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vol.55 特集 レシピ アメリカン・ポーク × “発酵”の方程式

アメリカン・ポークはクセが少なく旨味があるので、焼く、煮る、揚げる、どんな調理法とも抜群の相性。そんなスター食材と〝発酵〞の出会いが、さらに料理を引き上げる!

アメリカン・ポークの真の美味さは発酵により引き出せます

「豚肉は匂いや味、食感にクセがないからこそ、老若男女問わず愛される人気食材に君臨し続けているんです」

豚肉の魅力について語るのは、日本が誇る発酵文化を世界へ発信している〝発酵プロデューサー〞こと伏木暢顕さん。

「豚肉は焼き方や煮る手法など、調理方法では牛肉やラムと似通っています。それぞれに特長はありますが、豚肉はクセのなさと脂の甘み、そして食べ応えが魅力ですね。特にアメリカン・ポークは肉質がしっとりとしていてジューシー。そして発酵食材を使うことでさらに深い味わいが得られます」

どんな調理法とも相性が良く、栄養価が高いため、食す機会の多い豚肉だが発酵食材との相性はまた格別と伏木さんは続ける。

「家庭では焼き過ぎてパサパサな豚肉料理を食べていることが多いかもしれません。アメリカン・ポークはクセがないので、ジューシーに仕上げることで、旨味と甘みを楽しむことができる食材です。 焼き過ぎず、しっとりとより美味しく食べるためには、ぜひ発酵食材を利用してもらいたいですね。味噌や甘酒、醤油といった発酵食材にアメリカン・ポークを漬けると、発酵食材に含まれる麹が肉に含まれるたんぱく質を分解し、肉質をよりやわらかくしてくれます。また、旨味を増幅させる効果も期待できます。アメリカン・ポークは肉質がきめ細やかですが、発酵食材により肉の分子がさらに細かくなるため、肉への火の入りが良くなります。特に厚切り肉は余熱を利用した火入れをすると驚くほどにジューシーかつ美味しく仕上がります。ぜひ、アメリカン・ポークのポテンシャルを引き出し、その味わいを堪能してください」

POINT1 漬け床のキーは 味噌 or 甘酒

ポークに含まれるたんぱく質を分解し、よりやわらかくするのが発酵食材。ただし、味わいが繊細であるため、塩加減には注意が必要だ。まろやかな白味噌、または甘酒を用いるのがおすすめ。赤味噌や醤油を使う場合には、漬け床をのばす日本酒やワインを多めにし塩分濃度を調整しよう。

POINT2
漬けは 巻く そして 密閉 する

発酵食材をポークに浸透させるためにはコツが必要。仕上げが焼きの場合には、見た目を美しく、焼きムラを起こさないために肉をキッチンペーパーで巻くのが鉄則。そのまわりに漬け床を塗り、食品保存袋で寝かせるのがセオリーだ。煮物など漬け床も料理に使う場合には、キッチンペーパーは不要。

POINT3
脂を甘くするリパーゼの働き

発酵食材の麹に含まれるリパーゼという酵素が、ポークの脂質を脂肪酸に分解する。この脂肪酸は火入れにより甘みが感じられる性質があり、ポークの魅力のひとつである脂の旨みををさらに風味豊かに美味しくするのである。

煮崩れはみりんで回避

発酵食材を用いることでポークはやわらかくなるが、カレーやシチュー、角煮などでは身が崩れしてしまうことも。そんな時に活躍するのがみりんだ。肉に浸透しやすいみりんのブドウ糖が、肉の中心部はやわらかく、ジューシーにしつつも、煮崩れしやすい外側をしっかりとさせてくれる。

POINT5
仕上げの 火入れ で全てが決まる

発酵食材でやわらかく下ごしらえしたポークには、火入れのし過ぎは大敵。フライパン調理であれば、片面にしっかりと焼き目がつくまで焼き、裏返したら、火を止め蓋をするか、アルミホイルで包む。余熱の火入れにより、発酵調理ならではの極上のやわらかさを保った仕上がりになる。

Kamose代表 伏木暢顕さん
Kamose代表 伏木暢顕さん

発酵食、麹人気の立役者の一人。イタリアン、和食など料理の道を極めること20余年、食材を全く別のものに変える不思議な麹の力に惚れ込み、独学で麹を究める。フードコンサルティング、講師、メディア出演を通じて日本の発酵食文化を国内外で発信している。

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