米国農務省(USDA)は最新のLivestock Outlookレポートで、成豚価格は今月には持ち直すだろうと楽観的な見通しをしている。しかし、実際は収益確保には程遠い状況だ。米国農務省経済調査局(ERS)は、新型インフルエンザと4月の価格低迷を受けて第2四半期の成豚価格を下方修正したが、6月には5月の安値から回復すると見ている。しかし、需要の低下で豚赤身肉市場は100ポンド当たり5ドル落ち込み、「回復」という診断は誤診だとエコノミストは述べている。
新型インフルエンザ騒動では、「豚インフルエンザ」という誤った呼称が原因で、豚肉の需要と価格は大幅に落ち込んだ。疾病予防管理センター(CDC)等の保健機関が「ウイルスの拡大は人から人への感染によるもので、豚との接触や豚肉製品を食べたことが原因ではない」と強調しているが、消費者は豚肉製品を敬遠している。
さらに追い打ちをかけるように、飼料用穀物と大豆ミールは値上がりしている。中西部では春先の多雨で種まきが遅れ、7月先物相場はトウモロコシが1ブッシェル当たり45セント、大豆ミールは1トン当たり57ドル上がった。飼料の値上がりと成豚の値下がりで、生産者の赤字(1頭当たり)は4月の5ドルから25ドルに増えた。
豚肉価格の決定には生産者の損益だけでなく、トウモロコシ・大豆価格の動きも影響するので、今のペースで飼料の値上がりが続くと、生産者が黒字を維持するには成豚価格は上げる必要がある。肉豚生産者は世界的金融危機、不安定な輸出市場、飼料・投入原価の高値、そしてインフルエンザという四重苦の打撃を受けている。
※2009年6月 FB News Vol. 88 No.11
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