一頭当たりの経費増加で赤字を出しているため、パッカーは7月に入って処理頭数を減らしているが、ボックスビーフは値上がりしていない。一方肉牛肥育業者は、処理頭数の減少による牛の出荷の滞りを心配している。本来は7月処理分の数万頭の牛が8月に持ち越されると、出荷可能牛不足の恐れがある9月の穴埋めになるかもしれない。
7月第2週と3週の処理頭数は、各々62万8,000頭と62万7,000頭と推定され、合計で昨年より13万頭減少している。次の2週間も処理頭数が少ないと、7月全体ではここ数年で最少になるかもしれない。例年注文が増える7月・8月の後半週と9月7日の祝日の動向が鍵になるだろう。しかしスーパーの牛肉売り上げは、値段の安い豚肉や鶏肉に押されて相変わらず苦戦しており、レストランも高級店を中心に不振が続いている。そのためミドルミート価格は下降気味だ。
今月に入り、処理頭数は予想/必要レベルよりはるかに少ない状態が続いている。処理頭数が減っても、パッカーはボックスビーフ価格の値下げを余儀なくされている。生体牛価格は安定しているが、出荷可能牛が少なく買い付けに苦心している。一番の原因は、8月の先物相場で現金取引価格のプレミアムが大きいことだ。
7月2週金曜のカンザスとテキサスの現金取引市場で、生体牛は82ドルで取引され、3週木曜の8月契約分の終値は85.60ドルだった。パッカーは81ドルの買値を付けたが反応は無く、3週金曜のサザン・プレーンズ(オクラホマ南部〜テキサス北部)では、84ドルに上げざるを得なかった。
処理頭数が減って先物市場のプレミアムが大きくなると、肉牛の出荷が8〜10月にずれ込む恐れがある。北米全体で肉牛頭数が減少しており、今年のフィードロット内頭数は前年比3〜5%減で推移している。肥育コスト高による赤字が原因で、5月からフィードロット導入頭数は昨年より大幅に減少していて、赤字傾向は今も続いている。
7月13日の米下院議事運営委員会で、米国食品医薬品局(FDA)のシャーフスタイン副長官は「FDAは、健康な家畜に対する成長と飼料の効率増進を目的とした抗生物質使用禁止を支持する」と述べた。また同副長官は「農家で家畜に薬剤を投与する際は、獣医の指図に従って行うべきだ」と述べ、家畜に投与する抗生物質の店頭販売をやめる意向を示した。
こうした動きに対し、米国食肉協会(AMI)は反対を表明し、「こうした薬剤は、FDAが安全で効果があると承認しており、家畜の保健に重要なものだ。業界は消費者と家畜の保健のため、厳格な使用承認手続き、承認後のリスク評価、食品安全モニタリング、病原菌削減プログラムなど、複数の公的・民間のプログラムを採用して、既に抗生物質の安全な使用に努めている」とした書簡を同委員会に送っている。
また、全国豚肉生産者協議会(NPPC)も懸念を表明している。去る6月10日、米国下院エネルギー及び商業対策委員会で承認された食品安全法案は、FDAによる現場査察、地域の検疫、牧場から家庭までの食品トレーシング制度、農業関連の新たな基準立案などを提案している。だがNPPCは「家畜飼料を含む食品安全強化の努力は支持するが、すでに米国農務省(USDA)が実施している内容と重複する」と述べている。
同検査の拡大は、オバマ政権の食品安全基準引き上げ対策の一環で、挽肉用ビーフが対象となる。詳細は7月末に発表される。それまでに米国農務省食品安全検査局(FSIS)は、牛肉処理工場の対策実施状況を検証する担当官向けの指示内容を改良し通達する。
またFSISは7月末までに、挽肉生産にまわる部位を中心にサンプルを増やす予定だ。先月挽肉製品のリコールがあり、O157:H7との関連が判明した件が、今回の検査増強の発端になっている。
5月の米国産豚肉輸出量は、前年比36%減の3億700万ポンドだった。日本(-15%)、メキシコ(-3%)、ロシア(-1%)向け輸出は軒並み減少した。ただし4月末までは新型インフルエンザが世界的に注目されていなかったので、メキシコとロシアの数字はその影響を反映していない。(USDA畜産月報)
一方、同じく5月に米国がカナダから輸入した成豚頭数は、前年比で36%減少した。原産地表示制度とカナダ市場の縮小が主な要因だ。
USDAは、年内の豚肉生産量と豚肉価格は下がると予測している。豚肉生産量は第3四半期は54億7,000万ポンド(前年比3%減)、第4四半期は60億ポンド(同2%減)になると推定している。
また100ポンド当たりの平均価格は、第3四半期は44〜46ドル(前年比21%減)、第4四半期は39〜41ドル(同5%減)、2010年は46〜50ドル(同13%増)になると見込んでいる。
同社は持続可能*1な製品づくりを目指して、世界共通の持続可能指数の開発計画を発表した。第1ステップでは、1)エネルギー・気候、2)天然資源、3)材料の効率、4)人と地域社会、の4つの側面から、主要サプライヤーに持続可能性を評価してもらう。
第2ステップでは、サプライヤー・小売企業・NGO・政府と大学を含む共同事業体(コンソーシアム)に出資して、製品の原材料から廃棄までのライフサイクルに関わるグローバルデータベースの構築を推進する。当初はアリゾナ州立大学とアーカンソー大学が運営を担当する。
最終の第3ステップでは、格付けという形で製品情報を消費者に提供して、製品選びや消費の参考にしてもらう。表示方法は数値、色コード、ラベルなどが検討されている。持続可能な製品の成功例として、カーボンフットプリント*2を標準の3分の1に削減した英国の牛肉生産などが報告されている。
*1 「環境を壊さず利用可能、地球に優しい」の意味
*2 商品のライフサイクル(原材料調達から廃棄まで)で排出された温室効果ガスを二酸化炭素排出量に換算したもの。
東部の変わりやすい天候とは対照的に、西部の大半は乾燥した天気になりそうだ。来週までは2つの寒冷前線の影響で、ミシシッピ川流域から大西洋岸にかけて、にわか雨と激しい雷雨が予想される。サザン・プレーンズも、にわか雨が降りそうだが、テキサスやオクラホマの広い地域の干ばつの軽減にはならないだろう。
7月25日までは、ニューイングランド及びロッキー山脈から太平洋岸にかけて、例年より高温が予想されている。対照的に、中部コーンベルトの南と、東方のデルタと南東部は、例年より低温の予報だ。サザン・プレーンズから五大湖西部の降雨量は、この先も例年より少ないだろう。