4月後半2週間の成豚価格は、例年の4・5月期の値上がり幅を大きく上回り、20%近く上昇した。アナリスト達は根強い国内需要が原因と推測している。中西部トウモロコシ地帯の過去5年間の成豚平均価格(100ポンド当たり)は、4月1週は56.86ドルで、5月3週までには約15ドル上昇して71.72ドルになるとも言われる。今年の3月3週は49.72ドルに下がったが、通常の5月中旬のピークより数週間も早い4月28日に、既に73.20ドルに達した。アナリスト達も値上がりを早めた原因の説明に戸惑っている。豚の分娩が少ない寒い冬を経て春先は時期的に供給が少ないが、4月4週間の成豚処理頭数のペースは前年より14%高くなっている。輸出も好調だが、このところのコンテナ不足で減速している。鶏肉価格は横ばいで、豚肉は牛肉に較べ価格が手頃なことから、国内需要が要因だろうと説明している。
一方で、値上がりは、大いに必要とされる頭数削減を妨げるという懸念もある。現在の飼料価格でみて6〜8%の削減が必要だが、今後飼料が1ブッシェル7ドル台に達したら、16〜18%の頭数削減が求められる。しかし上がるものは下がるので、5月1週には、パッカーのマージンが下がるのにつれて、価格上昇に急ブレーキがかかると予想している。
韓国の国会統一外交通商委員会は、米韓自由貿易協定(KORUS-FTA)聴聞会を5月中2日に渡って開催した。当初の議題に加えて、牛肉交渉過程に関する報告も行われる。米国産牛肉輸入反対派は、安全性や国内畜産業界への影響から再交渉を主張しており、消費者の間でも安全性への懸念が広がっている。政府は李大統領と韓首相が各々、「国民の健康と安全を最優先する」との談話を発表し、6月からは輸入肉を国産と偽って表示する飲食店や肉屋を厳しく取り締り、原産地表示の監視を強化する。5月13日に締め切られたFTAに関してのコメントは、300件を越え、大半が否定的なものであると報じられている。
輸出用コンテナの不足で、輸出売上高が減少している。深刻な状況を憂慮した各種農産業団体は、関係政府機関に問題の調査を依頼した。
農業輸送連合(ATC)は今週、業界関係者約70名と国際貿易委員(ITC)の役員を集めて問題を検討した。ATC側でも連邦海事委員会や民間海運会社と話し合いを進めている。韓国向け牛肉輸出の増加で、更に1ヵ月当たり800〜1,000台のコンテナが必要になると見られている。
米ドル安は食肉のような米国製品の海外需要には好材料だが、一方で米国の輸入が減少している。輸出製品を載せて米国から出航したコンテナは、米国に戻らずに他の目的地に向かっている。米国経済の低迷でアジア - 欧州ルートの収益性が上がり、アジア圏内や南アメリカ - アジア間の貿易が増加して、事業のインフラを米国から好調な市場に移す船会社も出ている。
また現在の燃料費の値上がりが内地のコンテナ輸送価格をつり上げており、食肉輸出コストが最近6〜9ヵ月間で50%増加したケースもある。大量の成豚供給を考えると、堅調な輸出活動が必要だ。
テキサス州のペリー知事は、連邦が指令するエタノール生産を手控える運動を推進して、再生可能燃料基準の50%適用差し控えを求めている。その要請に対し、国内最大の食肉会社と鶏肉会社(タイソン社とピルグリム社)が直ちに支持を表明した。業界関係者は、トウモロコシを原料にしたエタノール生産が、食品値上がりの主要因であると指摘している。一方エタノール支持派は、現在の世界的な食品のインフレは天候、食品の需要増、エネルギー価格が主な要因で、エタノール生産の食品価格への影響は過小と主張している。しかし過去最高のトウモロコシの高値が、畜産業の収益に大きな打撃を与えているのは明らかだ。激増する飼料費の負担はまだ転嫁されておらず、全面的な影響は今後消費者が食品価格で実感することになる。
ぺリー知事は環境保護庁(EPA)に宛てた要請書で、具体的金額を示して州経済への影響を説明している。トウモロコシが1ブッシェル当たり1セント値上がりすると、テキサスの畜産業界は604万ドルの損害を被る。2004年2.06ドル対2007年収穫分4ドル(USDA予測)の比較では11億7,000万ドル、2008年は8ドルと予測すると35億9,000万ドル相当の悪影響がある計算だ。
ペリー知事の要請に対して、タイソン社は砂糖から作られた輸入エタノールの関税撤廃と、トウモロコシを原料する国産エタノール対象の、1ガロン51セントの税還付の撤廃か削減を議会に求めた。同社の米国産トウモロコシと大豆ミールの経費は2006年から倍増している。
米国農務省(USDA)は最新の農作物成長週報で、「トウモロコシを生産する全国上位18州で、植え付けは27%終了している」と報じた。同期比で昨年は45%、過去5年平均は59%になっている。エコノミストは「5月中旬までに年間予定の半量の植え付けが完了し、夏場の生育環境が良好であれば、例年並みの収穫量になるだろう」と述べている。
エタノールの消費や世界的な需要高から、商品市場がトウモロコシの収穫量や作付面積の減少に左右されやすいため、今年のトウモロコシの植え付け状況が注目されている。
韓国が米国産牛肉輸入の全面開放に同意した直後に、カナダも韓国市場への自由なアクセスを要請している。聯合ニュースは、「韓国とカナダの両国政府は、現在、交渉の日程と会場を調整中」と報じている。国際獣疫事務局(OIE)は、カナダを米国と同じく「BSEリスク管理国」と認定している。2003年5月の禁輸開始以前、カナダは米国、オーストラリア、ニュージーランドに次ぐ4番目の対韓国牛肉輸出国だった。
ロシアは5月5日、テトラサイクリンに関して確認が必要という理由で、米国豚肉加工施設4ヵ所に禁輸措置をとった。テトラサイクリンは抗生物質で、成長を促進する豚の飼料に添加物としても使用されている。この問題は現在、USDAの食品安全検査局(FSIS)が対応している。
USDAは5月1日、児童の栄養改善や国内食料援助プログラム用に、最高5,000万ドル相当の豚肉製品を買い上げる計画を発表した。米国では現在5人に1人がこうした制度を利用しているが、財源を確保して食料品の値上がりに対応した食糧福祉の充実が狙い。USDAの農業販売促進局は、食糧・栄養局が実施する児童、高齢者、インディアン対象や災害緊急時などの各種フードプログラム用に良質の食品を買い上げている。製品は低脂肪、低糖、低塩、健康に良い栄養価のあるもので、一定の品質等級を満たしUSDA検査済みであることが求められ、100%国内原産品に限定している。
EU市場では、遺伝子組み換え(GM)飼料の使用はまだ承認されていない。しかし輸入食肉の9割は、GM飼料で育てられた家畜由来のものだ。GM飼料と非GM飼料の価格差は1トン当たり50ポンド(約¥10,132)ある。欧州議会農業小委員会のパリッシュ委員長は、「EUで禁止している飼料で育った家畜の肉を輸入するのは大いなる皮肉だ。この状況で得する人はいない。消費者には区別がつかないし、農家は割高の非GM飼料を買わされている」と指摘している。同氏はGM飼料の輸入を一切認めない政策の見直しと、世界の他地域より大きく遅れているGM承認手続きを急ぐよう委員会に要請している。「新種のGM大豆が世界各地で栽培されている現実を考えると、EU市場で輸入される飼料が完全に非GMであることの保証は実質的には不可能だ」と述べている。