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TRADER'S Be & Po

vol.283 Jan.30.2017
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
供給トレンド フィードロットの飼養頭数、過去20年で最低か
ポーク関連ニュース 11月の豚肉輸出好調、価格急落を回避
生産動向 米国の食肉生産、12月は過去最高を記録
業界ニュース 牛肉工場の稼働率は上昇見込み
ワールドトレード 米国がフランス産牛肉の輸入解禁
トピックス 中国の豚肉生産費、米国とは大きな格差
コンシューマー 消費者向け肉購入支援アプリ提供―NAMI
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2016年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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供給トレンド

フィードロットの飼養頭数、過去20年で最低か

 
 

過去5カ月間のフィードロットの積極的な出荷により、2017年1月1日現在のフィードロットの総飼養頭数は、統計が開始された1996年以来で最少となる可能性がある。1月下旬に公表予定のCFOレポートでは、収容能力1000頭以上のフィードロットにおける1月1日時点の総飼養頭数は1040万頭余りとなる見込みだ。

これは前年比で1.5%近い減少。12月の導入頭数は、6人のアナリストの予想平均値では前年比108.4%。最低予想は103.5%、最高は113.6%と幅がある。12月の出荷は、前年よりと畜稼働日が1日少ないことを考慮しても、2015年12月比で少なくとも10%以上多く、肥育牛(肥育日数120日以上)の供給可能頭数の減少がかなり進んだようだ。

ここ数カ月の導入数の減少は、2017年の第1四半期の供給に影響する可能性がある。肥育牛価格の上昇傾向と、業界全体の収益性の回復により、フィードロットは当面積極的な販売を続けるだろう。それに伴い、肥育日数120日以上の飼養頭数は4月まで前年割れで推移する見込みだ。さらに6月までは過去5年平均と同等か、それ以下で推移するだろう。

アナリストの推定では、1月1日時点でのこのカテゴリーの飼養頭数は、過去5年平均に対して16万頭の減少。6月1日では同25万2000頭の減少が予想される。出荷が順当に維持されれば、肥育牛市場では供給サイドの黒字が見込まれるが、牛肉・豚肉・ブロイラーの月間生産量がいずれも過去最多を記録する中で、フィードロットは枝肉重量と各畜種の価格推移を注視する必要があるだろう。

 

※2017年1月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

11月の豚肉輸出好調、価格急落を回避

 
 

2016年第4四半期は、主要食肉の供給が急増する中で輸出需要を拡大できるかどうかが重要なポイントになっていたが、11月の輸出は主要食肉すべてが2ケタ台の増加となった。

豚肉輸出はメキシコ向けが好調だった。大統領選挙を通じて、政権が交代すればメキシコ向けの輸出フローに影響があるかもしれないとの懸念が強まり、前倒しの動きが加速したことも一因だ。2016年第4四半期は米ドル高が進んだものの、パッカーは世界市場への販売増に成功し、供給過剰による暴落を回避できた。

2016年第3四半期は、と畜能力を超える供給増が懸念され、生体豚価格は20数年来の低水準となる可能性があった。国内市場は飽和状態、中国向けの輸出も頭打ちとあって、価格は急落局面を迎える恐れがあった、実際には短期的なものにとどまった。9月から10月下旬の一時的な価格下落が国内の販促意欲を刺激し、同時に輸出も急激な回復傾向を見せた。

11月の豚肉(調理済み含む)の輸出量は17万3774トン(前年同月比16.8%増)。2011年の記録を抜いて、11月としては過去最多の輸出量となった。内訳を見ると、最も大きく貢献したのはメキシコだ。トランプ氏の当選でペソが急落したものの、メキシコ向け輸出量は6万1272トン(同22%増)と史上最多を記録した。

第2位の市場である日本向け輸出も、3万6312トン(同23%増)と好調だった。中国・香港市場向けは事前予想に反して1万5064トン(同9%減)となった。

豚肉輸出は10月7.8%増、11月16.8%増、12月は推定で15%増と予想され、第4四半期計で13.6%増と予測される。これは第4四半期の豚肉生産量が2.5%増であっても、輸出の増加によって国内の総消費量は2%減、国民一人当たりの消費量は3%減となることを意味する。

輸出増加により、国内市場への流通量が昨年より少なくなり、価格が回復した。2017年の2四半期までの豚肉輸出が平均7%増のペースで拡大すると仮定すると、国民一人当たりの消費量は第1四半期に0.3%増、第2四半期は2%増と予想される。2017年は食肉全体の供給がさらに拡大し、輸出の維持・拡大が重要であり、特に豚肉は年前半の肥育豚のと畜頭数が4%増と予想されており、輸出市場の重要性が増していく。

 

※2017年1月9日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国産豚肉類の2016年11月の主要国別輸出量(前年同月比増減)
  米国の食肉輸出量の推移(2016年月別・前年比増減)
 
生産動向

米国の食肉生産、12月は過去最高を記録

 
 

USDA(米国農務省)のデータを基に試算すると、米国の12月の商業用レッドミートの総生産量は44億ポンド(前年同月比3%増)と過去最高を記録したと推定される。牛肉の生産量は21億7千万ポンド(同6%増)、と畜頭数は合計261万頭(7%増)、生体牛の平均重量は前年より7ポンド減の1381ポンドだった。子牛肉の生産量は680万ポンド(13%減)、と畜頭数は4万8800頭(8%増)、生体の平均重量は240ポンド(55ポンド減)。

豚肉の生産量は22億1000万ポンドで前年からわずかに増加。肥育豚のと畜頭数は1050万頭(1%増)。生体重量の平均は283ポンド(2ポンド減)。羊肉は1310万ポンド(1%減)。と畜頭数19万7100頭(2%減)。平均重量は133ポンド(1ポンド増)。

 

※2017年1月19日 MeatingPlace.com

 
業界ニュース

牛肉工場の稼働率は上昇見込み

 
 

2017年の牛の総と畜頭数は推定で前年比100万頭増、さらに2018年は同86万1000頭増が見込まれる。このため、処理工場の稼働率はこの数年で最高水準となることが予想される。これは2013年から飼養頭数が増加に転じたことと、それ以前の干ばつ時にいくつかの工場閉鎖や1日当たりのと畜能力の削減が行われてきたためだ。

牛肉工場の稼働率は2016年秋から上昇し、1頭当たりのと畜コストと牛肉の製造コストが削減され、10月の運営マージンは記録的な水準となった。処理頭数の増加によるコストの低下は、2017、2018年も続くだろう。

CBW紙のデータでは、牛肉産業の現在の1日当たりのと畜能力は12万5500頭で、2015年年初に比べて3000頭少ない。1980年代末から1990年代初頭のピーク時は14万5000頭だった。当時のと畜稼働率はおよそ80%。昨年の稼働率は平均稼働日数を265日とすると、92%に達する。LMIC(家畜販売情報センター)によると、2016年の商業用と畜頭数は推定3055万9000頭(前年比6.3%増)。2015年の総と畜頭数は2875万2000頭で、1960年代前半以来最低だった。

2017年のと畜頭数の予想は推定で3160万5000頭、前年比で3.4%増(104万6000頭)。2018年は3246万6000頭、同2.7%増と予想される。これを基に試算すると、稼働率は2017年が95%、2018年は97.6%になると予測される。

パッカーマージンを左右するもう一つの要因は、副産物価格だ。副産物の週間価格(去勢牛1400ポンドに基づく)は、年間のと畜頭数が最少だった2014年8月に100ポンド当たり16.69ドルの最高値を記録。その後、2016年2月の第1週に同10.40ドルを付けるまで下降傾向をたどった。しかし3月中旬には11ドル以上へ上昇し、以降はその水準以上で推移している。年明け後は11.92ドル、先週はさらに上昇したようだ。12ドルならば、パッカーは最低でも肥育牛一頭当たりで168ドルを確保できることになる。

 

※2017年1月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

米国がフランス産牛肉の輸入解禁

 
 

フランス政府は、米国がフランス産牛肉の輸入禁止令を19年ぶりに解除すると発表した。米国はBSEの恐れがあるとして1998年にフランス産牛肉の輸入を禁止していた。欧州連合で米国への牛肉輸出が再開されたのは2015年のアイルランドが初。以降、リトアニアとオランダも輸入が許可されており、フランスは4カ国目となる。

 

※2017年1月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

中国の豚肉生産費、米国とは大きな格差

 
 

世界の豚肉の半分を生産・消費する中国だが、旧来の小規模な豚肉生産では、増え続ける豚肉需要を満たせず、豚肉の主要輸入国になりつつある。USDA ・ERS(米国農務省経済調査局)が最近発表したレポートでは、経済学者であるフレッド・ゲール氏が米国と中国の養豚における生産性とコストを比較して、中国の豚肉価格の競争力を示し、「中国の豚肉輸入は生産コストの上昇に連動して増加する」ことを明らかにしている。

米国と中国の豚肉生産費で最も高いのは飼料コストだ。CNDRC(中国計画委員会)のデータによると、生体豚重量1ポンド当たりの飼料コストは、2006年から14年の間に100ポンド当たり21ドルから70ドルに増加したと試算される。2009年から2015年の豚肉小売価格に当てはめると、35〜40%に相当する。

米国の飼料コストの上昇はより緩やかなペースで、同期間に約17ドルから40ドルの増加。中国の飼料コストは2000年に米国より約20%高かったが、2014年にはその差が77%高に広がった。2015年の中国の飼料コストは若干下がったが、米国に比べてまだ75%高い。

中国の労働賃金が低いが、労働生産性も非常に低いため、中国の養豚場における人件費は米国よりもはるかに高い。米国では労働生産性が向上したことを受け、2014〜2015年の人件費は100ポンド当たり2〜3ドル、だが中国の人件費は同16ドルにまで跳ね上がっている。

肥育の最終段階における飼料要求率でも、米国は中国よりも効率的で11〜15%の差がある。これは米国が中国の農場より多量の飼料を使用していることも一因で、中国でも零細養豚の淘汰が進み、大規模化に向けてより近代的な飼育設備の建築や新しい遺伝系列が導入されれば、中国の飼料要求率、労働生産性などは米国や他の競合国との格差を縮めるかもしれない。ゲール氏は結論として「豚肉輸入国・中国の出現は、中国の豚肉生産の本質が劇的変化を迎えるにつれて、資源不足が進行していることの表れだ」と記している。

 

※2017年1月16日 FOODMARKET.Com

 
コンシューマー

消費者向け肉購入支援アプリ提供―NAMI

 
 

NAMI(北米食肉協会)は、食肉製品を購入する消費者のための無料モバイルアプリ「MyMeatUp」を発表した。牛肉、豚肉、子羊、子牛肉の小売カットと調理方法などをガイドするアプリで、2016年に開始されたリソースwww.MyMeatUp.orgのコンテンツを利用している。

NAMIのバリー・カーペンターCEOは「この画期的なアプリは、肉の購入から調理まで消費者に役立つヒントを与えてくれる。特に経験の少ない若い年齢層の消費者には非常に便利なガイドだ」と述べている。

MyMeatUpは、さまざまな小売カットのガイドを始め、調理方法、レシピ、安全な取り扱いなどのほか、「ナチュラル」「抗生物質フリー」など肉製品ラベルの用語検索も可能。また動物・農業・動物福祉・環境問題・栄養などに関する「よくある質問」にも対応している。

アプリのダウンロードは、iPhone版はここをクリック。Androidバージョンはここから入手できる

 

※2017年1月24日 Meatingplace.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート