米国農務省(USDA)発行のCattle Inventory Reportによると、今年1月1日現在の牛・子牛総頭数は、前年比2.1%減の9,080万頭で1952年以来最少となり、2011年の子牛生産量は前年比1%減の3,530万頭で、1950年以来最少を記録した。また、肉牛頭数は3.1%減少した。いずれもアナリストの予想より厳しい牛の供給不足を裏付ける数字だ。
当面のと畜牛頭数は増えているが、パッカーマージンは悪化している。そのため、この先肉牛の供給不足がさらに進むなかで生産量削減を行わない限り、パッカーマージンの厳しい状況は今後も続くだろう。とりわけ導入頭数の前年割れが続くにつれて、飼養頭数の増加が重なり、肉牛の供給不足は進むだろう。
素牛頭数の不足で、子牛・若齢牛価格はすでに過去最高に達しているが、今後2年で供給不足はさらに進むだろう。そのため、生体牛価格が予想を上回り飼育費が下がらない限り、肉牛肥育事業のマージンはさらに圧迫される。一方、仮に生体牛が値上がりし、追随してボックスビーフ価格も上昇すると、小売価格は消費者には手の届かない値段になってしまうだろう。
また未経産牛の保留の問題もある。頭数の減少に歯止めをかけ、その後増やすためには未経産牛の保留が必要だが、そうするとこの先2年間は未経産牛の供給頭数が減少する。頭数増加に努めても、その成果が表れるのは2015年だ。フィードロット経営者とパッカーは、操業体制を調整して頭数不足の3年間を乗り切らなくてはならないだろう。
頭数減少のほとんどは、干ばつ被害を受けた肉牛の2大産地であるテキサスとオクラホマで起きている。テキサスは13.1%、オクラホマでは14.3%の減少で、これは減少全体の98%を占めている。一部の肉牛は牧草の状態が良好な別の州に移され、ネブラスカ、コロラド、ワイオミングでは頭数が増加した。
牛肉の大幅な減産や小売業の積極的な販促活動にも関わらず、年間で最も需要薄となる2月に入っても、卸売市場は低迷が続きそうだ。この不振は、春のバーベキューシーズンの仕入れが始まる4月中旬まで続くのではないかと懸念する声も多い。そうなると、ボックスビーフ価格はあと9〜10週間は苦戦が続く可能性もある。こうした状況を打開するには、1月4週から2月1週までと同レベルの生産量になるよう減産を継続するか、あるいはもし牛肉売上高が予想以上になれば、引け値で買ったバイヤーが急遽追加注文する以外の方法はない。しかし2月、3月にそのような状況は起こりそうもない。
欧州議会の国際貿易委員会は先頃、成長ホルモン非投与の牛由来の牛肉を米国やカナダなどから輸入することを認める譲歩案を承認した。これを受けて3月13日には、現在の2万トンから4万8,200トンへの輸入枠引き上げの可否を票決する。
輸入枠引き上げについては、既に2009年、米国・カナダと合意し、両国もEU農産物に対する輸入関税停止の措置をとっていた。
EUは1989年、成長ホルモン投与の肉牛由来の牛肉の輸入を禁止し、それに対して1996年には米国とカナダがWTOに提訴し、EU農産物に対する制裁措置を許可されていた。
輸入枠拡大で、EU向け牛肉輸出額は最終的に、牛肉輸出国合計で4億から5億ドルになると推定される。しかし、ヨーロッパの不況が値段の高い輸入牛の需要を妨げ、今年は現行の2万トン枠にも満たないかもしれない。
不況で低迷する米国飲食業界の中で、唯一「ファースト・カジュアル」と呼ばれる業態が快調だ。市場調査会社「テクノミック」によると、ファースト・カジュアルがファーストフード市場に占める割合は10年前の5%から現在は14%(270億ドル)に達し、今後5年間は年率8%の伸びを予測している。
ファースト・カジュアルはファーストフードと同様の限定サービスで、平均客単価は9ドル未満、テイクアウトが多い店舗システムだが、まだ進化を続けており、全タイプの飲食店に大きな影響を与えている。業態としてはファーストフード(限定サービス)に分類されるが、いくつかの側面でフルサービス・レストランと激しく競合する。
フルサービスもファーストフードも、顧客ニーズ対応に成功したファースト・カジュアルに習ってコンセプトの見直しをしている。消費者からすればレストラン分類が不明瞭になるため、業界内では競争が激化するだろう。
小規模な大気の乱れ(擾乱)が本土の南東方面を急速に進み、大西洋沿岸中部と南部では小雨か適量の雨が降る。しかし、ジョージア南部とフロリダの干ばつ地帯に近づくにつれて、雨量は急激に減少する。一方、大気上層部の乱れは、ロッキー山脈中部と北部に少量か中程度の積雪をもたらす。こうした気象はプレーンズ諸州に達すると急速に激しい嵐となって、プレーンズ諸州中部からコーンベルトでは雨や雪が激しくなる。後続の寒冷前線はテキサス中部、デルタ、本土南東部の中央ににわか雨や激しい雷雨をもたらす。フロリダおよびカリフォルニアからロッキー山脈南部に至る地域では、雨が降る可能性はほとんどない。同じく中西部北方の干ばつ地帯も乾燥した天気が続く。
気象予報センター(CPC)発表の向こう2月7日から11日にかけての予報によると、太平洋沿岸州から東方に向かってミシシッピ川渓谷中部、本土南東部に至る地域は、例年より雨が多いテキサス南部と五大湖東部を除き雨は平年より少ない。プレーンズ諸州中部・北部から太平洋沿岸の気温は例年を上回るが、対照的にメキシコ湾沿岸及び大西洋沿岸州南部の気温は平年を下回る。
牛肉市況(1月30日〜2月3日)
豚肉市況(1月30日〜2月3日)