厳しい干ばつに見舞われているテキサスおよび周辺の州の牧場は、肉牛の淘汰や早出しを余儀なくされている。この地域では気温が高く雨が少ない天気が続き、テキサス北部では山火事で住宅や牧場が被災している。全国的に肉牛処理頭数はここ10週間のうち9週で前年を上回り、直近の4週間は前年より1万から1万5,000頭多く、ほぼ通年で前年より増加している。
畜産マーケティング情報センター(LMIC)によると、年初来累計の肉牛処理頭数は前年比では1%以下の増加だが、2005〜2009年平均値比では18%上回っている。ここ数ヵ月間は干ばつの影響で全国的に前年比20〜30%増加した。テキサスなど干ばつ被害が出ている5州を含む第6地域では、前年比26%も増加している。2月に始まった増加傾向は最近数週間で70%増に達し、ここ2〜3ヵ月の全国数値を引き上げている。
処理頭数の増加で7月の肉牛価格が値下がりしたが、8月に入り回復して月末には前年比7ドル高を記録した。
米国内の牛肉生産量は、今後年末まで当初の推定値を上回るだろう。アナリストが年初に3.5%かそれ以上減少すると予測していた第4四半期は特にそうだ。6月と7月の導入頭数が、各々前年比4.1%増、22.5%増と予想を上回り、その多くが第4四半期に出荷されるためだ。導入牛の大半は干ばつの影響で軽量級だが、重量級の牛も相当数導入されている。7月には600ポンド以下の牛は前年比50.6%増、800ポンド以上は5.9%増、700〜799ポンド級は11.2%増といずれも増加した。第3四半期も「若干減産」から「若干増産」に予測が変わっている。
肉牛肥育の主要産地では熱波が続いて季節的な枝肉重量の増加が遅れ、多少の牛肉減産の可能性もある。しかし、テキサスとその周辺の州の肉牛淘汰によって、牛が早出しされる分でバランスがとれるだろう。
アナリストは第4四半期の牛肉生産量を、年初予測の前年比3.5%減から1.0%減に修正して、66億7,500万ポンドとし、第3四半期と合計では1月予想値より1億8,600万ポンド多い134億5,000万ポンドになる可能性もあると見込んでいる。最新の米国農務省(USDA)予想は4.8%減の64億1,500万ポンドだが、アナリストは低すぎると述べている。
米国とオーストラリア間の自由貿易協定の成立により、米国に輸入されるオーストラリア産牛肉の非関税枠は、これまでより3万トン増えて40万8,214トンとなった。
欧州委員会(EC)は今週、牛電子識別システムに法的枠組みを与える提案を採択した。
通称「パスポートシステム」と呼ばれるこの制度は、主に牧場の管理を目的に、既に複数のEU加盟国では民間レベルで使われている。ECは「より広範囲に実施することで、現行の肉牛・牛肉のトレーサビリティ制度の強化、迅速化、精度向上につながる」という声明をEUのホームページ上で発表している。
USDAは民間の農業バイオ技術会社や大学の協力を得て、肉牛遺伝子の働きを解明し、O157:H7(腸管出血性大腸菌)による食物汚染を防止する研究を進めている。
O157:H7を拡散する保菌牛「スーパーキャリア」と非保菌牛「ノンキャリア」の遺伝子マーカーを確立し、それを利用した遺伝子・繁殖プログラムを開発して食物汚染のリスクを軽減することを目指している。これまでは食肉加工の過程や製品検査での防止に重点が置かれていたが、この研究では牛成育の源に注目している。
すでに多数の生産者が、緻密に設計された繁殖プログラムを実施している。遺伝子マーカーが解明されれば、これまで繁殖で組み替えた望ましい、または排除すべき牛の特性と同じように利用できるかもしれない。
これまでにも世界保健機構(WHO)や日本政府、専門機関や米国の疫病予防管理センター(CDC)が再三公表しているように、元来インフルエンザを発症した豚の肉が原因で人に感染するということはない。
CDCは9月2日に「ペンシルベニア州とインディアナ州での幼児の発症例に相関関係は見つかっておらず、発症した幼児2人とも現在は回復し、ほかの感染例の報告もないが、今後も監視を継続する」と発表した。
今回のA型(H3N2)インフルエンザは豚が起源であると言われ、これはその遺伝子の中に、一昨年世界的に流行した新種のインフルエンザのように豚由来の遺伝子が存在し、新たなタイプになったと見られるため、「合併結合変異ウイルス」と呼ばれている。しかし米国で常時実施されているモニタリングでも、直ちに豚で大発生するという兆候は認められていない。
米国食肉輸出連合会(USMEF)が日本の消費者に対し、アメリカン・ビーフの安全性に対する信頼度を調査した結果「非常に信頼できる/まあ信頼できる」と回答した人は、2006年の8%から2011年には40%まで回復した。また、「あまり信頼できない/まったく信頼できない」と回答した人は、2006年の70%から20%に減少し(移動平均値)信頼性は定着したと言える。
USMEFは今年4月より、東日本大震災で被災された方々へ食を通じた支援活動を行って参りました。震災から5ヵ月以上が経過し、被災地では避難所の数こそ減ってきているものの、仮設住宅での調理にはまだ多くの方が不自由されています。このような方々を支援するために、USMEFでは地元ボランティアの皆さんと連携し、調理配送を実施しているほか、地元ボランティアの方々の食事のサポートや小中学校の給食支援を行っており、焼肉やステーキ、牛丼や豚丼の具、角煮などのレトルト食品も提供させていただきました。
この度の東日本大震災による被災地の支援活動の財源は、米国畜産業界からの支援によるもので、少しでも日本の皆様のお役に立ちたいという業界関係者の強い願いが込められています。USMEFでは、引き続き被災地の支援活動を行い、9月末までに累計18万食分を提供させていただきます。
支援活動の詳細や今後の予定は下記ホームページをご覧ください。http://www.americanmeat.jp/csm/news/list.html
USMEFは、東日本大震災からの復興支援の取り組みの一環として、2011年7月1日から8月31日までの期間「東北応援キャンペーン」と題したプレゼントキャンペーンを実施いたしました。期間中、ビーフキャンペーンは95企業、3,124店舗、ポークキャンペーンは57企業、2,720店舗に、ポスターなどの販促物を店頭に設置していただき、弊連合会が実施したキャンペーンの中では最大規模となりました。また消費者からはビーフキャンペーン1万5,758件、ポークキャンペーン1万3,696件の応募が寄せられました。応募者の中から抽選で合計1,800名の方に、アメリカン・ミートと一緒に味わっていただきたい東北の名産品セットがプレゼントされます。
東北応援キャンペーン応募時に皆様から寄せられた被災地へ向けたメッセージの一部は、下記ホームページでご覧いただけます。http://www.americanmeat.jp/csm/news/message.html
メキシコ湾で発生した熱帯性低気圧がもし今後発達すると、干ばつに見舞われている本土南部および南東部の一部に来週、待望の雨を降らせる可能性がある。その他の地域では、ゆっくり進む寒冷前線の影響でプレーンズ諸州北部・中部からコーンベルトと北東部、および南方のオクラホマ、テキサスにもにわか雨が降るだろう。西部ではモンスーン期のにわか雨がフォーコーナーズの東部地域に停滞し、一方、グレートベイスン(大流域)からロッキー山脈北部と本土北西部にかけては、気温が高く乾燥した天気が広がる。国立測候所の予報によると、9月6日から10日にかけて、太平洋沿岸中部・北部から中西部北方、コーンベルト中部では平年より乾燥した天気になる。反対に、メキシコ湾沿岸東部から本土北東部にかけては、平年より雨の多い天気が予想される。気温は本土東部の大半は例年を下回り、対照的にロッキー山脈から太平洋沿岸は平年を上回る。
牛肉市況(8月29日〜9月2日)
豚肉市況(8月29日〜9月2日)