット数は減少が続き、現在は当時よりほぼ3万5,000ヵ所少ない。減少は、ほぼ全て収容頭数1〜999頭の最小規模のフィードロットで、反対に1,000頭以上の所は同期間に11ヵ所増えている。肉牛飼育におけるスケールメリットとテクノロジー採用の重要性は、益々高まっている。フィードロットの少数化と大型化の傾向には、肉牛の供給不足の影響もある。大規模フィードロットは購入量が多いため、肥育牛の調達や飼料費の割引で有利で、パッカーにとっても同種の肉牛が大量確保でき、提携先として魅力がある。また近年、牛肉のブランド化や加工プロセス検証などが進み、こうしたサービスが提供できる大規模フィードロットは優位にある。
欧州議会は3月14日、米国・カナダとの間で、成長ホルモン剤不使用の牛肉輸入非関税枠を拡大するための協定を承認した。これによりEUの牛肉輸入割当は、従来の2万トンから4万8,200トンに引き上げられる。EUは1990年台後半、成長ホルモン処理された牛肉に禁輸を課したが、それに対する制裁措置を米国とカナダは既に停止している。拡大枠は今年8月に発効する。
夏渡しの豚肉先物相場は、不振が続く豚肉卸売価格の影響を受けて現在100ポンド当たり95ドル前後で、2週前に比べて約5ドル安になっている。3月9日のカットアウト価格は前年比7.66ドル(8%)安の83.53ドル、豚赤身肉の終値は前年比5.60ドル(7%)高の85.59ドルだった。
年初の数週間、豚肉マージンはマイナスだったが、パッカーは積極的に成豚を買い付けていた。豚肉卸売価格が成豚価格と同じペースを保つことは難しいが、そのうち成豚価格の上昇傾向に歯止めがかかると見られる。
米国牛肉業界が実施した最新調査によると、牛肉の安全性に対する消費者の信頼度は10年前と比較して、ステーキ肉とロースト肉は14ポイント、挽肉では20ポイント上昇した。
回答者の88%がステーキ用とロースト用の生の肉をAもしくはBランクとし、生の挽肉についても80%が同等の評価をした。一方で、消費者と専門家では認識の違いが見られた。例えば大半の消費者は外食で悪い食べ物にあたることが多いと考えるが、牛肉安全性の専門家は家庭での食事が原因と指摘している。また消費者は、牛肉調理の適切な温度に対する関心が低く、70%が挽肉調理の適温を知らなかった。調査結果は最近開催された牛肉業界安全サミットで発表された。
市場調査会社テクノミックのデータによると、米国レストランチェーン上位500社の2011年度売上高は3.4%増加して推定2,420億ドルに達し、前年の1.8%増を大きく上回った。しかし売上実績はチェーン間で大きく異なり、また、ファストフード系レストランがフルサービスレストランを引き続き上回った。
500社のうち、わずかでも売上増を記録したチェーンは60%を超え、減少したのは193社だった(2010年は231社)。 どのレストラン形態、メニュー分類でも好成績、不振の両局面がみられた。
ファストフード系レストランは全体で3.7%伸びた。ベーカリーカフェチェーンは7.1%の伸びで、中でもパネラブレッドは10.1%増の33億ドルを売り上げた。ファイブガイズ・バーガー&フライは売上高が32.8%増加し、最も急成長を見せた。コーヒー、紅茶、サンドイッチ、メキシコ料理チェーンも好調で、チポーレ・メキシカン・グリルは23.4%、スターバックスとサブウェイはともに7.5%の伸びを記録した。マクドナルドは5.5%増で、総売上高は342億ドルとなった。
一昨年は横ばいだったが、昨年は前年比で2.8%増加した。シーフードとステーキが堅調で、各々5.2%と5.1%増加した。
3月16日から19日まで、太平洋沿岸北西部ではこの期間中、また本土中心部では後半に雨になる可能性が高い。ロッキー山脈東側の気温は平年を上回るだろう。その後3月20日から24日まで、ロッキー山脈東側の全域で平年並みか平年より暖かい天気になる見込みだ。東海岸沿いと南西部の雨量は平年を下回る。北西部、サザン・プレーンズから中西部にかけた地域の雨量は平年を下回る。
牛肉市況(3月12日〜16日)
豚肉市況(3月12日〜16日)