9月のボックスビーフ価格は、7月中旬レベルに戻る可能性もある。8月末と9月7日の連休に向けた買い付けが始まっているが、今のところ価格へのプラス効果は出ていない。現金取引市場は、2週連続で取引量が少なかった。7月4週にはボックスビーフ価格が一時的に回復したが、昨年度を大幅に下回った処理頭数の減少によるものとアナリストは述べている。7月2・3週の処理頭数は予想より1万2,360頭多く、7月4・5週には、パッカーは当初の予測より多い牛肉を抱えていたことになる。7月4週の処理頭数がわずか61万5,000頭(推定昨年は66万5,000頭)だったのは、そのことが原因だったのかもしれない。
家畜への抗生物質使用に関する食品安全法案が7月30日下院で可決され、今後は上院で採決される。同案は、リスクベースの検査システムの実施など予防に重点を置いた食品安全への取り組みの推進や、食品加工業者の記録状況を監督し食品媒介による疾病発生への迅速な対応など、新たに米国食品医薬品局(FDA)の権限を拡大している。今回の可決案には、家畜に対する治療以外の目的での抗生物質使用を禁じるPAMTA(抗生物質使用制限法案)は含まれていない。
農業・畜産業界で有数の認証ソリューション・プロバイダーであるIMI Globalは7月30日、同社がスタートしたグリーン認証(VG-Verified GreenTM)制度に基づいた肉牛1号が売買されたと発表した。VG制度では環境に優しい生産工程を採用する牧場・農家がグリーン認証を取得し、カーボンクレジット(以下CC)付きで家畜・農産物を販売することができる。1頭当たりのCCは、牛が飼育された牧場の炭素隔離率に基づいて自主的に決定する。
家畜・農産物をCC付きで販売すると、CC売買のために新たな市場や顧客を開発する必要がなく、CCは既存の肉牛購入客への付加価値となる。一方、買い手はCCを貯めておいて自分の事業で発生するCO2と相殺することができる。
*カーボンクレジット:企業間や国際間で取引可能な温室効果ガスの排出削減量証明。2001年8月米国で、世界初のカーボン・クレジット取引市場シカゴ・クライメート・エクスチェンジ(CCE)が設立されている。
ミズーリ大学のエコノミストは、成豚市場の現状について以下のように分析している。
成豚業界の収益性はかなり低いが、生産者は雌豚に多額の投資をしているため、頭数削減に踏み切れずにいる。相当数の生産者の倒産によって頭数が減少しない限り、標準的な生産者は黒字を回復できないだろう。
7月18日までの4週間の処理頭数は、雌豚で前年比9.2%減少し、雄豚は7月25日までの4週間で前年を下回ったが、大幅な頭数減少はない。
一方で、今年1〜6月の一般消費向け豚肉需要は前年同期比で4.2%増加したが、成豚の需要は4.2%減少している。輸出の縮小や高いマーケティング・マージンが原因で、成豚需要は低迷している。豚肉の過剰供給や変動休日のため、豚肉生産者は7月下旬頃から生産のペースを落とし、一部で工場閉鎖も出ているという。
同社は米証券取引所に提出する上場申請書の中で、ケースレディー・ミートの国内納品体制に移行するために20億ドル、また米国とオーストラリアの営業活動に5億ドルを投じる計画を表明している。こうした動きから、同社は米国市場での事業形態を大幅に変更すると思われる。上場の趣意書の中で「ケースレディー・ミート、またはパッケージ入りミートを一元生産して消費者に直接届けるシステムに重点的に取り組む」と述べている。
ケースレディー・ミートは、既存の工場か新しい専用工場のいずれかで生産し、既にケースレディー・ミートの生産をしている加工会社の買収もあり得る。JBSは、小売店にはケースレディー・ミート、フードサービスにはポーション・コントロールミートの提供を考えているようだ。ケースレディー・ミートと直送の重点政策は、2年前にスイフト社を買収した当時からの戦略の一環で、予想された展開だ。
米国の農産業はこの経済危機の中で健闘しているが、畜産・酪農業者は赤字が続いている。高い飼料費と様々な経済要因が牛肉需要に悪影響を与え、肉牛肥育業者は2008年1月以来累計で過去最悪の52億ドルの損失を出している。例年の流れの範囲ではあるが、最近の四半期の業績は農家の経営難を浮彫にしている。借入枠が減り、最後の頼みの綱である米国農務省(USDA)貸付金の申請が大幅に増加している。貸手からは支払延滞や貸倒償却の報告件数が増えている。とりわけ懸念されるのは「今年の農家の収入は20%減少し、農家の非農業収入への依存がますます高まっている」というUSDAの推測だ。
議会は、農業ローン返済状況の報告を義務づける制度を設けて状況を把握し、銀行、USDA、連邦農業信用制度による現状分析の協力を得て、農家支援の決定をすべきだ。
今年米国で新発売された製品の27%を、1,800点のPB食品が占めている。調査会社のミンテルGNPDは、「最近のPB製品は単に値段が安いだけでなく、良質な原材料、収益性、ヘルシーといったメリットがある」と説明している。
PB製品の発売件数の増加に加え、製品開発の技術革新はかつてないほど高レベルに達している。これまでのPB製品は大手ナショナルブランドに対抗した模倣品だったが、最近は創造性のある、市場を動かすトレンドセッターになりつつある。
米消費者の5割以上が外食費を減らす中、PBメーカーはレストラン並みの品質と新鮮な材料を使った内食用の食事を開発している。またお弁当にして食費を節約したい人には、高品質のテイクアウトランチも人気がある。調理済みPB食品の成功要因は利便性だが、健康や栄養といった要素が商品開発にますます大きな影響を与えている。
不況下で米消費者は外食費を含む食費を節約しているが、PB食品は昨年度9.3%(ブランド食品は4.5%)伸びており、ミンテルGNPDは、今年末までにさらに8.1%成長すると予想している。
これまでプライムビーフの割合は、常に格付けされた牛肉全体の2%程度しかなかったが、最近ではどこの食肉売り場でも見られるようになった。先日のウォールストリートジャーナルは「プライムビーフはコストコで1ポンド8.99ドル(これまでの半額)で販売されていた」と報じている。その原因は輸出の縮小やレストラン需要の低下だけではない。以前よりグレインフェッドの期間と頭数が伸びたこと、そして長年にわたる遺伝学の進歩で、「プライム」に格付けされる牛肉が増えたことが背景にある。
吉野家はバーベキュー(BBQ)ショートリブ、BBQチキン、BBQセットの新メニューを、8月末より現在米国で展開中の全97店で販売開始する。いずれもチャーハン、焼きそば、サラダ付きで価格は5.25ドル〜6.25ドル。吉野家は1979年に1号店をカリフォルニアにオープンし、現在はさらにアリゾナ、ネバダ、ニューヨークの各州に進出している。
8月3日まで、米国西部のほぼ全域で例年以上の気温が、ロッキー山脈から東部の大西洋岸、それに南東部とメキシコ湾岸州を含む地域は例年以下の気温が予想される。ニューメキシコ東部とコロラドでモンスーン性降雨があるが、西部は乾燥が続く模様だ。中西部北方、サザン・プレーンズ(オクラホマ南部、テキサス北部)、東部はいずれも上記期間に恵みの雨が降る可能性が高い。
8月4日〜8日、西部では気温が例年並みか例年以下になり高温から解放される。中西部北方から北東部にかけても平均より涼しい気温が予想される。南部は高温になるだろう。南西部からオクラホマ南部、及びテキサスのほぼ全域、メキシコ湾岸州、コーンベルトから中部大西洋岸と北東部は例年以上の雨が降る可能性が高い。