最近の消費者調査によると、食品選びの項目中で「安全性」の順位が著しく低下している。「安全・安心」というフレーズの形骸化を防ぐためにも、消費者の信頼をどう獲得して食の安全を維持するか、年末商戦を控えて熟考したい。
牛肉市況(10月5日〜9日)
豚肉市況(10月5日〜9日)
生体牛現金取引価格は10月2週、最重量級の牛がまだ大幅な値引きで取引されているコーンベルトを中心に再び安値を付けた。北部市場の枝肉価格は前週比2ドル安を超える125.00〜125.50ドルだった。生体牛価格はネブラスカが80.50ドル、アイオワ-ミネソタ南部は78.50ドル、カンザスは81ドル、テキサスは82ドルだった。しかし3週には全般的に安定する見込みだ。
2ヵ月前、肥育業者は生体牛現金取引価格が90ドル近くになると期待していた。先物市場の10月契約分は8月3日の終値が90.32ドルで、ほぼ月末まで88ドルを維持していた。しかし9月に値下がりが始まり、10月には下落が加速して2週木曜の終値は81.87まで下がった。背景には牛肉需要の低迷、処理頭数削減、過去最高の牛の重量化がある。
コーンベルトからテキサス一帯で市価を下げた過体重の牛は片付いてきているが、完売するにはもう2週間位必要と思われる。カットアウト価格は、バイヤーの買う気を誘引するのに十分なレベルまで下がっており、今後生体牛・ボックスビーフ価格は安定するだろう。
枝肉重量が過去最高に達して、生体牛市場に悪影響を与えている。特にノーザン・プレーンズの牛は、順調に成長して品質もサザン・プレーンズ(オクラホマ南部〜テキサス北部)の牛より良いにも関わらず、値引き価格で売られている。季節的に値引きの時期とはいえ、その傾向は例年より顕著だ。
9月2週、プライム・チョイス級の牛の比率はテキサスは45.97%だったが、ネブラスカは72.78%もあった。しかし、高級レストランなどアップスケール市場の需要低迷時期と重なり、ネブラスカ、アイオワ、サウスダコタ市場の牛は良質にもかかわらず、テキサス市場より1〜2ドル安で売られている。一方、去勢雄牛を含め全体的に枝肉重量は過去最高に達し、さらにこの先周期的にピーク体重になる時期を迎える。
今年の肉牛の等級は年初来、近年では久しぶりに最高の格付けになっている。2月末にはチョイスの比率が、米国農務省(USDA)が1997年に格付データセットを設けて以来最高の63%を超えた。プライム・チョイス合計では1990年以来最高の66.1%となった。9月2週時点でも、各地の市場で概ね60%台の高い比率になっている。
前年比で輸出量は22%、輸出高は28%減少した。1〜8月の輸出量は121万2,000トン、輸出高は28億5,000万ドルで各々12%、11%減少した。過去最高を記録した2008年実績を下回ったが、2007年比では8月は35%増、1〜8月では51%アップしている。
日本とメキシコの根強い需要も、中国とロシア向け輸出が各々70%、40%減少して帳消しされた。しかし1〜8月期はオーストラリア、カリブ海諸国、台湾、フィリピン向け輸出の増加が明るい材料となった。
前年比で輸出量は31%、輸出高は37%減少した。1〜8月の輸出量は58万6,525トン、輸出高は20億2,000万ドルで各々10%、14%減少した。しかし1〜8月の牛肉生産量全体に占める牛肉マッスルカット輸出の比率は7%を維持した。
米国食肉輸出連合会(USMEF)は「アジアなどは好調だが、近隣市場やメキシコ、カナダの経済情勢は厳しい状況にあり、引き続き需要喚起に努めていく」と述べている。
日本向け輸出は前年比で輸出量は22%、輸出高は21%増加した。また中東市場では米国産牛肉への関心が高まっている。
牛肉・牛バラエティミート/豚肉・豚バラエティミートの対日輸出実績はページ下部、マーケットデータのグラフを参照のこと。
コンサルタント会社のウィラード・ビショップ社によると、コスト削減とマージン最大化のため、小売企業はSKU(Stock Keeping Unit)の大幅縮小や製品ライン全体のカットを行う可能性があると述べている。
食品部門でSKU合理化の対象になりやすいのは、冷凍食肉・鶏肉、エスニック・高級食品、メキシコ食品が挙がっている。ウィラード・ビショップ社はサプライヤーに対し、1)商品バラエティ、2)利益性、3)生産性、4)ROI、5)成長性の5つの評価基準を参考に、納入製品の合理化対象の度合いを分析すべきと指摘している。
10月5日、食品加工会社、小売企業、NGOなど40を超える企業・団体の連合が、健康ウエイト・コミットメント財団(HWCF)の設立を発表した。今後2015年まで、児童を中心に「エネルギーバランス-運動によるカロリー消費」というコンセプトを推進し、市場、職場、学校の場で全国規模で肥満減少に取り組む。参加企業にはコナグラフーズ、ゼネラルミルズ、クラフトフーヅ、ネスレUSA、サラ・リー等の名が並んでいる。
消費者向けの啓蒙というより、自社製品に重点をおいた活動が特徴。消費者がカロリー摂取量を把握しやすいように、栄養価を維持・強化しながら、製品・パッケージ・表示の改善を進める。こうした企業努力を、第三機関としてロバート・ウッド・ジョンソン財団が独自かつ客観的に評価する。
また参加企業は社員が健康体重を維持できるよう、カロリー情報、休憩室や社員食堂のヘルシーメニュー、個人・グループ単位で参加する職場での運動プログラム、ウエイト管理プログラム、トラッキングツール等を提供する。社内活動の評価は、健康推進全国ビジネスグループが行い、ベストプラクティスは共有していく。
10月12日まで、テキサスの東半分各地で1.5インチかそれを上回る雨量が予想される。テキサスでは干ばつの農産業への影響は収まっているので、この降雨で地下水が増え、長期かつ広域にわたる干ばつが緩和される。中西部と大平原諸州の北方地域では、雪と雨による降雨量は0.25インチ未満で、干ばつ被害をさらに緩和する効果はほとんどない。
10月13日から17日にかけて、太平洋岸北部、西部の山間部北方地域、ロッキー山脈北部では、かなり雨の多い天気になりそうだ。一方、南部は大半の州で降雨量は平均を下回る模様だ。この期間の気温は、西部全域は例年を上回り、東部は例年を下回る予報が出ている。
最近の消費者調査によると、食品選びの項目中で「安全性」の順位が著しく低下している。「安全・安心」というフレーズの形骸化を防ぐためにも、消費者の信頼をどう獲得して食の安全を維持するか、年末商戦を控えて熟考したい。