米国北部州では上位等級の牛が不足して、11月1週の取引でサザン・プレーンズ(オクラホマ南部〜テキサス北部)より更に高いプレミアムが付いた。平均価格は生体牛123ドル(100ポンド当たり)、枝肉194ドルで、前週比で各々1ドル、2ドル高だった。反対に南部市場では、生体牛は119ドルで1ドル安、枝肉は2ドル安で、南北のプレミアムの開きは前々週の1〜2ドル幅から更に広がった。
プレミアムやチョイス−セレクトの開きの拡大は、チョイスの比率が前年と同レベルにあるこの時期に、チョイスの需要が増加した状況を反映している。需要増加の主な原因はウォルマートのチョイスビーフ全国キャンペーンだが、卸売市場への影響はしばらく続くとアナリストは述べている。
チョイス級牛の比率が少なくとも昨年同様に増加しないと、プレミアムやチョイス−セレクトの開きの南北間の差は、今後数ヵ月続く可能性がある。昨年は、チョイスの比率が9月中旬以降今年と同じ60%以下で推移したが、12月中旬以降急増して今年2月中旬には過去最多の67.2%に達し、8月まで60%以上が続いた。
最新のUSDA(米国農務省)肥育牛等級レポートによると、10月15日時点の等級内訳は、全国がプライム3.72%、チョイス58.81%、セレクト31.41%だった。それに対し北部のネブラスカはプライム5.92%、チョイス66.12%、セレクト22.18%、南部のカンザスはプライム2.93%、チョイス56.48%、セレクト35.23%、テキサスはプライム0.71%、チョイス47.25%、セレクト45.74%だった。これまで時々、カンザスとテキサス市場の牛は等級が低くても北部州の牛より高値で取引されたが、チョイスビーフの需要増でその状況が逆転している。
先物相場における生体牛現金取引価格は、年内から来年にはアナリスト予測値より大幅な高値になる模様。11月3日の終値を見ると、12ヵ月以内に現在の価格より10ドル高になる可能性もある。どの月も124ドル以上で、10月分終値は129.80ドルだった。しかし大半のアナリストは、2012年の平均現金取引価格を120〜121ドル、USDAは112〜121ドルと予測している。
しかし先物市場は、今年一年中、たびたび基本を無視した独自路線を歩み、変動が激しかった。そのよい例が11月1週で、10月分契約は10月31日月曜に115ポイント安で終了し、それ以外の契約は32から57ポイント安の終値で取引された。翌日火曜は、12月分が終値で日間上限の300ポイント高、他の契約は205から282ポイント高を付けた。貿易関係者は、人為操作的な買い付けと日本の月齢上限変更の可能性の影響を指摘している。
小売業は第1四半期に牛肉を値上げして以来、価格を抑えてきた。その結果、小売業の牛肉マージンは大幅に減り、再び値上げが始まりそうだ。USDAのAll Beef seriesによると、月間価格上昇の最大は2010年12月の1ポンド当たり4.12ドルから2011年1月の4.26ドルへの値上がりだ。その後2月と3月の値上がりで4.44ドルに達し、8月に若干上がって4.48ドルになった以外はそのレベルにとどまっていた。夏場の価格安定は、ボックスビーフ価格が1月以来最低レベルに達した6月の先物買いの量も影響している。カットアウト総合価格は、6月17日の週に171.47ドル(100ポンド当たり)を記録し、8月上旬に入って変動したが、それ以降は170ドル後半から180ドル前半で収まり、10月最終週は179.72ドルだった。
小売業者は6月のカットアウト安値を徹底的に利用した。それに加えて現在の小売価格は、生体牛価格111〜112ドルだけを反映している。小売業はマージン回復のため、今後も値上げを続けるだろう。生体牛価格120ドルを反映するには、牛肉小売価格を9月の4.44ドルから4.83ドルに上げる必要がある。しかし、消費者需要は11月7日時点の価格では調べていない。第3四半期の牛肉需要は、前年比5.9%増加し5期連続で上昇しているが、需要は前年比増加が過去最大を記録したとアナリストは述べている。
11月1週に米国食肉輸出連合会(USMEF)主催の第35回戦略企画会議が開催され、今後の輸出活動の予測が発表された。
米国の牛頭数を回復するには、牛肉輸出が最大のきっかけになると思われる。来年のビーフカットとバラエティーミートの輸出量は130万トンに達して、過去最高だった2000年の記録を上回る見込みだ。すでに今年の段階で新記録達成の方向に向かっている。米国の牛肉生産量は減っているが、最高値の市場に輸出されるため来年の輸出は増加するだろう。アジアなど主要市場のバイヤーと消費者は不況感が薄いので、高値もいとわない。
来年度の輸出について、USMEFは130万トン(同6%増)とし、輸出額は55億ドルに達すると予測している。
ドル安と低い生産コストの優位性が相まって、来年の米国食肉輸出の伸びは、推定値の牛肉0.7%、豚肉2.8%を上回ると、BB&T Capital Markets社のアナリスト、ジョーンズ氏は指摘する。
カナダやEUなどの大型生産国の輸出は、コスト面での競争力が弱く、近年減少している。一方、米国の牛・豚肉総生産量に占める輸出の割合は、過去最高を記録している。ブラジルと中国の鶏肉1ポンド、豚肉100ポンドの生産に要する飼料コストは、いずれも米国より高くなっている。競合の弱体化に加えて、最近締結した韓国とのFTA協定、アジア市場の需要拡大、アフリカ・中東など新市場への参入で、今後数年間は安定した輸出需要が確保されるとジョーンズ氏は述べている。
牛肉生産では韓国と日本が回復し、牛肉輸出ではブラジルが5%増、オーストラリアはやや増加と予想される。その一方で、2012年の米国の牛肉生産量は大幅に縮小して価格上昇、需要低下を招く恐れがある。
豚肉輸出は、世界的な供給不足、米国生産量の微増で値上がり抑制、堅調なアジアの需要などの要因から好調だ。ブラジルの豚肉輸出は1%減少、カナダは横ばい、ロシアは現地生産重視で米国からの輸入は減少するとみられる。
オーガニック事業者協会(OTA)が米国の1,300世帯を対象に、キウイ・マガジンと共同実施した「オーガニック意識調査」によると、78%が「オーガニック食品を選んで購入」と回答している。
主な調査結果:
11月2日から6日までは天気の動きが活発で、本土の大半の地域で雨の予想が出ている。特に中西部、太平洋岸北西部、ノースキャロライナは雨量が多い。本土西部地区の気温は例年を6〜9度(華氏)大きく下回る。五大湖地域の気温は3〜6度(華氏)平年を上回る。気象予報センター(CPC)発表の11月7日から11日にかけての予報によると、本土西部地区は平年を下回る気温が続き、東部地区の気温は例年を上回り、特にオハイオ川渓谷ではその可能性が高い。南西部と大西洋沿岸地域では乾燥した天気が続き、中西部と太平洋岸北西部では例年を上回る降雨があるだろう。
牛肉市況(10月31日〜11月4日)
豚肉市況(10月31日〜11月4日)