牛肉市況(9月27日〜10月1日)
豚肉市況(9月27日〜10月1日)
10月に入り生体牛市場の出足は弱含みだ。現金取引価格は9月最終週に下がったが、10月中は深刻な価格低下の恐れはなさそうだ。出荷可能牛は不足気味だが、フィードロットの牛の入れ替えは順調で、出荷が進んでいる。枝肉重量は、急増した昨年比では下回っているが、今年は平年よりかなり増体が進んでおり、11月中旬には昨年並みになる見通し。
今後の枝肉重量は、それに応じてパッカーが国内外の注文に必要な毎週の処理頭数を決めるため、市場には重要な要素だ。年末に向け昨年よりずっと多い肉牛をフィードロットに導入済みなので、今月の処理ペースが落ちると、11〜12月に牛が集中することになる。年末市場は価格下落の影響を受けやすい。国内需要が回復しなければ、引き続き牛肉輸出が市場推進の担い手となるだろう。
9月中、輸出量は毎週変動したが、昨年のレベルをはるかに上回る状態が続いた。
最新のコールドストレージ調査の結果は、豚肉の高値を理由にエンドユーザーが在庫を大幅に減らすという、ここしばらく続いている状況を表している。牛肉、鶏肉の在庫も前年より減っている。
※1:2010年8月31日現在
米国農務省(USDA)は最新のトウモロコシ価格分析で、「飼料用穀物が予想より供給不足のため、肥育牛の需要はトウモロコシと家畜用穀物の高値の影響を受ける。大豆ミールは予想より安値で、トウモロコシの値上がり分をある程度相殺している。肉牛肥育をしている地域によっては、エタノールの生産義務と高値を理由にエタノールを増産して、トウモロコシの値上がりを相殺できるかもしれない」と述べている。
しかし民間のアナリストは、2006年のバイオ燃料混合率10%引き上げ義務化や、10月中旬に予想される環境保護庁(EPA)主導の15%への引き上げでトウモロコシ価格が上昇して、「食料か燃料か」の議論が再燃すると指摘している。
USDAは、今後2〜3ヵ月で肉牛市場の動態が変化する可能性を述べている。肉牛処理は例年にないハイペース(年初来前年比3.4%増)が続き、昨年より未経産牛の割合が増えている。いずれの要素も将来的に全国の肉用牛頭数が一層減少する可能性を示唆している。穀類作物への期待が薄れるなか、今年の春と夏は米本土の大半で牧草地の生育環境が良好だった。その結果、肥育牛は最近まで牧草地に止まった。こうした牛は通常より体重が重いことがあるが、秋に多数の重量級の牛がフィードロットに導入されると、フィードロット導入可能な肥育牛の市場力学の矛盾につながるかもしれない。(USDA)
7月には1ブッシェル3.50ドルだったトウモロコシ価格は、最近5ドル近くにまで上昇して豚生産者の事業拡大の意向に水を差している。
100ポンド当たりの成豚平均価格は、2010年第4四半期が55ドル、2011年第1四半期は56ドルと予想されている。成豚価格は第2、3四半期に平均60ドル、57ドルとリバウントするだろう。2011年の最終四半期に生産が4%も上がると、成豚価格は50ドル近くに下がるだろう。
9月27日にアルゼンチンで開催された世界食肉会議では、耕作地が減少する状況下ではあるが、世界人口の増加に伴い、2050年までに食肉生産量を倍増する必要があると指摘された。
会議に出席した弊連合会のセング会長兼CEOのコメントを以下にまとめる:
キーストーン社はマクドナルド、キャンベル、サブウェイ、コナグラ等の主要納入業者で、世界13ヵ国2万8,000店に食材を供給し、年間売上高は64億ドル。買収金額は12億6,000万ドルで、マルフリッグ社はこれを機にグローバル展開の拡大を進める。
9月1日現在の成豚・子豚の総頭数は6,499万1,000頭(前年比2.6%減)、飼育豚頭数は577万頭(同1.8%減)だった。飼育豚頭数の回復には、保持する雌豚頭数を増やす必要があるが、トウモロコシ価格の上昇を受けて、しばらくは現在の飼育豚頭数に動きはないだろう。
一方、出荷頭数は5,922万1,000頭(前年比2.7%減)だった。夏期の処理頭数は、昨年のトウモロコシの不作や、できる限り肥らせて出荷したい生産者の意向もあり、予想より33万6,000頭少なかった。そのため出荷可能豚は非常に不足している。体重180ポンド以上の豚は5.6%減、肥育素豚は1.1%減少しており、処理頭数は年末から2011年第1四半期に入っても、かなり供給不足だった前年を下回ることを示唆している。
その他注目すべき要因はカナダ産肥育素豚の輸入で、6〜8月期は6.5%減少した。カナダでは飼育豚頭数の減少が続いており、素豚の輸入が制限されるだろう。
9月29日〜10月4日の期間の前半は、熱帯性低気圧ニコールの残存勢力からくる水蒸気が活動して東海岸を北に移動し、南北カロライナからニューイングランドにかけては、10月4日までに1インチかそれ以上の降雨が予想される。地域によっては、合計で数インチの雨になるだろう。上空高気圧帯が西部を覆い、平年より気温が高く乾燥した天気になり、上方の気圧の谷が本土東部に影響を及ぼす。このような天候のパターンは10月5日から13日まで続き、国内の大部分の地域で乾燥した天気になる。気温は、西部の大半の地域から五大湖、アラスカにかけては平年より高く、南東部は平年より低くなる。
上記の価格が発表された後の10月11日、USDAは穀物の収穫予想を大幅に下方修正した。これにより穀物市場が敏感に反応し、シカゴ商品取引所(CME)で12月渡しのトウモロコシの予想価格は568セント(1ブッシェル当たり)、大豆は1182セントまで一気に値を上げた。この値上がりによる生産コストの上昇は不可避との見方もあり、来年の牛豚の生産量が減少するかもしれないという懸念が出てきている。