米国食肉輸出連合会は、9月10日(金)に「2010年アメリカン・ビーフ トレードセミナー&テイス ティングセッション」を開催します。日頃からアメリカン・ビーフの拡販に御尽力頂いている皆様とのコミュニケーションの場とさせて頂ければ幸いです。
牛肉市況(8月16日〜20日)
豚肉市況(8月16日〜20日)
穀物市場の大きな変動が食肉生産者や食肉価格に重大な影響を及ぼして、現状はますます不安定になっている。トウモロコシに対する小麦の価格比は、昨年と今年上半期には長期平均値を大きく下回って飼料価格を圧迫した。市場では小麦価格は低下傾向と考えられていたが、ロシアと周辺国の異常気象で世界的な小麦供給の見通しが変わった。今期販売年度末の小麦在庫は、当初の予測値を大きく下回っている。また先物市場では現在の供給と収穫分だけでなく、次回の収穫が不作と想定して配給制になった場合も含めて値を付けようとしている。
ロシアや近隣国では湿度が低いため、かなりの地域で冬作分の植え付けが実質的に不可能と見られる。米国農務省(USDA)は、旧ソビエト連邦諸国で世界の小麦貿易の4分の1を供給するとしている。しかし、最新の推定では2010〜11期はその半分のわずか12%になると予想され、中東、アフリカをはじめ他の地域は、EUや米国から高い小麦を選ばざるをえないだろう。そのため、世界の小麦供給不足は米国の小麦・トウモロコシ輸出の見通しを後押しするだろう。トウモロコシ収穫高は過去最高が予想されているが(USDA)、実際に達成されないと今年秋・冬に値上がりする可能性はある。別の値上がり要因は他の穀物との耕作面積の争いだ。来年に入ると農家がトウモロコシの作付面積を減らして、小麦と大豆の二毛作をするのではないかという憶測がある。これはリスキーだが、高値の作物を二毛作する農家が増えることもあり得る。
7月の導入頭数は2月以来初めて前年を下回った。8月20日付のCattle on Feedレポートでは、多かった昨年を9〜10%下回る数字になるだろう。出荷頭数は昨年と変わらないが、処理日数は1日少なかった。
それでもフィードロットでは新旧の牛の入れ替えが進んでおり、フィードロットの飼育が120日以上の牛の数は昨年を大きく下回っている。7月に肥育牛価格が急騰したためフィードロットでは導入を敬遠した。また大半の地域でフィードロットの状態が良好で、牛を置いていたことも動きを抑える一因となった。
一方、USDAの2010年トウモロコシ収穫高予測値は前月より増えて、過去最高の2009年より1.9%多くなっている。
生体牛と卸売り牛肉市場では、驚くような夏場の回復が続いている。薄商いのスポット市場では、連日カットアウト価格が高騰している。8月18日には、サザン・プレーンズ(オクラホマ南部〜テキサス北部)とネブラスカで生体牛・枝肉が前週より4〜5ドル高、翌日はテキサスとコロラドで生体牛が100ドルで売られたのをはじめ、各地でさらに値上がりした。
市場関係者は誰もが生体牛・ボックスビーフ価格は夏場に下がると考えていたので、今年の価格持ち直しには困惑している。原因は、予想以上の出荷可能牛不足、国内外の牛肉需要の回復、昨年より厳しいこの時期の牛肉供給不足だ。8月中旬2週に限っては、一部のパッカーの買い付け不足も要因になっている。
今後の心配は、カットアウトの高値が9月後半から10月中の牛肉小売り販売に影響することだ。アナリストはまた、過去2006年と2008年に今年と同じように夏場に大きく回復した後、10月に入りカットアウトと生体牛価格が各々20ドルと10ドル急落したことを指摘している。
長年にわたる政府、業界団体を含めた話し合いの結果、メキシコはこれまで10年間、米国産牛肉に課してきたアンチダンピング税を8月11日に廃止した。これによりメキシコ向けに製品を輸出する企業の増加が期待される。メキシコは米国産牛肉の最大輸出市場で、2009年の輸出は牛肉・バラエティーミート合わせて89万7,376トン(9億900万ドル相当)に達した。撤廃は4月29日付発効のため、それ以降関税を支払ってきた企業には全額返金される。
アンチダンピング税は一部の米国生産者団体がメキシコの肥育牛の輸入を制限した動きへの報復関税として10年前に始まったもの。関税は3〜29セントの幅があり、生産量の約5割に適用された。関税を理由にメキシコへの輸出を敬遠した企業もあった。米通商代表部(USTR)は、関税障壁で年間1〜5億ドルの損失が出ていたと推定している。
カナダ第2位のパッカー XLフーズは、サスカチュワン州ムースジョーの肉牛処理工場を恒久的に閉鎖する。同工場(1日当たり処理能力1,000頭)は、労働争議を理由に2009年4月以来閉鎖が続いていたが、労働組合との新たな契約締結に失敗した。昨年の閉鎖時には母牛と肥育牛の不足も原因と説明していた。
米国はメキシコからのポーク・農産物流入を阻止するため、メキシコに対し高速道路トラック輸送を禁止し、両国間で長年の紛争になっている。報復措置としてメキシコは、8月18日から米国産豚肉製品輸入に5〜20%の関税を課しているが、米国製品輸入への影響は少ないとアナリストは見ている。
皮肉にも18日のポークカットアウト終値は日間最高値まであと1セントに迫り、成豚先物市場は大幅高で終了した。米国産豚肉の対メキシコ輸出は2009年に過去最高の50万5,503トン、7億6,240万ドルに達しメキシコは輸出量でNo.1の海外市場になっている。関税問題に関わらず、メキシコは今のペースで輸入を続け、今年は記録を更新するとアナリストは予想している。
北米自由貿易協定(NAFTA)に従って、米国は1994年にメキシコにアクセスを認めたが、昨年、米国議会がパイロット・プログラムを中止し、メキシコの報復措置となった。
牛肉・豚肉の小売価格は、昨年同期と比べて6〜8%値上がりしている。「外食しない代わりに、家での料理用に今までより高い肉を買ってもよいと消費者が思っているのが一因」とアナリストは指摘している。こうした傾向は昨年始まり、相変わらず消費者が食費の使い方に非常に慎重になっているため今年も続いている。USDAの統計によると、2009年の外食費は1949年以来初めて前年比で2.2%減少した。2008年は2.9%増、2007年は5.6%増、その以前の4年間は毎年6〜7%増加していた。
その一方で、レストラン側は別の形で小売店との競争激化にさらされている。小売店で種類が豊富な調理済み食品やインスタント食品を購入する消費者が増えて、クイック・サービスレストラン(ファーストフード)を脅かしている。最新の調査(成人消費者1881名対象)では、3ヵ月前に比べ家での食事が増え(50%)、過去1ヵ月間にスーパーでインスタントや温めて食べる食品を購入(64%)という結果が出た。2011年までにスーパーの調理済み食品売上高は7%増加して140億ドルに達すると予想される。
8月19日から23日までは、メキシコ湾沿岸と中西部北方地域を中心に最大レベルの雨量が予想されるため、干ばつ地域の乾燥状態の緩和になるだろう。プレーンズ諸州と中部大西洋沿岸地域も雨になる可能性がかなり高い。季節風が続いて南西部の広範囲に雨をもたらすだろう。気温は米本土全域で平年を上回り、特にハイ・プレーンズとオハイオ川渓谷は平年より6〜9℃高くなる。西海岸ではまた低温になるだろう。
気象予報センター(CPC)の8月24日から28日までの気温予想では、引き続きオハイオ川渓谷は平年を上回り、アラスカから西海岸地域は平年を下回る。ハイ・プレーンズ北部とメキシコ湾沿岸は雨になる可能性が高く、アーカンソーから西バージニア、さらに進んでニューイングランドにかけての雨量は平年を下回るだろう。
米国食肉輸出連合会は、9月10日(金)に「2010年アメリカン・ビーフ トレードセミナー&テイス ティングセッション」を開催します。日頃からアメリカン・ビーフの拡販に御尽力頂いている皆様とのコミュニケーションの場とさせて頂ければ幸いです。