牛肉市況(7月12日〜16日)
豚肉市況(7月12日〜16日)
米国の肉牛頭数は、既に過去51年間の最低水準まで下がっているが、まだ減少が続いている。7月23日発行の米国農務省(USDA)年中頭数報告書では、7月1日現在の肉牛・子牛総頭数は前年比1.8%減、肉牛入れ替え頭数は同2%減、今年の子牛頭数も同1.7%減と、いずれも減少が予想される。しかし、生産者は頭数の回復より削減を続ける模様だ。こうした今年中盤の数字から、2011年1月1日時点の総頭数は9,200万頭程度で、過去59年間で最少頭数になるだろう。
頭数低下は業界が直面する最も深刻な構造的課題で、特に経済的な稼働率を維持するために頭数規模に依存する畜産市場、販売業者、フィードロット、パッカーへの影響が大きい。7月1日現在のフィードロット内頭数は1,000万頭、稼働率はわずか60%と予想され、2011年1月1日時点の総頭数は170万頭減少の可能性もある。
ここ数週間の淘汰された母牛(cull cow)の価格は前年比10ドル高で、週間平均価格は前回最高値を出した2008年を数ドル上回っている。母牛価格が過去最高に達した影響で、素牛農家は予想より多い母牛を出荷している。今年上半期の母牛処理頭数は前年比で13%増加している。生産者が頭数低下を補うための未経産牛を保有していないため、全国的に母牛頭数は減少が続いている。テキサスのように干ばつの影響が長引いて牛の処理が進んでいる地域もあるが、主に牛肉の生産コスト高が原因の母牛高値が出荷増を後押ししている。
生体牛価格は7月3週大幅に値上がりした。7月4日の独立記念日以降は安値になり、月末には夏場の最安値をつけるのではという大方の予想を裏切った。通常夏は、暑さで牛肉売り上げは沈滞気味になるが、7月14日の現金取引価格は生体牛が2ドル高、枝肉ベースで4ドル高となった。
出荷可能牛は十分な供給量があると思えたが、7月3週、パッカーはできるだけ多くの牛を確保するため、高値(サザン・プレーンズで93〜94ドル)でも買わざるを得なかった。ステーキ用アイテムの大量注文があり、大手2社が買い付けたらしいが、そうなるとそれ以外の肉が大量に残っていることになる。もう一つの要因は、7月3週はパッカーマージンがプラスだったが、生体牛の高値とボックスビーフの安値で4週からは収支が均衝する。そのためパッカーは生産量を減らし緊縮予算で生体牛を調達するだろうとアナリストは述べている。
USDA動植物検疫局(APHIS)のクリフォード博士は、米国下院エネルギー及び商業対策委員会に出席し、家畜への抗生物質の使用と人の抗生物質耐性の間に関連がある可能性を述べた。
博士は「家畜用抗生物質の使用が人の抗菌耐性につながることもあり、医学的に重要な抗生物質は慎重に使用することが大切だ。また今後は他の連邦機関との連携を広げて、抗生物質による耐性菌のリスクを増やさずに、家畜の健康を保護・維持するための調査研究や新治療法を開発して行きたい。
新ワクチンや診断のための検査など、新たな家畜保健の管理ツール・テクノロジーが必要だ。協力関係は連邦機関の枠を超えて農家や生産者にも広げ、現場で実行可能な慎重な抗生物質の使用を目指す」と説明した。
ワシントン大学がまとめた最新の調査は、米国牛肉業界の生産性改善策が功を奏し、牛肉生産の環境影響が減ったと結論づけている。
「米国牛肉業界の環境影響比較−1977 vs 2007」と題された調査で、牛肉1ポンドを生産する際の環境影響を1977年と2007年で比較し、履歴データ分析を行った。生産方式の進歩で、2007年は1977年より13%少ない家畜頭数で13%多い牛肉が生産されている。
肥育現場での出産率、成長率、家畜の飼育方法の理解向上を主な理由に挙げている。処理時点での肉牛年齢は、1977年は608日だったが、2007年は485日に短縮されている。また酪農牛の導入も減少要因になっている。
*1:カーボンフットプリントとは、商品・サービスのライフサイクルの各過程で排出された「温室効果ガスの量」を合算した結果、得られた全体の量をCO2量に換算して表示すること。
世界各地で企業買収を続けるJBS S.Aは7月13日、調理済み・冷凍牛肉製品を製造・販売するベルギーのトレド社を1,400万ドルで買収したと発表した。トレド社は南米企業と提携して牛肉製品を西ヨーロッパ全域100社の取引先に輸出し、年間売上高は5,000万ドルに達する。
NPDグループの調べによると、今年春の時点で、米国のレストラン総数は前年同期比で5,204店(約1%)減少した。予想通り個人経営店の減少が最も多く(約2%)、チェーン店は横這い、ファーストフードは約1%(2,521店)減、フルサービスレストランも約1%(2,683店)減した。
2010年5月時点で、レストラン来店頻度は前年比3%減、客単価は1%減で、NPDが1976年にフードサービス業の統計を開始してから初めての客単価落ち込みとなった。
7月8〜12日にかけて、東海岸の中央部と北部で待望の降雨が予想される。ノースカロライナ東部とメリーランド北部から北方のニューヨーク南東部にかけて、降雨量は全体で1〜2インチになるだろう。米東部の残りのD0からD2地域と、五大湖周辺の乾燥・干ばつ地域全体では、概ね0.5〜1.0インチの降雨が期待される。またルイジアナ南半分を除く、テキサスから東方のアラバマ及び北方のミズーリ南東全域の乾燥地帯では、中程度から激しい雨が予想される。テキサス中央部・中北部、オクラホマ南東部、アーカンソー北東部、ミズーリ南東部の総雨量は1.5インチを超える。一方、テキサス中北部から北東方向のミズーリ中南部にかけた帯状の一帯では、3〜5インチの降雨量があるだろう。ロッキー山脈から西方面の降雨は少量で、アリゾナ中東部と隣接するニューメキシコ、コロラド中央部の総雨量は0.5インチを上回る。
その後の7月13〜17日にかけては、南東部を除くアラスカ全域、西テキサスから北方向に進んで五大湖中央部、ニューイングランドと北東部の隣接地域を除く東方の大西洋地方では平年を上回る雨量がありそうだ。対照的にハイプレーンズ北部から西方向のワシントン、オレゴンの海岸地方の雨量は平年を下回るだろう。それ以外の地域は。異常に湿った天気も乾燥した天気も予報はない。