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TRADER'S Be & Po
編集前記

景気は回復傾向にあり、食肉需要も低価格帯を中心に動きやすいと言われている。安全性にこだわっていた消費者も、価格をより重視するようになった。こうした動きは流動的なものなのか、構造的な変化なのか。分析して企業戦略を構築し直す時期だ。

NEWS CONTENTS
米国食肉市場ニュース 牛肉(牛肉市況 11/2〜6)
豚肉(豚肉市況 11/2〜6)
市況ニュース 牛肉需要の前年割れ続く
業界ニュース 環境コスト増に直面するフィードロット
生体牛安値でも需要の回復待ち
OIE-成豚・豚肉貿易に検査や制限は不要
トレンドニュース 消費者動向
消費者は食品に「何が入っていないか」に関心
全米天候/作柄状況 各地の干ばつ監視・天気予報
マーケットデータ 先物取引価格(10月30日現在)
米国食肉市場ニュース  
牛肉

牛肉市況
(11月2日〜6日)

週間と畜頭数 : 62.9 万頭(前年比0.8%増)。
肥育牛の取引価格(100ポンド[約45kg]当たり):
  主要5市場では平均86.44ドル(前週比0.53ドル安)、枝肉価格は平均134.24ドル(同0.38ドル高)。
牛肉価格(100ポンド[約45kg]当たり):
  歩留まり等級3(YG3)のチョイスは140.87ドル(前週比0.03ドル安)。Y2〜3のセレクトは135.55ドル(同0.09ドル安)。
豚肉

豚肉市況
(11月2日〜6日)

週間と畜頭数 : 230.2万頭(前年比0.1%減)。
肉豚の現金取引価格 : 前週比で1.50〜4.00ドル高で推移。
成豚重量別取引価格 : 前々週比で横這いから10ドル高で推移。取引された成豚はいずれも重量が50〜60ポンド級で、100ポンド当たり51.00〜74.50ドルで売買された。
市況ニュース
 
牛肉需要の前年割れ続く
 

感謝祭を控えて、スーパー各社はターキーを目玉商品にした積極的な販促活動を展開している。「○ドル以上お買い上げでターキー無料」の恒例キャンペーンを実施する老舗チェーンもある。一方、最大手のクローガーなどは、大幅な輸出の落ち込みで国内の供給量が増えた豚肉の販促に力を入れている。

昨年は11月1〜3週でチョイス価格が平均で157.40ドルに急騰したが、今年は国内外の牛肉需要が昨年より低調なため同様な動きはないだろう。第3四半期の牛肉需要は小売りで昨年比7.4%減少し、全体ではさらに大きく落ち込んでいる。各種経済指標を見ても、消費支出がすぐにも増える兆しはほとんどないため、牛肉需要の前年割れは第4四半期から恐らく来年も続くだろう。

ボックスビーフで苦戦しているため、パッカーは11月1週の処理頭数を62万9,000頭(推定)に抑え、2、3週もそのペースを続ける見込みだ。

※2009年11月9日 Cattle Buyers Weekly
業界ニュース
 
環境コスト増に直面するフィードロット
 

昨年、米国環境保護庁(EPA)は、大規模畜産経営体(CAFO)に適用する水質保全規制を強化し、牛の糞尿処理関連の栄養分管理計画の提出を義務づけている。現在フィードロットでは、環境規則を順守しつつ、さらに施設整備や記録管理に数十万ドルを投じているため、環境コストが増大している。ここ2年続く赤字、肉牛不足、生産能力過剰ですでに苦しい経営状況にあり、多数の小規模フィードロットが廃業に追い込まれる心配も出ている。

費用のうち、下水処理用貯水池・廃水処理システムの整備と、栄養分管理計画のための記録管理が肥育業者の大きな負担になっている。サザン・プレーンズで複数のフィードロットを運営する経営者は、最近数年でフィードロットの資産価値の20%〜25%相当分を環境整備に使ったという。1頭当たり75ドルとして、1頭につきほぼ17ドル掛かったことになる。ネブラスカの経営者は、環境整備に35万ドルを費やし、1頭当たり29ドルを上回る投資だという。それでもフィードロット経営者達は「州・連邦の規定は毎年厳しくなる一方だが、環境対応は最優先事項だ」と述べている。

※2009年11月2日 Cattle Buyers Weekly
 
生体牛安値でも需要の回復待ち
 

エコノミストのフォーマン氏は、「来年2月までは十分な肉牛の供給が見込まれ、肉牛価格が抑えられて2010年の長期見通しは生産者に有利になる」と予測している。同氏は「大幅赤字を出した2009年と比べ、2010年はやっと利益が出る。肥育牛頭数は減少するが、まず需要の回復が重要だ。重量級の肉牛の導入頭数が急増している。肉牛の安値が2月まで続いても、それが必ずしもパッカーや加工業者の好景気を意味するとは限らない。今年の牛肉生産量は全体で3%減少すると予想されるが、まだ需要が回復していないため、異例ながら価格も下がる。またドル安が輸出にプラスになるが、輸出の増加もわずか2〜3%でその効果も小さいだろう。2009年度の輸出は、世界経済の低迷で2008年を下回る見込み」と分析している。

※2009年11月6日 Meatingplace.com
 
OIE-成豚・豚肉貿易に検査や制限は不要
 

国際獣疫事務局(OIE)の事務局長バラット博士は11月3日、OIEのホームページ上で新型インフルエンザ関連の声明を発表した。「最初の新型インフルエンザウイルス感染者が発見された当初から、豚や他の家畜も感染する可能性があると思われていた。そのため、新たな動物種が感染した報告を受けても驚いてはいない。むしろ動物疾病の監視体制が機能していることを実証している」と述べている。同博士はさらに、「家畜が媒介して人間に新型インフルエンザが流行したという証拠はない。むしろ複数の国家機関が実施した調査のほとんどが、ヒトから家畜への感染の可能性を指摘している」と述べている。

このためOIEは、豚・その他家畜やそれらの製品の輸出前に、一定期間の家畜の健康状態を認定することで十分で、ラボの検査など特別な対策は不要とする見解を保っている。

※2009年11月6日 Meatingplace.com
トレンドニュース
 
消費者動向
 

先日開催されたワールドワイド・フードエキスポより:

【不況でもフレッシュミート売り上げ順調】

  • 3分の2が「セール品を買う」「安い商品を買う」など購買行動に変化。
  • 高いカットの買い控えや調理時の使用量減で、「食肉/鶏肉の購入量が減った」。
  • 第3四半期のフレッシュミート/鶏肉購買量が、前年比で12.3%増加。
  • 購入場所が従来型のスーパーに回帰。
  • ブランドミートの購入が増加。

(今年1月と9月に消費者500名を対象に実施したインターネット調査と、マーケティング会社の小売売り上げデータの分析に基づく)

※2009年10月30日 Meatingplace.com
 

【高齢化への対応求められる食品加工業】

  • 消費者の購入食品は味、ヘルシー、パッケージの扱いやすさの観点から変化。
  • 1人〜2人世帯の増加で小パッケージ化の需要高まる。
  • 50〜64才の米国民の6割が持病を抱えている。
  • 健康志向の団塊世代は、骨/心臓の健康、認知機能を促進する食品、低塩/低コレステロール食品を求める。
  • 高齢者の食肉摂取量は、筋肉を付け維持するには不十分。
  • 高齢者の食肉摂取方法は、インスタントやレンジ加熱食品よりフレッシュミートが多い。
  • 一般層に比べ、子牛肉、ミート香辛料/スプレッド、ミートマリネ/ソース/調味料を好む。
  • はっきりした味や旨みをきかせた食品を好むが、香辛料が強いものは敬遠。
  • 関節炎の人もいるので、パッケージはつかむ、開ける、閉めるが容易であること。表示の文字は大きくする。

(USDA/業界データ、ニールセン調査結果に基づく)

※2009年11月2日 Meatingplace.com
 
消費者は食品に「何が入っていないか」に関心
 

マーケティング会社が実施した最近の調査によると、食料品やPOPに表示された製品情報で消費者にとって最も重要なのは、「オーガニック」「放し飼い」「グラスフェッド」といったプラス要素より、「農薬、抗生物質、水銀、人口ホルモンなど、食品に入っていてほしくない成分を含有していないという確証」であることが分かった。

購入決定はやはり低価格が最大の要因だが、回答者の60%が「より健康的で安全、高い職業倫理基準で製造された食品なら10%増しでも買う」、さらに14%は「10%以上割高でも買う」と述べている。「米国の食品の安全性をとても心配している」は57%に達している。

(全米主要都市に住む、年齢20〜64才の有職者男女600名を対象に、2009年9月に実施したインターネット調査)

※2009年10月30日 Meatingplace.com
全米天候/作柄状況
 
各地の干ばつ監視・天気予報
 

11月1日までは、米本土中心部で暴風雨圏が勢力を増すと予想される。それに伴いメキシコ湾岸地域からテキサス、ルイジアナからイリノイ、さらに東に向かいニューイングランドまで豪雨があるだろう。アラスカ湾沿いではワシントンは雨になる見込みだ。これらの地域以外は、干ばつの緩和になる降雨は無い模様だ。

11月2日から6日にかけては、太平洋岸北西部から五大湖に至るカナダ国境沿いは、平均を上回る降雨の可能性が高まっている。一方、グレートベイスン(ユタ、ネバダ)から東方の中部大西洋岸は、平均を下回る降雨が予想される。気温は、大平原地帯の南西部から中央、南部から南東部にかけては例年を上回り、太平洋岸北西部から大平原地帯の北部は例年を下回りそうだ。

※2009年10月30日 Market Perspectives
マーケットデータ
 
先物取引価格(10月30日現在)
 
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