牛肉市況(8月30日〜9月3日)
豚肉市況(8月30日〜9月3日)
8月4週は、販売業者やバイヤーがレイバーデーの連休に備えて仕入れを急いだため、スポット市場のカットアウト価格は急騰した。連休前週は10営業日でチョイスが10ドル、セレクトは11ドル値上がりした。しかし週前半4日間の取引量は、前週の626コンテナに対して474コンテナと極めて少なかった。
さらに注目されるのは、フォーミュラ方式(前週の平均スポット市場価格をベースにした取引)での販売が42.2%を占めたことだ。15カットのうち12カットの価格が、スポット市場価格を下回った。パッカーは今後も牛肉の販売量を増やし、そのうちの大半はスポット市場以下の価格になるだろう。
スポット市場の品不足により、パッカーはある意味でフォーミュラ価格を「保守できる」と言える。スポット市場価格は必ずしも人為的に高くなるわけではないが、近年で最も少ない取引量をベースにしている。ボックスビーフ価格は8月下旬に夏場の最高値に達したため、9月には下落の可能性がある。実際、2008年のこの時期のチョイス価格は先週の高値と同レベルだったが、10月末までに20ドル下落している。
今年前半は、低級部位がカットアウト価格を支えたことに注目すべきだ。ロインは6月中旬に、その時期としては12年ぶりの安値を記録したが、その後はカットアウト価格の値上がりを後押しした。ロイン価格は、通常夏場に下落するが、それがない場合は10月に失速することが多い。2008年の場合、100ドルまで上がった生体牛価格は、10月中旬には90ドルを切っている。実際に同じ様な価格後退が起きる可能性があるとアナリストは述べている。
米国農務省(USDA)が8月25日に発表した最新の消費者物価指数予測によると、食料品は前年比わずか0.5%増の1.5%で、1992年以来最小の年間インフレ率になる。そのうち、内食費は同じく0.5〜1.5%増だが、外食費は1〜2%の増加を見込んでいる。
7月度牛肉価格は前月比で0.2%減少したが、前年比では6.7%上回っている。前年比でステーキは4.2%、挽肉は8.2%アップしている。
7月度豚肉価格は前月比1.6%増で、前年比では6%増加した。USDAは8月度予想の2010年豚肉消費者物価指数を3〜4%前後の増加に修正した。
中東市場は、好況の石油輸出と競合欠如によって確保したマーケットシェアに支えられ、米国産牛肉にとってはロシアやEUより成長性の高い輸出市場になっている。現在、米国産牛肉の中東向け年間輸出量は8万トンを超え、その大半はエジプト向けだ。エジプトは人口が多く比較的低所得のため、場外市場ではレバーを中心にバラエティーミートが販売されているが、今年は高級ホテル・レストラン向けの正肉が最も伸びている。
サウジアラビアとアラブ首長国連邦では、米国産牛肉の販路は近代的なスーパーや米国系レストランチェーン店、ステーキハウス、ドバイの7つ星ホテルなどで、より良質な製品への買い換えが進んでいる。
オーストラリアとアルゼンチンによる中東向け牛肉輸出も順調で、正肉はオーストラリア産がトップを占めているが、米国の輸出業者にもビジネス開発の余地が十分ある。
ロシアは蛋白源の自給率アップを推進中で、輸入枠もあるため、米国産牛肉市場としての成長性は限定的だ。
米国パーデュ−大学の研究者は、赤外線分光法を使うと、牛挽肉からO-157:H7 (腸管出血性大腸菌)を検出する時間が大幅に短縮できると断定した。「食品科学」8月号の記事によると、大腸菌の検出には従来のプレーティング法では48時間かかっていたが、分光法では1時間で検出された。またO-157:H7の異なる株の識別や、これまで1週間かかっていた感染経路の調査の効率化、迅速化が可能になる。
米国食肉輸出連合会(USMEF)は9月10日(金)、ホテルニューオータニにて「2010年 USMEF アメリカン・ビーフ トレードセミナー&テイスティングセッション」を開催した。国内の商社・メーカー・小売り・外食業界の関係者約300名が参加し、盛況な会となった。
冒頭、駐日米国大使館 農務担当公使のジェフリー・ウィギン氏が「世界経済が悪化する中でもアメリカン・ビーフの日本向け輸出は順調に伸びている」ことをあげ、感謝の意と今後の期待を述べてセミナーの幕が開いた。
最初のセミナーでは、弊連合会 エクスポート・サービスディレクターのケビン・スミスが「米国産牛肉の日本への輸出のための認証活動例」と題して、効果的な飼料禁止措置に始まるBSE拡散防止への法的、制度的な取り組み、さらに厳しい品質管理システム・輸出認証プログラムや月例の記録・確認の手法に関する詳細を報告した。
次に米国の穀物農家を代表して、ミズーリ州とうもろこし業務推進協会 理事であるモリス・ハイトマン氏が「ミズーリ州におけるとうもろこし・大豆農家の紹介」と題した講義を行った。ミズーリ州は300万エーカー(米国全体では9,000万エーカー)の耕作面積を持つ全米第5位のとうもろこし生産州。国内生産量のおよそ3分の1が国内の飼料用に回される。現在の米国は技術進歩とともに耕作地の集約と大規模化が進み、とうもろこしの生産量は飛躍的に伸びており、「今後も安全な飼料を提供し続けていきたい」と述べた。
続いて、弊連合会 シニアマーケティングディレクター 山庄司岳道が「アメリカン・ビーフ マーケット トレンド」と題してさまざまなデータを基にした講演を行った。米国の関係者にとってBSE対策が大きな負担であるにもかかわらず、厳しい取り組みに挑戦している大きな理由は、今後は国内の牛肉消費量が伸び悩み、他国への輸出が重要になるからだ。特に日本は、回復しつつあるとはいえ、禁輸措置前の2、3割の輸入量しかない。輸入には有利な円高という背景もあり、日本に対する期待は大きいといえる。さらに、コンビニエンスストアやホテル、外食産業とのタイアップやプロモーション事例などUSMEFの取り組みを紹介して講演を締めくくった。
最後は、(株)マオ・インターナショナル 代表取締役 毛見信秀氏による「アメリカン・ビーフ カッティング・セミナー」。チャックアイロール、ショートリブ、牛タンなどを焼き肉やしゃぶしゃぶ用に商品化するデモを行い、ロスのないカッティング、購買意欲をそそるパッケージング、フィンガーミートを使用した串刺しおでん等、新しい商品提案まで幅広い具体例を紹介した。
セミナー終了後は、アメリカン・ビーフの美味しさを再発見していただくテイスティングセッションを開催。各所で名刺交換が行われるなど、情報交換の場としても有意義な会になった。
9月2日から6日にかけては、ハリケーン・アールと東部に接近している寒冷前線が交差する地域を除き、米本土の大半で穏やかな天気になる。ハリケーン・アールは、9月2日から3日夜にはノースカロライナ州のアウターバンクス近くかちょうど東側を通過し、その後4日にかけてニューイングランドの海岸をかすめていくだろう。ハリケーン・アールの進路に近い沿岸では豪雨と強風になる。また、大西洋沿岸中部と北部では海岸の浸食の恐れがある。さらに米本土西の中西部北方から中南部にいたる地域では、9月2日に寒冷前線に先だって所によりにわか雨となり、この雨は翌日にはアパラチア山脈にまで進む。9月4、5日までに、にわか雨は北西部一帯にまで広がる。国立測候所の9月7日から11日にかけた気温予報では、ハイ・プレーンズ北部一帯と西部の大半の地域は平年より涼しく、本土の残りの地域は平年並みか平年より高くなる。雨量は米国の大部分の地域でほぼ平年並か平年を下回るが、五大湖にまで至る北部地域では平年を上回る。