「日本市場の国際化」
第17回世界食肉会議に参加した。世界の動向は日本では実感できない程の速度で変化していることを痛感した。BSEはリスク管理できる疾病として解釈されており、参加者は日本や韓国のBSE対応については極めて冷やかな見方をしている。むしろ口蹄疫や人畜共通病撲滅が主要な国際的課題との認識が高い。その他には、南米やアフリカの生産能力の向上と動物疾病撲滅への国を挙げての取組みや、EU諸国での消費者の実質的利益を考慮したトレーサビリティー制度の導入と供給国の迅速な対応努力。動物愛護の観点からの生産方法の開発・導入努力。バイオ燃料生産増加への原料の分散対応による家畜生産コストの抑制努力。これまでは北半球中心で展開されていた食肉の生産と貿易が、今後はまさに南半球諸国の努力もあり、世界的な規模で展開されてくることは必至である。
今回は日本からの参加はスピーカー以外全くなかった。世界が日本の胃袋に物を運んでくれる時代は終わった。そして中東やロシアをはじめとする東欧もオイルマネーや穀物輸出による膨大な資金力を持って世界の食糧供給に影響を及ぼし始めている。すでに諸外国に「買い遅れ」や「買い負け」していることは否定できない。海外の情報収集能力がその国の購買能力を決定するといっても過言ではない。我々は情報戦争でも負けているのではないか。(差無)