7月7日の生体牛先物相場は、商品ファンドによる買い付けで現金取引市場が持ち直し、8月契約分は前日比で177ポイント、前週比で385ポイント増の終値114.72ドルで取引された。パッカーの入札額は前週比2ドル高になる。
生体牛の現金売買ベースでは肥育業者のマージンはマイナスで、今後数ヵ月間はその状態が続くと予想されるため、肥育業者は先物相場と現金価格の高値に一安心だ。
ドル安で米国産牛肉は主要海外市場で優位を保っており、輸出売り上げは堅調が続く模様だ。同等の部位でブラジル産牛肉と比較すると、100年ぶりにブラジル産のほうが価格が高くなっている。
国内市場ではカットアウトが6月前半に値下がりし、7月下旬から8月上旬は小売りで活発な販促活動が可能になる。しかし、その後の値上がりで8月中旬から恐らく9月にかけてビーフのキャンペーンは鈍るだろう。小売業者は今年前半の損失をまだ取り戻しておらず、また卸売価格が予想より高いため、牛肉通常価格の値下げはないだろう。
米国の畜産・食肉団体※1は共同で、OIE(国際獣疫局)の牛肉輸入ルールに準拠したBSEルールを早期にまとめて、今後EUの牛肉市場アクセス拡大の利益が得られるよう、米国農務省(USDA)に強く要望した。
現在、EUの大半の国は米国と同じBSEリスク分類でOIEから認定されている。しかし、米国はEUからの輸入牛肉に対して、BSE関連の輸入規制を適用している。
一方で現在、多数のEU加盟国が連携して、枝肉洗浄用の乳酸使用をUSDAが認めるよう支援している。EUと米国は2009年8月に牛肉貿易に関する覚書を交わし、以来EUの米国産高級ビーフ輸入量は150%増加した。この乳酸の使用許可は、覚書の第2フェーズへの進展に不可欠なものだ。
※1:AMI(米国食肉協会)、NCBA(全米肉牛生産者・牛肉協会)、NMA(全国食肉協議会)、USMEF(米国食肉輸出連合会)
食糧農業機関(FAO)と経済協力開発機構(OECD)がまとめた最新レポートによると、今後10年間は過去10年対比で、食肉価格は平均3割、穀物価格は平均2割値上がりの可能性がある。これら予想値は2007〜2008年期と今年のピーク価格を大幅に下回っている。今後の豊作は、商品価格を今年前半に記録した極端な高値から押し下げるだろう。しかし現在の市場背景の中、農産物市場は不安定な状態が続く可能性もあり、市場の変動を抑制し悪影響を制限するため、一貫した政策が必要だという。
値上がりの理由は、2011〜2020年の農産物生産量の伸びが1.7%と、過去10年の2.6%と比べて減速すること。加えて東欧、アジア、ラテンアメリカで一人当たりの食品消費量が最も急速に増加し、特に食肉、乳製品、植物油、砂糖の需要が増加するため。両機関は、低所得かつ食糧不足の国々での農業投資を呼びかけている。
アルゼンチン農業省は、中国との衛生協定と昨年来の交渉の終了を発表して、南米から中国に向けたトウモロコシと牛肉の輸出を始めた。
同省によると、中国はアルゼンチン産トウモロコシ、牛肉、ワイン、バイオ燃料、大麦に対して市場を開放した。
アルゼンチンは米国に次いで世界第2位のトウモロコシ輸出国で、2010年の輸出量は約1,800万トンに達している。中国も歴史的に主要なトウモロコシ輸出国だが、昨シーズンの干ばつと需要の急増で輸入国に転じている。アルゼンチンでは2006年に口蹄疫が発生して中国向け牛肉輸出が途切れていた。中国は豚肉、鶏肉、その他食肉の需要が高く、牛肉貿易の見通しは限定的だ。
同省によると、牛肉販売は内臓とホテル・レストラン向けの高級牛肉が中心になるという。
韓国の中央日報によると、韓国は2014年より、国内市場で販売されるすべての豚肉対象にトレーサビリティー制度の導入を目指す。新制度により標準以下の製品のリコールが容易になり、消費者の権利向上と、輸入品に対する国産ポークの競争力を強化する。
韓国農林水産食品部(MIFAFF)は現在、包括的なトレーサビリティー制度創設のため関係機関・畜産団体と詳細を詰めている。牛と比べて豚はと畜までの期間が短いため、制度の維持は難しいかもしれないとMIFAFF幹部は述べている。輸入牛のトラッキングは1年以上前にスタートしている。
この制度が実施されると、消費者は豚の飼育地、と畜地、パッケージ方法、流通に関する情報の素早いチェックが可能となる。
米国食肉業界は、地震と津波の被災者に炊き出しを続けている。弊連合会(USMEF)の会長兼CEOのセングも、被害の大きかった東北で米国産豚肉を使った炊き出しに参加している。炊き出しを含む救援・復興活動には、USMEFと米国の牛肉・豚肉業界が中心となり、全米や州の食肉団体、パッカー、輸出業者、個人がこれまで約60万ドルの支援をしている。
米国食肉業界の長期的な支援は、日本で大変感謝されている。セングは「被災者の皆さんには、特に10万食近い炊き出しが印象深かったようだ。目標の16万食に向け、今後も炊き出しを続けていく。また弊連合会と関係団体は住民の復職、経済・事業の再開を目指して、復興支援にも参加している。それが人々の就労や外食活動にもつながることになるだろう」と述べている。
ファーストフードのバリュー・メニュー(安くてお得な商品)人気も手伝って、ハンバーガー消費量は大幅に増加し、テクノミック社の調査(対象者1,500名)によると、「ハンバーガーを週1回食べる」は2009年の38%から、2010年は50%に増えている。
高級ハンバーガー店では「ハンバーガー」が一番最初に想起する(トップオブマインド)商品として認知され、また回答者の5割がホルモン、ステロイド、抗生物質を含まない「ナチュラル」「ヘルシー」といった商品属性を重視している。
ブームの要因は「グルメバーガー」の爆発的な伸びだ。高級レストランまでが良質なミートパテに今までと違った付け合わせを加えて高級ハンバーガーサンドイッチを作り出している。価格は最高で15ドルにもなるが、それでも消費者は「安上がりなお楽しみ」として喜んで払っているようだ。
新しいハンバーガー専門店チェーンの大半は、冷凍ではなくフレッシュパテを使い、注文を受けてから調理する。加工済みビーフよりはトリムとエンドミートを組み合わせて使うところが多い。
高級レストランではグルメバーガー用にブリスケット、ショートリブ、ラウンド、サーロイン、和牛の使用量が増えている。
ここ数週間続いた天候パターンはこの先2週間も変わらず、気圧の尾根が南部の上空を覆い、暴風雨は北部州を通過するだろう。寒冷前線は南部の高気圧を通過するうちに弱まり、天気が不安定な地域ににわか雨を降らす。南西部ではモンスーンの雨が予想され、夏にみられる上昇気流のためフロリダは雨になる。
7月6日から11日にかけては、ロッキー山脈中部からプレーンズ諸州中部、南東部の一部から大西洋岸、フロリダ半島の大半にかけて1インチかそれ以上の雨が降る。最大で1/2インチのモンスーン雨が南西部の一部に降り、南東部のその他の干ばつ地帯は、1/4から1インチの雨がある。プレーンズ州北部から五大湖西部にかけては1/2インチの降雨が予想され、一方プレーンズ諸州南部は概ね雨は降らない。気温は本土の大半の地域で通常を上回るだろう。
気象予報センター発表の7月8日から14日にかけての予報によると、ロッキー山脈、プレーンズ諸州中部・北部、五大湖南部、フロリダ半島、更に南東部では平年を上回る降雨がある。一方南西部の一部、中部大西洋、それにサザン・プレーンズ(オクラホマ南部〜テキサス北部)の大半は乾燥した天気が広がる。西海岸沿いの気温は平年以下となり、ロッキー山脈から東の地域は例年に比べ気温が上昇する。
牛肉市況(7月4日〜8日)
豚肉市況(7月4日〜8日)